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中編4
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廃車

○○○○○○○○

私は、心霊スポットを取材する仕事をしています。小さな事務所でスタッフも少数で働いています。

今日も取材で有名なダムを訪れる予定でした

車で山道を登りながら頂上のダムに向かっていました。

外の景色を窓から眺めていると、一台の車に目が止まりました。

・・何故こんな所に車なんか・・

って思いながら車を目で追っていたら、

・・誰????あの人・・・。

車の周りは森林になっているのですがその奥に微かに男性らしき人が目に止まりました。

『あの車事故でも起こしたのかな?』

運転中のスタッフが私達に問いかける・・。

『近くに人も居ましたよ。』

と、私。

少し車内で話題になったのですが、仕事もあり、停まる事なくダムに向かいました。

○○○○○○○○

ダムに着いた私達は、カメラをスタッフAさんが回し、先輩であるBさんが監督、私がレポータとしてマイクを手に持ち、カメラの前に・・・。

取材開始。

ほどなくしてAさんから、

『あれ?あれ?』

と、カメラのレンズと私を見比べている。

『どうした??』

と、私、Bさんが、カメラに近く。

『これ・・・。見て下さい。』

と、カメラの画面を覗き込む。

・・何・・これ・・・??

写って居るのは先程のレポートしている私が写って居る・・・。

けど・・。

写っている私の顔は、歪んで誰だか解らない顔になっていました。

『今日はもう中止にして帰ろ。』

と、Bさんから、その言葉に満場一致で車に乗り込んで山道を引き返す事になりました。

○○○○○○○

山道を車で降りる中、先程の映像の事でAさんBさんは、帰ってからの編集やらの話しで盛り上がっていました。

私は、少し気になる事があり窓の外の景色を眺めていました。

・・あの車、まだ停まってるのかな?・・

考え込んで居たら・・・。

『あ・・。』

と、声が聞こえ視線を送ると、あの車が・・

『まだ、動いてないんだな・・・。』

と、Aさんが運転しながら声をかける・・。

『停めて。』

とっさに出た私の言葉に急ブレーキをかける

『何??どうしたの?』

と、二人で後部座席の私の顔を見る。

『子供・・。子供が居た・・・。』

と、二人に見た物を説明して、三人で車を降りて子供が見えた森林に近づく。

『誰も居ないね・・・。』

と、Bさん。

・・おかしいな・・確かに見えたのに・・。

頭の中に少し不安が余儀っていると、

『この車近くで見るとかなり古いよ。多分・・廃車だな。この車。』

と、Aさん。

『お』

っと、声をあげ廃車の運転席のドアを開け中を覗いている。

私も二人に近づいて歩いていると、車内からこちらに顔出したAさんの表現が一辺。

サーっと血の気の引いた顔になり、森の中に視線が集中している。

『おい。お前等。早く、早く車に乗れ。』

訳が解らないまま私と、Bさんは廃車に乗り込む。Aさんも運転席に乗り込んで車内の鍵を閉めてガタガタ奮えていました。

ただ成らない空気が車内に漂う中、

『何??何があったんだ??』

と、BさんがAさんに訪ねる。

『見えなかったのか??森林の奥の方から男がこっちに向かって歩いて来るの・・。』

『いゃ・・見てない。けど人だったら逃げる事ないじゃん。』

と、BさんがAさんに言葉を返す。

『いゃ・・・。あれは人間じゃない・・目がなかった・・・。』

と、また、思い出したかの様にガタガタAさんは奮えながら答えた。

『とにかく、まだ近くに居るかも知れない。ちょっとの間ここでやり過ごそう。』

と、Aさん。

どうしていいか解らない私と、Bさんは、言われるままにに廃車の車内に身を隠す事にしました。

○○○○○○○

あれから、どれ位時間が経ったのだろう・・

車内で、会話もなくただじっと身を隠す。

気づけばもう、外は日が落ち暗くなり始めていました。

暗くなるに連れ、周りの森林の異様なまでの静けさ・・車内の異様な空気に耐えれなくなったBさんは、

『もう、限界だ。外に出る。』

と、助手席のドアを開けようとドアノブに手をかける。

『駄目だ。開けたら・・・・

Aさんが叫ぶと同時に・・。

・・バン・・。

と、フロントガラスに張り付けになっている男性の姿が・・・。

車内の中はパニック状態・・・。

張り付けになっている男性は両目がありませんでした。

何故だか解らないのですが・・車に鍵が着いていました。

『頼む・・。かかってくれ・・。』

必死の思いでAさん鍵を回すと、

『キュル、キュル、』

と、エンジン音がなりエンジンが奇跡的にかかりました。

私達は無我夢中でその場を、その廃車で抜け出し山道を降り始めました。

『何だったんだ。今のあれ?』

『とにかく、人の居る所まで降りよう。』

と、二人の会話が聞こえて来て、私も、

・・やっとあの場所から解放される・・

と、安堵感に浸って居たら、バックミラー越しにAさんの強い視線を感じ、視線が私の横に向けられている物だとすぐに気づきました。

恐る恐る横を見ると、

・・・・・・・。

声になりませんでした。

横には、帰りに山道で見失った子供が乗って居たからです。

その子供は顔を、

・・ク、ク、ク、ク・・・。

と、まるでホラー映画でも見ているかの様な動きで私の方を向き、

・・ねえ・・何処に行くの??・・

と、いい残すと、消えてしまいました。

○○○○○○○○

あれから、警察に事情を説明しました。

後から聞いた話し、あの車は何年も前に行方不明になった男性の車だったらしく、生活苦でどうしようもなく、一人息子を殺してあの場所で自殺をしたそうです。

本人の遺体は発見出来ていません。

ただ・・・・。息子さんの遺体は発見されました。

・・あの廃車のトランクの中から・・・

Concrete
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白うさぎさん。コメント有り難うございます。自分もこれからへた下手に廃車には近づきたくないと思っています。

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ごくたまに廃車を見かけますが
このお話を読んですごく怖くなりました・・・まさか・・・と思ってしまいます。

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