グレート•デーンが何故私に憑き、様々な霊障を引き起こしたのか。
過去に大型犬とは15年間一緒に暮らしましたが、グレート•デーンのような60kg超えの超大型犬は間近で見る、ましてや触るのは初めてでした。
しかし、昔から動物、特に大型犬が大好きだったので、躊躇なく触れ合えました。
住職さんには電話でかいつまんで話してありましたので、話の流れは早いものでした。
以下は住職さんのお話です。
昔、私が小学校の時ね、そこにマンション建ってるでしょ?
あそこに小学校があってんけどね、私、そこ通ってましてん。
でね、小学校の向かいに大きな一軒家があってね。
そうそう、あのスーパー建っとう所ね。
そこにおったんですわ、グレート•デーンが。
確か名前がベン言うてね。
ベンはね、そう、さっきゆ〜ちゃんが言うてた通り、白い体に黒のブチがあって、赤い首輪した立派な子でね。
仔犬の時から既に中型犬以上はあるデカい子やったわ。
ほんでも小さい時は良かったんですわ。
でもだんだん大きくなりますでしょう。
ほなね、散歩、すごい長い時間せなあかんでしょ?
それに食べるんも排泄もごっつい量なんですわ。
それで、お宅の、ほれ、ゆ〜ちゃんとこの、あ、そうそう、ケビン君、あの子、訓練出してましたやろ?
※和田さんシリーズ参照
それをせなんだんや(しなかったんです)
それで、繋ぎっぱなしの放ったらかしなったもんやからあんな温厚な犬種やのに、ごっつい凶暴なりましてな。
通学の学童にも怖がられて、飼主さんには世話してもらえんで、ベンは孤立しとった。
でも私と仲間達はベンに根気良く話しかけましてね。
そしたら一人、また一人、とベンを励ます子や、給食のパンをあげる子が増えましたんや。
そこからベンを理解する者がたくさんでてきたんよ。
ベンはやっと幸せへの道を探し当てたように見えたんや。
せやのに。
ベンが来てから二年目くらいちゃうかな。
秋口くらいにごっつ、咳しよったんや。
え?もちろんベンがな。
それもどんどん酷なってきて、しまいにはお腹がパンパンなってもて。
それでも放ったらかしやったんかな。
お腹とは裏腹に身体はどんどん痩せていったわ。
ある寒い冬、朝から雨が降っとった。
私が仲間と下校しよったらベンの小屋にベンがおらへんねんよ。
で、市の車が来てね、なんか大きい箱、運びよるんやわ。
それで• • •
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
辛かった。
聞いてられなかった。
きっとベンはフィラリア症に罹ったんだろう。
辛かったろう。
苦しかったろう。
聞いてるだけで胸が苦しくなった。
でもベンの為に聞かないといけない、そう思い、必死で聞きましたが、途中からは自分の嗚咽で聞こえませんでした。
「さ、ゆ〜ちゃん、もう泣き止まな。娘さん帰ってきたらびっくりするよ。お坊さんが泣かした、言われたら困るやん。」
三人で笑いました。
その後、住職さんにお経を上げてもらいました。
「住職さん、今日は本当にありがとうございました。」
「気をつけてな。あ、そうや、ゆ〜ちゃん、なんでベンがゆ〜ちゃんに憑いたか解るかな?」
「なんでですか?」
「人は変化に敏感や。娘さんが留守で、ご主人まで出張となってゆ〜ちゃんが、寂しいなぁ。と強く念じてしまったんや。」
「念じる?」
「自分にそのつもりがなくても、強く思ったり、何度も思えば念じた事になるんよ。念じたら同じ念のものが寄ってくる。今回はベンだけやなく、餓鬼がくっついて来よった。せやから厄介やったんよ。でもベンも餓鬼と離れられてやっと成仏したんちゃうかな。ま、だからくれぐれも念じないようにね。」
「はい、分かりました。ありがとうございました。」
私達はお寺を後にしました。
もうすぐ娘が帰ってくる。
美味しいもの作らなきゃ!
暖かい日差し。
ふと主人が
「いっつも車やから、長らく手ぇ繋いで へんな。」
「ほんまやね。」
久振りに夫婦で手を取り合って帰りました。
ご拝読ありがとうございました。
作者ゆ〜
餓鬼シリーズ、お読みくださりありがとうございました。
私はどうも、春から梅雨にかけてよく、不思議体験をするみたいです。
私の愛犬ケビンと、ケビンのお友達である和田さん。
※和田さんシリーズ参照
どうかベンを導いて下さい、と願ってやみません。
また別の体験もありますので、よろしかったらお付き合いください。