神出鬼没なZ。
私はどうなってしまうのだろうか。
次の日、同僚二人にランチやバスでもZに遭あうようになってしまった、と話しました。
同僚達は、被害が酷くなったらいけないので、もう少し三人で出勤を繰り返そうと言ってくれますが、本当に申し訳なく思いました。
別の日の出勤時、何時ものように三人で歩いていると、男性同僚がふと、
「GPS、ちゃうかなぁ。」
と呟きました。
「GPS?」
「うん、例えば、ゆ〜さんの通勤経路を把握したZが何処かに隠れてゆ〜さんの通るのを待つ。ゆ〜さんの姿が見えたら通りそうな場所に、細かいGPSをばらまく。そこをゆ〜さんが通ると靴の裏にいくらかのGPSがめり込む。」
「え!」
「こんだけピッタリ合わせて出てくるの、それしかないと思わん?それかよっぽど暇なんやで。」
「気持ち悪。」
その気持ち悪いZが前からやってくるのが見えました。
ゆっくりと、目線は私、いつもの薄ら笑いで。
私達は素知らぬ顔で通り過ぎました。
会社に着いてから、靴の裏をしっかり見てみましたが、そのような跡や物もありませんでした。
帰宅してから、他の二足も見て見ましたが、特にそのような物はありませんでした。
毎日現れるZに不安は募るばかりです。
私は試しに新しい靴を買いました。
それを履いて通勤してみたのです。
すると• • •
「あれ、今日あのキモいのん居らへんやん(笑)」
「ホンマや。風邪でもひいた?」
「あのね、私、実は靴、新しいのに変えてみてん。」
「え!マジで?」
「ダメ元で買ったんよ。これでずっと現れんかったらやっぱりGPSの可能性大よね。」
それからしばらく新しい靴で通勤しましたが、一度もZと出くわす事はなかったのです。
「やっぱりGPSやったんやろか。」
「やとしたら、犯罪やで!」
「でも事件性がなかったら警察は動かんよね。古い靴は処分するわ。」
更にしばらく経ったある日。
以前提出していた異動希望が承認され、自宅を挟んで全く逆側の支店に異動となりました。
更に通勤至便となり、あれから十年程経ちますが、靴を変えて以来、あの忌々しいZとも遭っていません。
通勤用の靴を勿体無いけど全て買い換えて良かった、心底思いましたが• • •靴を処分した事が解決に繋がったのかは分かりません。
そして未だにZの正体、目的は不明です。
GPSも付いていたのか分からずじまいです。
皆様もZのようなストーカーには充分ご注意ください。
ご拝読ありがとうございました。
作者ゆ〜
GPS?シリーズお読みくださりありがとうございました。
実話につき、オチはないです。
GPSは本当に使用されていたのか。
便利な機能も一歩間違えれば恐ろしい事件に発展しかねないんですね。