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ガタン・・・
店にグラスを置く音が響き渡る
それもそのはずだ、今日は大雨。
こちらの方は今日は大切な唯一
飲みに来てくれたお客様だ
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俺は、すかさず
「雨止みませんね~」
と、会話を持ち出す
お客も、
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「梅雨だしな、にしても降るな」
と一言。それに対し
「台風並ですよね、せっかくの
ジューンブライド、月末に結婚式
予定してたキツネさんはご愁傷さまですよ」
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俺なりの、渾身のジョークで返すと、
お客も
「確かに、キツネも一杯食わされたな」
と、なかなかの返答を返してくれた。
するとお客の方から、
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「なんだ、妖怪とか好きなのか?」
と話題を提供して頂いた
「えぇ、好きですよ、OOさんはこの辺の
方じゃないんですよね?」
「あぁ~OOだ」
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あまりにも具体的地名を言ってきたので
少し、その会話もしたが、ここでは省く。
顧客情報になるんで、言えないのが
申し訳ない、ただ、とりあえず田舎の部落
まではいかないがそれに近い集落らしい。
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そして、そこに伝わる話を教えてくれた
(書いてませんが俺は相槌してます)
客「座敷童っているだろ?」
「いますね、幸せを運ぶとかいう・・・」
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客「んにゃ、違うんだ、あれは本当は」
客「『駄四季童』つぅ~てな、山の神様の子供なんだ」
客「でな、山の神様が実りをつけに山に行くんだけど、
子供は祠でお留守番な訳さ」
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客「山の神様が必死に頑張って下さって、毎年豊作豊作で
俺らは生活出来てたのよ」
客「でもな、ある日、近所の馬鹿がその祠に、
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トラクターで突っ込んだよ」
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客「祠もな、木くずになっちまってぇ~」
俺「どうしたんですか?祠?」
客「いや、どうもねぇ、すぐ準備出来るもん
じゃねぇ~し、近くの神社にぐうじゃ(宮司のことか?)
に頼みこくって、一時保管してもらったのよ」
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俺「なるほど、じゃあとりあえずは事なきを・・・」
客「いや、そこがな、その年を境に米の収穫が伸び悩ん
じまってな、神様のお怒りに触れっちまったんだ」
客「オラらも急いで祠を建てて、お怒りをおさせて
もらおうって思ったんだがな、一向によくならん」
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俺「それは困りましたね・・・」
客「んだ、でもなオラ達も死活問題だから、考えて
立派じゃないけど、軽い鳥居とか作って誠意を
見せればって考えたんだ」
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客「で、作ったがさらに悪化し、オラらも途方に
くれたんだ、でどうしたと思う?」
俺「作る穀物変えたんですか?」
客「バカか、そんな簡単に穀物変えられるか!
話したろ、駄四季童って」
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俺「聞きましたが、どうするんですか?」
客「つまりだな、あの時駄四季童が死んで
神様を怒らしてるんだよ」
客「だったら、返せばいいだろ?」
俺「意味が少し分かりませんが・・・?」
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客「{こども}って漢字分かるだろ?
子を供えるって書くだろ」
客「だから、毎年子供を山の神様に
お供えして埋めてたんだよ」
俺「いやいや、まさか・・・」
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客「ははは・・・人形の話だよ」
俺「ですよね~ビックリしましたよ」
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客「まぁ20年くらい前までは人形
じゃねぇかったんだがな」
作者退会会員
おはようございます、Fredericaです。御拝読有難うございますm(__)m
毎度、乱文&駄文など御迷惑おかけてしております。
まだまだ、勉強中の身上で初心者。読みづらい点、伝わらない点も
多々あるかも知れませんが、温かい目で見て頂けると幸いです。
今回のお話、お店のお客様の土地のいわゆる風習や信仰とも言える
実話です・・・
また、会話では方言等は悩みましたがそのままにしました。
自分でも未だ「下手だな」と思うばかりですが
細々頑張ります、ではよろしくお願いしますm(__)m