「最近噂になっているあのヤバイ心霊スポット、面白そうだから今日行ってみようぜ」
同級生のAがオレに声をかけてきた。
「おいおいちょっと勘弁してくれよ。行くわけないだろ」
「何だよ怖いのか」
「当たり前だろ」
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Aが言っている心霊スポットとは、
少し前に凄惨な殺人事件があったと噂の場所だ。
幽霊に襲われて命からがら逃げ出した人がいる。
取り憑かれて毎日のように夢枕に立たれたため、
精神を病んで廃人同様の人がいる。
さらには、行ったまま帰ってこなかった人がいる・・・
とにかく物騒な噂が絶えない場所である。
どこかの森にある小屋だという噂を聞いたが、
詳しいことは知らないし、知りたくもない。
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さすがにマズイと思い、必死に止めたが、
止めようがなかった。奴の決心は固く一人で行くことになった。
「じゃ、俺一人で行ってくるよ」
「ちょっと待て、流石にやばすぎるだろ」
「へーきへーき」
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次の日、Aはいつもどおり学校に来ていた。
「おはようA、心霊スポットはどうだった」
「ああ、特に何もなかったよ。心霊スポットなんてとんでもない、
静かで空気がきれいなところだったよ。お前も今度行こうぜ」
「いや、俺はいいよ」
「何だよ、つまんない奴。あ、俺呼ばれたから行くね」
「ああ」
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Aが歩き出した時、Aが足を引きずっているのに気づいた。
「A、お前足大丈夫かよ」
「ああ、昨日転んでな、暗くて足元見えなくてさ。じゃまたな」
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Aは少し急ぎ目に去っていった。
俺はやつの後ろ姿を見ながら呆然としていた。
Aの足元にしがみつく腕らしきものを見ながら・・・
作者地獄中年