エレベーター
階段
いつもどちらに乗ろうか悩む。
この美しい脚を疲れさせたくはないけど、
エレベーターなんて吐き気がするような狭暗最悪所にも乗りたくない。
俺は今日も「ん~~。」と思考タイム。
手に持っているコンビニの袋を“ぶんぶん”と揺らしながら、
エレベーターと階段の間で棒立ち。
「ど~~、すっかな・・・・。」
誰か来ないかな。
そうすれば一緒に乗ってあげるのに。
何にって?
エレベーターに決まってんだろ。
は?
怖い訳じゃねえし。
乗ろうと思えばいつでも乗れる。
ただ
あの空間はどうしても受け付けないんだよ、この神聖な体が・・・・。
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つっても、
いつまでもこうやってつっ立ってんのも見た目不審者だし。
仕方ねえ。
乗るか、エレベーター。
今日は特別疲れてっから・・・
8階までの我慢我慢・・・・。
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ああああ、ヤダな、この空間、この感じ・・・。 さっさと8階つかねえかな。
・・・・・あれ?
俺、ボタン押したっけ?
・・・・・ま、いーや。
押したから動いてんだろうしー。
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あ、そうだ。
このエレベーター、鏡ついてんだっけ?
俺は笑顔で振り向いた。
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「うげ、髪はねてんじゃん・・・」
茶色でふわふわと四方八方に跳ねまくっている俺の毛。
「ああー、もう・・・。」
shake
「ん?」
何だ?今の。
前を見ると、エレベーターの階を表示する部分の「7」が点滅していた。
・・・マジ?
これ、“止まった”って、ヤツか?
停止ですか?
・・・・ありえねえ・・・
つーか「7」だぞ!?
あとちょっとで「8」じゃんッ!!
俺様が誰かわかってんだろうなコラッ!!!
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あれから一時間か・・・。
俺は腕時計を見てため息をついた。
誰もこねえし、携帯圏外だし・・・。
おまけにエレベーターについてる「非常ボタン」がつかえねえ。
このボタンは何のためにあんだよ!!
こういう時のためにあるんだろ!!
何ッでつかえねえんだよボロエレベーターがッ!!!!!!!!
こっから出れたら即引越しだな。
前から考えてたけど今決心した。
俺は引っ越す。
shake
「んっ!!」
扉の外の景色が動きだした。
「やっとか・・。」
!!!!!
今、誰かが廊下に・・・・
女?
つか、どこまで上がるんだ、コレ!?
エレベーターは最上階の「12」で止まった。
“ウイイイーーーーン”
「8」階と押しなおせば良いところだけど、正直そんな勇気はない。
もしまた止まられたりしたら、間違いなく俺は・・・
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キレるだろう。
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さっきもキレてただろうって?・・・うっせーよ。
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結局階段じゃねえか・・。
タイムロスはんぱじゃね・・・
8階について玄関のドアを開けようとした時、向こうのエレベーター
の手前に女が立っているのを見つけた。
俺は一番奥の部屋だから距離的にはかなりあるが、女は首をぐりぐりと動かし
エレベーターを覗き込んでいる。
・・・・あ。
アイツ、そういえばいたな!!!
エレベーターがあがるとき、視線に入った。
何やってんだ・・・・?
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俺は首を傾げながら鍵を回した。
俺の鍵音と同時に女が振り向いたのがわかった。
いやあ、俺視界が広いから・・。
天才って、こういうとき辛いよネ・・
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横目でエレベーターのほうをチラ見すると、女が目を見開いて
俺を見つめていた。
この距離でもわかるくらいの目の大きさだ。
正直、生まれて初めて「怖い」系の「ヤバイ」が口に出た。
女はものすごい速さで俺のほうへ走ってくる。
「はっ?!来んの?!」
ガチャガチャガチャッ
バタンッ
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あ・・・・・ぶねえ・・・・
良かった、端の部屋で・・・。
俺はふう、とため息をつくと、何故か玄関の穴をのぞいた。
あの女がいるかどうかを、確認するために。
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・・・誰も、いねえ・・・。
助かった・・・。
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俺はもう一度振り返った。
その瞬間、
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バタンッ
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「!!!!しまっ・・・」
鍵をかけるのを忘れていたドアが開いた。
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朝か・・・。
俺、あれからどうなったんだっけ・・・・・。
テレビをつけると、昨日の女が写っていた。
え?・・・
嫌な予感がした。
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あの女は、逃走中の「殺人事件」の犯人として扱われていた。
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幽霊じゃなかっただけマシだとして・・・
いやもう、あんな体験は二度としたくないね。
あんた達もエレベーターには乗らないほうが良い。
作者じn