当時はソレを私達は忌み嫌っていた。しかし、私にはソレの言葉がわかった。
それはいつもカーテンで見えないようになっていて。
それでも夜になると蝋燭の光でソレの影だけが揺れているだけ。
ただソレは私にだけ話しかける。
「来る…。アレが来る。君には見えるか?月が満ちた夜、月を包む闇の遠い向こうからやって来る」
それだけを私に投げかけて黙る。
私はまだ幼いこともあり、中にいるソレの姿を見たくなってカーテンを開いた。そこに居たソレは龍の頭と人の体をした生き物だった。
着物を着こなし、私を静かに見つめ
「君よ…血に染まりし時が来る。
アレが再び大地へ降り、災厄をもたらさん。そしてカレがヒトを新たな時へと導く。」
ソレはそう言って、そっとカーテンを閉めた。
それ以来、その部屋からソレは居なくなったのです。私の知り合いの人達は慌ててソレを捜索していましたが、見つかりませんでした。
しかし、満月の日に必ず
今でも耳鳴りと、あの日の出来事を思い出します。
話し掛けられた内容。意味は分かりません。夢の内容。
アレは我々に気付いている。
何回も降りてきては、大地を汚し、法則を変える。「夢」
アレは生きている、死んでもいる。
形はある、姿はない。
アレが再び力を振るう。
大地を溶かし、不毛の地にかえん。
それは失われた知識と技術。
カレが導く新たな時へと導き、
そしてヒトはカレから希望を得る。
光を理解した時、
時が早く進み、闇を漂う。
そして故郷を見下ろし、
そして恋しくなる。
作者SIYO