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これはむかし、
僕が中学生のときに、学校で体験した出来事。
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僕が入学した年は、
ちょうど新校舎の建築が大方終わった年で、
旧校舎の方は、
建物自体は残っていたが、すでに立ち入り禁止となっていた。
出来事は、その旧校舎で起こった。
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入学して一週間程たった頃。
…ある噂が、僕の耳に入ってきた。
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「旧校舎の、三階。
廊下を突き当たった左手にある、演劇部室として使われていた部屋に、
一枚の大きな"姿見"があり、
学校が閉まったあとにその姿見を覗くと、子供の霊が写るらしい」
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…そんな、何ともありきたりな、
どこかで聞いたような噂話だったのだが、
むかしTVで見た「学校の怪談」のようなものが、
自分が通う学校に存在する事が何となく嬉しかった私は、
部活の先輩に詳しい話を聞いてみることにした。
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先輩「…話すのは構わねーけどお前、
ウキウキしすぎじゃねえか?」
僕「や、そんなことないっすよ♪
いいから教えて下さいっ」
先輩「……分かった。
じゃあちょっと耳貸せ、話してやる」
以下はその時先輩から聞いた話だ。
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何でも、四半世紀以上前、
その旧校舎に当時通っていた一人の男子生徒が、
夜に、学校に忍び込んだらしい。
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忍び込んだ理由としては、
その当時すでに、
「演劇部室の姿見に、女の子の霊が出る」
という噂があったから、それを確かめるため。
さらに言えば、自身の度胸を友人達に誇示するためだった。
そしてその男子生徒はおそらく、
いや、間違いなく、その姿見を覗いた。
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…以来、その男子生徒は行方知れずとなり、
彼が消えた直後から、例の姿見には、
女の子ともう一人
「笑う少年」が写るようになったのだとか。
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話を聞き終わり、
僕は震えていた。
震えの原因の2~3割はもちろん、恐怖によるものだが、
残りの大部分はやはり、
「見てみたい」
という、好奇心によるものだった。
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しかし、一人で夜中の学校に忍び込む程の勇気は僕にはなかったので、
とりあえず、数人の友達に話してみる事にした。
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A「へ~、良くできた話だな」
僕「でしょ!?結構リアルだよねっ」
B「そんなに詳しく聞いたの初めてだよ(笑)
……面白そうだね~」
僕「だよね!!」
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…普段から優柔不断で、
中々自分から行ってみようと言い出せなかった当時の僕は、
とにかく話を盛り上げ、相手に行ってみたいと思わせるのに必死だった。
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C「…入りたいの?旧校舎」
僕「えっ…」
急に本心を突かれた僕は、少しうろたえた。
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C「見てみたいんでしょ?その姿見」
僕「……うん」
A「…ま、そんなこったろーとは思ってたけどな」
B「僕はオッケーだよ~(笑)」
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今思えばあのテンションで、見抜かれない方がおかしい話だったのだ。
C「でもあそこって立入禁止で閉め切られてるはずだけど、どうする気?」
A「過去に一人消えてんのに、
キモダメシしたいから鍵貸して下さい、
とでも頼んでみるか?(笑)」
僕「いや、それは…」
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B「それよりは、黙って忍び込んだ方が早いっしょ~」
A「まあそれが一番手っ取り早いよな(笑)」
C「でも夜はゴメンだよ。
明日の授業って3時までだっただよね?
行くならそのあとの、日が沈まないうちがいいよ」
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…僕なんかそっちのけで、どんどん話が進んでいく。
僕「あの、ごめんなさい…(泣)
お願いだから、入れて下さい…!」
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その後、どうにか会話に参加させてもらい、話し合いを重ねた結果、
旧校舎の裏手にあった古い体育館が、直接校舎の中に繋がっていたため、そこから入る事になった。
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僕らの年頃なら、どんな奴でもこの手の話には食い付くんだなぁ…
その日の帰り道、僕はしみじみそんな事を考えていた。
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そして翌日、
予定通り午後3時に授業を終えた僕たちは、
そのまましばらく教室に残り、他の生徒たちが帰るのを待っていた。
窓から校門を見下ろし、帰っていく生徒の数がまばらになってきた所で、
いよいよ、旧校舎へと向かった。
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A, B, C, そして僕の4人で、
旧校舎裏の体育館の入り口についた時、時刻は午後4時を過ぎていたと思う。
僕「…じゃ、開けるよ」
呟くと同時に取手に右手をかけ、力を入れる。
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古くて錆び付いているのか、扉は動かなかった。
両手で力一杯ひくが、やはりビクともしない。
B「…やっぱかかってる?」
僕「…うん、そうみたい」
C「ま、そりゃそうだよね」
A「なーんだ。つまんねー」
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薄々分かってはいたが、案の定だった。
もう帰る?というCの声も聞こえていたが、
…これで終わりと言うのは、やはりどうも納得がいかなかった。
その時、Bが呟いた。
B「…ね、あそこ。
開いてるじゃん」
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彼が指差す方向に目を向けると、
30m程先に小屋のようなものがあり、
入り口のドアがはずされ、中に入れるようになっていた。
僕は、なにかもう祈るような思いで、小走りにその小屋に向かった。
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中に入ると、
ほこりを被ったストーブ、
錆び付いたスコップなど、
雰囲気的に、昔の用務員室か何かのような場所だった。
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C「…校舎には、繋がってなさそうだね」
後ろから入ってきたCが話しかけてきた。
僕「うん……あの、さ」
C「なに?」
僕「これ使って、窓から入れないかな」
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私が指し示した物を見て、Cは目を丸くした。
C「まさか…これで体育館の窓から入る気?」
それは、古びた脚立だった。
僕「これ、開いて一直線にすれば、届くと思わない…?」
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小屋から出てこない僕たちを心配してか、
あとの2人も入ってきた。
話を聞いて、口を開く。
A「いよいよ、不法侵入だな」
B 「いいね~♪好きだよそういうの」
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C 「好きとかそういう問題じゃないよ…
窓が開いてるとも限らないし、第一危ないでしょ」
Cが言うことも、やろうとしている事の危険度も十分わかっているつもりだったが、
僕はひかなかった。
僕「僕が上がるから、下で支えてて」
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最近、久々にその時のメンバーの1人と会い、
酒を飲んでいたときに聞いたのだが、
この時の僕は、どこかいつもと様子が違っていたという。
普段の様子からは想像できないほど提案が無謀で、
そこまでしてその姿見が見たいのかと、多少の恐怖すら覚えたという。
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B「開いてる~?」
僕「……」
……ガリッ!
ガリガリガリガリ…
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半ば無理矢理ではあったが、
錆びた金属が擦れあう嫌な音を響かせながら、窓は開いた。
ホコリっぽさと、
何とも言えないカビの臭いが鼻をつく。
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A「行けそうかー?」
僕「ケホッケホッ……うん、何とか!」
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小さい体育館だったが、
上からの見物用と思われる細いテラスのような場所があったので、ひとまずそこに着地した。
それから僕は、これまた細い階段を降りて、うっすらホコリの積もったフロアに降り立った。
扉に近づき、鍵を開けた。
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ゴリゴリゴリゴリ…
低い音をたてて、体育館の扉が開いた。
B「うーわっ…ホコリっぽ!」
顔の前で両手をバタバタさせながらBが言った。
A「カビくせーな…」
鼻の下に片手を添えて、Aが呟く。
その時、気が付いた。
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僕「あれっ?Cは?」
A「なにを言ってもお前が聞かねーから、帰っちまったよ」
B 「気づいてなかったのー?」
僕「そっか…」
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B「あっ…ほらあそこ、校舎に繋がってそう」
僕「ほんとだっ…よし、急ご!」
A「…ああ」
B「バレないうちにねー♪」
A「…ここまでしといて、それ言うか」
そうして僕たちは、旧校舎の中へと入って行った。
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…数分後
旧校舎の三階へとたどり着いた僕たちは、
廊下が左右に伸びていたため、二手に分かれる事にした。
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突き当たりを目指し、
一人で進んでいた僕は、
数秒後には、茶色く古ぼけた"演劇部室"という貼り紙の前に立っていた。
僕「…ここだ」
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二人を呼んでから、
おそるおそる、取っ手に手をかける。
ガラガラガラガラ…
A「おぉ、開くのかよ…」
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僕もてっきり、鍵がかかっているものだと思っていたため、
しばらく、部屋の前で立ちつくしていた。
B「…入らないの?」
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その声ではっと我に返り、
とっさに、一歩踏み出した。
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新校舎が完成する直前まで、
旧校舎には人が出入りしていたとは聞いていたが、
この演劇部室に関しては、
おそらくもう十年以上、人が来ていない。
そんな感じだった。
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何もかもが厚いホコリの絨毯を被っていて、
少し歩く度にそれが舞い、
窓から射し込む西日に照らされキラッと光る。
この日僕がこのドアを開けた事によって、何年ぶりに外の空気が入ったのだろう…
まるでそこだけ別世界だった。
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A「…すげぇな」
B「とりあえず、窓開けない?」
僕「そうだね…」
A「バレッから、空気入れ換えたらすぐ閉めろよ」
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窓を大きく開けると、勢いよく風が逃げていく。
部屋の空気が入れ換わる事によって、中の時間が一気に現代に追いついた、そんな気がした。
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B「…見つかんないね~」
僕「うん…」
かれこれ30分は探していただろうか。
目的とする姿見は、見当たらなかった。
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A「…なぁ、ちょっとコレ見てくれ」
そう言いながらAが近づいてきて、
掌にのせた、キラリと光る物を見せてきた。
僕「…」
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A「割れちまったから、処分したみてーだな」
その小さな鏡の破片は、すでにその部屋に、
姿見が存在しないことを、
僕たちに告げていた。
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A「ここまで来といて、そりゃあねーよな」
Aが静かに笑う。
僕「…しょうがないよ」
その時、唐突にBが提案してきた。
B「ね!かくれんぼしない?」
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僕「はっ?」
…何を言い出すんだ。
おそらくAも、そう思っただろう。
B「この部屋の中だけでも結構広いし、
ただ帰るのって何か勿体ないじゃんっ
取り壊される前の記念にさ!」
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僕「…何でかくれんぼなの?」
B「ん、別に…?
カメラがあれば写真でも撮るんだけどね~
…ひょっとしたらやってる最中に探し物が見つかるかも知れないよ?」
僕「…」
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A「…ハッ(笑)
ホント、思った事をすぐ口に出しやがる。
お前とは真逆だな」
こちらを横目で見ながら、Aが言った。
僕「…そうだね、やろっか」
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先程まで眩しかった西日も、
すでに沈みかけていた。
A「もうそろそろ暗くなるな」
B「ふふ…名付けて"暗闇かくれんぼ"!
これは話のネタになるぞ~」
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~~~~~
い~ち…にーぃ…
さぁーん…
僕はじゃんけんに負け、
部屋の真ん中で両目を瞑って数を数えていた。
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…数えながら僕は、妙な空気を感じていた。
先程から何となく、僕のカウントに呼応して、
部屋の時間が、逆上ってるような…
この違和感をむりやり言葉で言い表すなら、
恐怖と、そして…「懐古」
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カウントを重ねるたび、
恐怖と共に何とも言えぬ"懐かしさ"が込み上げてくる…
ご~じゅきゅ…ろくじゅっ!
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カウントを終え、辺りを見回す。
先程と特に変わりはない、演劇部室。
日はすでに沈み、昇り始めた月の明かりでわずかに照らされたその部屋の真ん中で、
暗闇に包まれ、僕は背中に冷や汗をかき始めていた。
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僕「もういいか~い…」
当然、返事はない。
慎重に足元を確認しながら、部屋の中を見て回る。
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~~~~~
5分…10分…
感覚的にはもう、15分以上経っているのに、
一向に見つからない。
僕は嫌な予感がしていた。
まさかあの二人、先に帰ったんじゃ…
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その時、外の廊下に人の気配を感じた。
やっぱり…!
一人にして脅かそうとしてたんだ!
僕はドアを開け、外に出た。
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月明かりに照らされた廊下。
その先に、人影が見えた。
お前らふざけんなっ…!
そう言って近づこうとしたその時…
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shake
反射的に、立ち止まった。
なぜならその人影が、
こちらに向かってゆっくりと、
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"おいでおいで"をしていたからだ。
僕はとっさに後ずさった。
しかしここは廊下の突き当たり。
後ろは壁だった。
仕方なく、演劇部室にかけ戻った。
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僕「ハァ…ハァ…」
顔は見えなかったが明らかに、Aでも、Bでもない。
誰…?
一体、誰なんだ…??
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僕はパニックになりかけていた。
むりやり深呼吸をして心を落ち着かせ、
もう一度確かめるために外に出ようとした、その時、
部屋の両隅から、物音が聞こえた。
僕「…っ!!?」
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A「…おい」
B「おっそいよ~」
僕「あっ……お前ら…!!」
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A「…どした!?」
B「あれ~?何で泣いてんの?(笑)」
二人に会えた安心感から、僕の目には涙がにじんでいた。
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shake
次の瞬間、
部屋のドアを、誰かがノックした。
僕「…!!!」
B「やばっ!見つかった!」
A「…チッ」
とっさに物陰に隠れる三人。
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C「おーい、いるんだろ?」
ドアを開けて入ってきたのは、
先に帰ったはずの、Cだった。
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A「何だてめぇか…」
B「びっくりした~(笑)」
僕「なんで…?」
C「何でじゃねーよ。
何時だと思ってんだ」
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まさか心配してわざわざ来てくれたのか…?
一瞬、何ていい奴なんだと思った。
C「せんせーっ、いました!
こっちでーす!」
僕「!!?」
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A「…っ、てめ…!!」
B「ハハ、そういう感じか~…」
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その後、
先生、そして両親からも、こっぴどく叱られたのは言うまでも無い。
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結局、あの人影が誰だったのか、
あの姿見は本当になくなってしまったのか、
何もかもが未解決のままだが、
酒を飲んだ帰り道、Cに言われた、
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C「鏡の中に消えた少年が、女の子に飽きて、
一緒に遊ぼうとしたんじゃない?」
という一言。
その一言のお陰で、今は少し、いい思い出だ。
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以上が、
中学時代に体験した、
忘れられない…僕の、怖話。
作者黒
どうも、黒です。
4話目の投稿です。
残念ながら筆者自身は霊感に乏しいため今回も、
体験談ではありません。
聞いた話ですが、
文章自体は、筆者の創作です。
誤字脱字には細心の注意を払ってますが、万が一見つけた場合、
また、読みにくい部分などありましたら、厳しく注意して頂けると、今後に生かせます。
それでは、コメント欄にて。