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最初に言っておきます。これは、姉妹の前日談です。

そして、CALL MY NAMEのストーリーの後日談でもあります。

※※※

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私に名前は無い。

だから、名前を呼ばれる事も無い。

でも、別にどうでもいい。

何故なら、名前なんて無くても困りはしないから。

一度名前を貰ったら、その名前という肩書きに、

囚われるから。

そんなことより、この部屋から出たい。

この部屋には、本と鏡しかない。

この部屋の中にある本は全部読んだ。

怪物がいても良いから、外に出たい。

お姉ちゃんは、この部屋から出なくても良いと思ってる。

それと、お姉ちゃんには名前がある。

でも、気を使って要るのか名前を言わない。

だから、お姉ちゃんの名前を私は知らない。

でも、ある日。

なにを思ったのか、お姉ちゃんが

私の名前を聞いてきた。

私には名前が無い。どう答えれば良いのか分からなかった。

だから、私はお姉ちゃんを無視した。

そして、幾日が過ぎた。

私は、部屋の外に出ることにした。

お姉ちゃんに気付かれない様に出た。

とある姉妹が主人公の絵本を持って。

そして、私は後悔した。

外の世界には、何も無かったから。

そう、何も無かった。

私が求めている物は何も無かった。

私は、旅をすることにした。

そうすれば、求めている物が見付かると思って。

旅をしていて、私は身分を偽っていた。

女なのに男として生きていた。

そして、多くの人に出会った。

名前を忘れた人(幽霊)、

名前を棄てた人、

他にも色々な人に会った。

そして、気付いた。

どの人も、名前に縛られていると。

私に名前は無い。その事が始めて誇らしく感じた。

そして、私が求めていた物がこんな下らない物だと気付いた。

私は、あの部屋に戻ろうと思った。

そして、私はあの部屋に戻った。だが、誰も居ない。

まあ良い。この絵本を返しに来ただけだし。

そう言えば、あの絵本の最後、姉妹が死んでおしまいだったな。

いっそのことお姉ちゃんと死ねたら楽だったのに。

でも、まあ、お姉ちゃんが私の事を忘れて無いと良いな。

いく宛も無いし繭の所にでも行ってみようかな。

「私は最初から一人だったんだ。」

???お姉ちゃん、違うよ、私は居るよ。

ほら、此処に居るでしょ。

お姉ちゃん、私を見てよ。ねえ。

・・・・・

そっか。私、死んだんだった。

結局、繭の所には行けなかったのか。

お姉ちゃんは、私の事忘れちゃった。

『死んでも誰かが覚えてたら、その人は死んでない』

と言うけど、私を覚えてる人も居なくなちゃった。

私は、完全に死んだんだ。

でも、此で良いんだ。そう、此で良かったんだ、多分。

「名前の無い妹～!」

お姉ちゃんの声がする。

でも、もう、遅いよ。

「妹～、何処だ!居るんだろ!」

嗚呼、あの時、名前を何でも良いから言ってるんだった。

でも、止めて。お姉ちゃん。

私、死んでも死にきれなくなっちゃう。

最後に名前が欲しくなっちゃう。

名前が無いことは分かってる。

でも、名前を呼んで欲しくなっちゃう。

いや、お姉ちゃんが私の事、思い出したから良いかな。

じゃあね、お姉ちゃん。

「サヨウナラ。モウ会ウコトハ無イケド。」

お姉ちゃんに届くと良いな。

　　　　　　　　　　　～EN

でも、彼女、いや、妹の言葉が姉に届く事は無かった。

　　　　　　　　　　　　～END～