高田さんには昔から付き合っている彼女がいた。
ひとつ年下の女性で、名前を侑李(ゆり)という。
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背は低めで、体型は至って普通。
顔は整っており物事をハッキリと言う、中身は男性的な性格だった。
実際、告白も侑李からだった。
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そんな彼女も今年社会にでた。
何事にも一生懸命だから、新入社員として毎日忙しく過ごしているらしい。
そこがまた彼女らしいと常々思っていた。
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「どうしたの?」
休日の昼下がり。
デート中、トイレから帰ってくると彼女は携帯と手帳を見比べている。
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「う〜ん。少しミスしたかもしれない。」
準備万端だと思っていた週明けに行われる会議だが、手帳を見直すと小さなミスに気がついたという。
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「明日は早めに出社しなきゃなぁ…」
今日のうちにやっておけないか聞いてみたが、社外秘のデータが必要らしく、関係資料が持ち出せないみたいだった。
仕方がないので、その日は早く帰ることにした。
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彼女をアパートまで送り、電車に乗る。
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バックから音楽プレーヤーを取り出す。
すると、一枚のメモが一緒についてきた。
手帳サイズのメモだったので、もしかすると彼女のだと思った。
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メモには走り書きのようなものがあったが
全く判読できない。
彼女が書くような文字ではなかったのでゴミだと思い、丸めてポケットに突っ込んだ。
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プレーヤーのイヤホンを耳にいれる。
再生ボタンを押した。…が。
いつまで経っても音楽が始まらない。
画面上では動いている。
ボリュームをあげようが、ジャック部分を弄ろうが、僅かな音も聞こえない。
再起動しようが無駄だった。
(これは修理に出さないといけないかぁ…)
そう思った瞬間。
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〈…プッ。プツッ。ふわぁあぁあぁ〉
突然、ノイズに混じり女の声が聞こえた。
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こんな音源、入れた覚えはない。
女の声はずっと続いている。
たまに呼吸音が聞こえるが、多分息継ぎか何かなのだろう。
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曲飛ばしをした。
しかし、女の声は止まない。
次に周りを見てみる。
しかし、空いた電車には男しかいない。
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じっくりと聞いてみる。
女の声は左右に動いている感じだった。
近くで聞こえたと思ったら、遠くからも聞こえたりと…。
まるで、すぐそばに女がいるようだ。
(何だよこれ?)
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電源を落とす。
だが、女の声は止まない。
耳からイヤホンをむしり取る。
だが、女の声は止まない。
自分の周りをグルグルと回っている。
(止まれ!黙れ!どっかいってくれ!!)
女の声が遠ざかり出し、そのまま声は消えてしまった。
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マンションに帰り着き、もう一度プレーヤーを確認したが、いつもと変わらない状態に戻っていた。
作者赤庭玖繰
こんばんわ。
アカギユウです。
今回の話は、初めてパートわけをしてみました。続きは後日、徐々に投稿していきます。
よかったら、ご覧ください。