「なあ!三階のトイレあるやん?あそこ、お化けおるねんて〜!」
友人にそう言われ、女子4人でそのトイレに肝試しみたいに行ったのは、
小学3年ほどの頃だった。
「そんなんでるわけないやん〜七不思議みたいな?笑」
「いいから!行ってみよ!」
そうして女子全員で固まりながら、ほとんど使われていない、
物置状態の三階へ向かった。
時間は普通に学校のお昼休みだった。
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三階についた。
廊下を歩くと、埃の匂いが充満していた。
なにか、気持ちが悪かった。
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「ついた!」
怖さを隠すためにわざと大きい声を出す。
「し〜!先生に怒られるやろ!静かーに」
女子全員で口に人差し指をあてがう。
「で、噂ってどんなん?」
ため息まじりに聞く。
「三階の三番目のトイレをノックして、中に入る。入ったら、三回、
遊ぼうよっていう。そしたら...」
唾を飲む。
「トイレのなかに連れて行かれちゃうねんて〜!」
「きゃーこわーい」
皆笑いながら、内心怖がっている。
「じゃ、誰と誰で入る?せいぜい2..いや、3?」
「え〜一人で待ちたくないよ〜」
付いてきた1人が言う。
「じゃあ、2でいいやん。三人はちょっと狭いし。」
「そうだね。」
「わたし行きたい!!」
さきに手を挙げたのは肝試しを提案したA子。
「もう一人は?」
.......だれも手を上げない。
A「わたしちゃん行こうよ!」
めんどくさいと思い、断ろうとしたがこいつも怖いのだろう。
すがりつくような目で見てくるので断りきれなかった。
「あーもう仕方ないなあ、じゃ、あとの2人は外で先生くるか見張ってて!」
「りょうかい!」
そうして私とA子は三番目のトイレの前に立った。
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A「よし、いくよ...」
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コンコン
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A「はいって!」
本当は怖がりの私は、帰りたい気持ちでいっぱいだったが、
見栄を張ってはいってしまった。
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バタン
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カチャ
A「...」
「言わんの?」
A「言って?」
「はあー、仕方ないなあ。
遊ぼうよ
遊ぼうよ
遊ぼうよ
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キャーーーーーーーーーー!!!!!
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女の子の叫び声が聞こえた。
「なに?!」
パニックに陥ったわたしとA子は、そのばにしゃがみこんでしまった。
A「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい...」
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ノックが聞こえる。が、遠い。
「もしかして先生が来たんちゃう?A子!行くよ!」
A「ふええん...」
私が泣きたい。
が、泣いてるA子を守らないとという、子供ながらの決心がついた。
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ドアを開け、廊下への扉に近づく。
「先生..?」
『そうや!大丈夫か?!早く出てこい!』
よかった、と安堵の溜息をつき、ドアに手をかける。
A「まって!」
「なに?!先生やって!」
A「違う..違うよ!!」
A子は私を引っ張り、個室の中に戻り、
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鍵を閉める。
「なんでよ?!訳わからん!先生やろ?!」
A子は震えて何も言わない。
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ガチャ
ふいに、廊下からトイレに入るためのドアが開く音がした。
と、その瞬間、背筋に虫が走るような感覚に襲われる。
(先生じゃない...)
カツン
カツン
カツン
カツン
カツン
カツン
カツ...
ドアの下の隙間から影が見える。
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コンコン
sound:14
コンコン
はぁーーという、息遣いが聞こえる。
『......』
ボソボソというこえが聞こえる。
(なんて言ってるの?)
気になってドアに近づく。
Aはこっちを見て〜首を横に振っている。
しかしどうしても気になった私は、ゆっくりとドアに耳をつけた。
『.....ょ..』
なんだ?
『...ソ...ぼょ...』
そぼよ、、?
なかなか聞き取れない。
とその時、
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誤ってトイレットペーパーのホルダーに足をぶつけてしまった。
その瞬間、みみもとで
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『アそボうョ』
とはっきり聞こえた。
.
.
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気を失っていたらしい。
目がさめると保健室にいて、A子が顔を覗き込んでいた。
A「大丈夫..?」
「うん。A子は?」
A「大丈夫。ごめん。私がこんなん提案したから..」
「ううん。誰のせいでもないよ。」
お互いはにかみ合う。
「ねえ、一つ聞いていい?」
A「なに?」
「なんで『あれ』が先生じゃないってわかったん?」
A「だって...」
A子はうつむく。
「なに..?」
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『わたしだもん』
『アーソーぼ』
作者私-2