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短編2
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この身が灰になろうと。

もう、俺は死んでいる。

他人には誰が死んだかもわからない死に方で…。

魂だけになった経緯を過去に時を戻し、これを読む君に真実を伝えよう。

それは今から5年前…

俺には付き合っていた彼女がいたんだ。

交際は6年も経ったあるクリスマス。

俺は彼女をフッてしまった…。

なんでか?それは彼女の両親から彼女との交際は許さない!とのことだった。今思えば駆け落ちすればよかったと、死んでから後悔した。

彼女は金持ちと結婚した。

両親が見合いをしたんだろう。

それから同じクリスマス…

俺は彼女が住む家にたまたま通りかかった時だった。

彼女が住む家の一階から爆炎がゴウゴウと音を立てていた。

俺は二階の窓を見上げると部屋には彼女の姿が…

俺は消防署に連絡し、彼女が悲鳴を上げているのを見ていた。

その時、体は勝手に燃え盛る玄関をぶち破った。

「何処から二階に上がるんだ!クソ!」燃え盛る焔は俺の皮膚を焼き

激痛を通り越し何も感じない。

「ドコダ?シナナイデクレ!」

もう髪、皮膚は焼き爛れた…

微かに見える視界から彼女を見つけ出した。

「息はシイル…ダイジョウブ、ヨカッタ。」俺は彼女を抱え燃え盛る焔を臆することなく階段を降り、外へ出た。外には驚く消防隊が居たが、私は彼女を抱えたまま、消防隊に彼女を渡した。

驚くことに彼女の体は怪我一つ無い

彼女の顔すら見えない目で涙を流しながら最後の言葉を彼女に呟いた。

「オマエ…ダ、ケニハ…幸せでイテホシイ…」

俺の体は消防隊によって支えられ

その場で息絶えた。そして一瞬にして灰になった。

火事の原因は放火だった。

金持ち夫を恨む人間が、この犯行に及んだ。そして彼女の金持ち夫は、別の事件で脇腹を刺され死亡。

それも金持ち夫を恨む犯行だった。

誰も俺があの放火で死んだとは知る由も無い。

だが、彼女だけは行方不明になった私を探し続けてくれている。

娘と一緒に。

…。

来世があるなら

もう一度、君を愛したい。

その時は、もう二度と離さないから…。

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