Rとは大学で初めて出来た友達だから
もう、十年来の付き合いになる
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Rは東北生まれで、こっちの大学を
卒業してそのまま就職したため
今までのアパートを引き払い会社の近くの
アパートに引っ越すことになった
私も手伝いを頼まれた
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築10年にしては綺麗な部屋で
キッチンが広い
前の住人のなのか小さいが
収納棚があった
「棚の位置を変えたいから持って」
Rに言われて一緒に持つ
shake
プロマイド?
収納棚をどけると
昔のアイドルのプロマイドが壁に画鋲で
固定されていた
「なーにこれ」2人で、くいつく
私達が10代の頃に売れていたアイドルだ
いたいた!好きだったよー
歌まねしたり、ふざけていた
プロマイドを取ると壁に穴が空いていた
綺麗な穴
まるでコンクリートが乾かない内に
指を入れたような穴
深さはどのくらいだろう覗いてみたけれど
外まで見えるほどではないみたい
R「だから、これで隠してあったのかもね」
気にせず捨てた
Rが「じゃ棚はこの位置でいっか」
と元に戻すことにした
1ヶ月後、お互い落ち着いた頃に
食事をしようと言うことになった
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店に入って来た友達を見て驚いた
すごい目にクマ
私「どうしたの?仕事、大変なんだ?」
R「違う…最近、金縛りがひどくて」
週3のペースで午前3時に目が覚め
金縛りにあうとのこと
でも、変な事はないからストレス
かなってRが言ったので私も納得した
この1ヶ月、生活が激変だもん
そんな事もあるかも
その日は久しぶりに会ったこともあり
お互いに就職した会社の
悪口で盛り上がり遅くまで話し込んだ
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次の週が連休だったのでRの部屋で
呑もうと言うことになり私はお泊まりセット
持参で部屋に遊びに行った
パジャマに着替えて女子会の始まり!
会社のこと、彼氏の話し
たわいのない話しは深夜まで続き
まるで学生の頃に戻ったよう
寝転んだりしながらキャッキャ
騒いでいた
午前2頃に、お互い睡魔…寝ることにした
Rのベットと並ぶように布団を置いて
「おやすみー」電気を消す
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どのくらいたっただろう
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異常な寒さで目が覚めた
まだ、3月だけど真冬の外のような
寒さでガタガタ震えた
布団が氷のように冷たい
窓でも開いてるんじゃないの?と
部屋を見渡した
玄関の方から冷気が来るのがわかる
寒い………………寒い…
体を丸める
その時、キッチンの奥から
何か影のような物が動いた
キッチンと居間は磨りガラスの引き戸
で仕切られている
磨りガラスのせいか黒い影が…
揺れてるように見える
………?あれ?
気のせい?目をこらす
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…………………………
収納棚があるところ
その辺から揺れていた影が大きくなった
黒い塊が近づいてくるーー
人間?!
今は、はっきり見える
台所を這うように出てくると
部屋に入り立ち上がった
うなだれているので長い髪で顔は見えない
長い髪……だけど
体格から男だとわかる
やだーー
どうしよう!!!
近づいて来るーーーーーー!!!
金縛りで動けなくなっていた
Rのうなされる声が聞こえる
Rも金縛りになっているの??
男が私の所まで来て布団に
つま先が引っかかる
布団が反動で浮く
何度も何度も何度もーーーー
「ソッチマデ…イケナイ…」
「ソッチマデイケナイィーーー」
声が聞こえる!
Rの所に行けないって?
そう、言ってるの?!
早く!
早く!消えてーーお願いーー
いなくなって!!
恐怖で目を閉じているのがやっとだった
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気がつくと朝になっていた
夢?
違うリアルすぎる………………
目が覚めたRに「金縛りなった?」と聞いた
Rは普通に「なったよ」と答えた
男の事を話すと幽霊の存在を信じないRは
失笑して、やめてよって睨みつけた
Rは、そういうのが大嫌い
私が好きなので、そういう類の
話しになると前から嫌そうな顔をした
そうだよね…
自分の部屋を悪く言われたようで嫌な
気持ちにるよね
空気が悪くなったので、それ以上は
言わなかった
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帰りの駅のホームで目眩がした
体が熱い
まただよ………
私は、強い霊を見ると負けるんだろうね
高熱をだす
案の定
2日間、寝込んだ
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数週間が過ぎてRから電話が来た
あまりにも不眠が続くので、親が心配して
地元で祈祷師に見てもらうと言われたとのこと
地元では有名な祈祷師らしく、Rも
親に説得され、仕方がなく部屋の写真を
撮り送ったと言った
それで?それで?
私は急かした
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その方が言うには
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壁から何者かが覗いている
壁の何処かに何か印があるはずだ
と言ったそうだ
……………
………………………………!!
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思わず叫んだ
「あったじゃない!!」
声が大きくなってた
Rは、すっかり忘れてるのだろうか
あの穴……
「キッチンの棚の裏に穴があいていたでしょ?
ほら!プロマイドが貼ってあったじゃん?」
Rは絶句しているのか黙ったままだ
「そうだったね……」
消えそうな声で言った
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私は、すぐにRが引っ越すと思っていた
いくらお祓いをしてもらったとしても
気持ちが悪い
普通の女の子なら怖くて我慢できない
でも、Rは引っ越していない
母親は心配して移るよう勧められたらしいが
お祓いを受けたでしょ?と
取り合わなかったそうだ
口では怖いねって言っていたが…
部屋が特別、気に入ってるとは聞いてない
職場も近くはなったが電車で3駅もある
今時のオシャレな感じではなく
古いどこでもあるアパート
なんでだろう……
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次の年、母親が急死した
その次の年に弟が事故死
その次の年には父親も病気で亡くなってしまった
Rは毎年、葬式を出していたことになる
天涯孤独になってしまった……
Rの心の闇はどんなだろう
あの部屋の男のせいだとは言わないけど
どうしても考えてしまう
だってあの男は…
Rの所に行けないってハッキリ
言ってたんだよ?!
……………………
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R自身には、なにもない
まだ独身だけど役職になり仕事が忙しくて
といつも言っている
友人も多く海外旅行など年に数回は
行ってるととの事
私は結婚して、お互い生活ペースが変わった
私の引越しで家も遠くなり
会う機会が少なくなった
年に1,2回は会ってるかな
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でも……年々
…………
約束する度に、怖くなる
今度はどんな姿なのだろうって…
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ガリガリの体
ショートでパサパサに広がる髪
目が落ち込んで陰を作っている
神経質そうに薄い唇を
強く巻き込むようにしているので
痩せて大きく見える目が
もっと大きく見える
右目の充血が酷く……
充血と言えるのだろうか
真っ赤
前に会った時にアレルギーと言ってた
まだ、治らないのか
通り過ぎる人が見ているのが
わかる……
Rが私に気がついて手を振る
努めて明るく手を振り返す
笑うと顔の歪みが…酷い
人毛のような黒い細い糸が巻き付いている
ブレスレットに目が尖った怖い顔の
キツネのストラップがついた携帯電話
今日も全身、黒ずくめ
前は明るい派手な色が好きだったのに
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まただ……
食事をしていると突然、無口になり
表情が険しくなる
…………
店の外に出てしまった
私「どうしたの?」
R「隣の人の食べる音が我慢できない」
…………?
食べる音?全然、気がつかなかった
私が特別、鈍感なんじゃない…
と思う
会ってる時は、ずーとそんな感じで
すっかり、クタクタで帰る
毎回だ
もちろん、アパートの話しはしない
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でも…本当は
聞きたい……
同じアパートに住み何でもないの?
あの男は?
あの男は、もう出ないんだよね?
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だって……
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一緒に撮ったRの写真は……
手が異常に長かったり
顔だけ、のっぺらぼうのように
写ってなかったり、まるで幽霊と
一緒に撮った写真にのようだから
でも、しばらくたって見返すと
ちゃんとした写真にいつも
戻っている
これって……?
あの男とは本当に関係ないの?
Rの事は大切な友達だし好き
でも会う約束をした日から、ずっと怖い
会えるのが怖い……
作者あこ
下手な文章で失礼しました
最後まで読んで頂きありがとうございました
これはも昔、あった本当の事です
ちょっと解ると困るので変えてますが…