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これは俺が学生時代、友人Kに起こった話し…
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夜中の2時を過ぎた頃だった…
バイトを終え、マンションの玄関を開けた途端に携帯が鳴った。
表示されてるのは友人Kの名前…
(こんな時間に電話? あいつは何考えてんだ)
俺『もしもし、こんな時間にどうしたん?』
K『良かった。お前ならまだ起きてると思って…』
俺『おぅ、今バイト終わって帰ったとこ。』
K『なぁ、今からお前の部屋に行ってもいいかな?』
俺『はっ? もう2時だぞ!こんな時間から来るんか?』
K『ちょっとヤバイことになって、頼むわ…』
いつになく真剣な声の様子に、俺は当然了承した。
土地勘のある人ならわかると思うが、俺の住むマンションは広島市内の平和公園近く。
Kのマンションは広島駅の新幹線口の近く。
しかも、Kの交通手段は自転車…
まぁ、30~40分ぐらいかかるだろう。
そう考えた俺は、先に風呂に入ることにした。
バイト終わりで汗だくだ…
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シャワーを浴びてると、携帯が鳴ってるのが聞こえた。
Kからだ…。
俺『もしもし』
K『今、マンションの下に着いた。』
俺『今、開けるわ』
あれ?まだ15分ぐらいしかたってないぞ…
なんて思いつつ、1階のオートロックの施錠を解除する…
しばらくすると…
ピンポーン。
俺『おぅ、開いとるぞ~』
玄関を開け、入ってきたKを見て驚いた…
今から旅行にでも行かれますか?ってくらいの大きなカバンを持って現れたからだ…
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聞きたいことは山ほどあったが…
俺『やけに早かったな?』
K『タクシーで来たから…』
???
(いつも金がない、金がないって騒いでるこいつがタクシー…?)
そんな疑問を感じつつ、
俺『で、何があったん?』
K『部屋に出たんだ…』
そして、Kは恐怖の体験を語りだした…
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その日の夕方まで彼は、小学生のキャンプに引率者して同行していた。
2泊3日のキャンプだった。
2日目の夜の出来事…
就寝時間になり、彼は受け持つ班の子供たちをテントで寝かし付けてから、スタッフのミーティングに参加した。
ミーティングを終え、テントに戻り並んで寝ている子供たちの一番端で彼も眠りに着こうと横になった。
ふと子供たちの方を見る…
(あれ?1人足りない…)
5人いるはずなのに、そこには4人しか見当たらなかった。
(トイレにでも行ったかな?)
そう思った時だった…
トントンッ…
彼の背中を誰かが叩いた…
(あっ、Aちゃんだなぁ)
彼は、班の子供の中でも一番のいたずらっ子のAちゃんが後ろに回り込み、背中をつついているんだと思った。
だから、1人足りないんだと…
K『も~、Aちゃん!早く寝ないと明日の朝起きれないよ』
そういって振り向く…
そこには…
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shake
Aちゃんではなかった…
真っ青な顔をして、額から血を流す男の子…
?『な…で、お……さん』
K『???』
?『なんで?おとうさん…』
そう言ってその男の子は消えた…
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あらためて、テント内を見渡すと…
居た…
Aちゃんは一番端っこで寝ていた…
4人に見えたのは、枕から頭がずり落ちてて、見えにくかったから…
じゃあ、さっきの子は…
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翌朝、他のスタッフ達にその話しをした…
『よくあることだよね~』
って笑い飛ばされた…
まぁ、とにかくキャンプ場なんかではよく聞く話し…
Kも、
『あぁ、ついに俺も心霊体験をしちゃったなぁ』
その程度にしか考えてなかったらしい…
そして、自宅に帰った…
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キャンプの疲れもあったKは、コンビニ弁当で夕食を済ませ、すぐに眠りに就いた…
どれくらい時間がたっただろう…
Kは物音で目を覚ました…
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ゴンッ!ゴンッ!
ゴンッ!ゴンッ!
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足下から聞こえる物音…
なんだろうって思いつつ、確認しようと身体を起こそうとしたとき…
(動かないッ!)
起きるどころか、足も、指先すら動かせない…
昨夜のキャンプ場での出来事がよみがえる…
(怖いッ!助けてッ!)
音は足下から彼の寝ているベッドの側面へ…
徐々に足下から頭の方へ近づいてくる…
『おとうさん… なんで?…』
また声が聞こえる…
フッと身体の力が抜ける…
たまらず、ベッドサイドに目をやる…
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shake
『おとうさん…なんでぼくをコロシタノ?…』
K『うわ~ッ!』
慌てて飛び起きる!
部屋の電気をつける!
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居ない…
ホッと胸を撫で下ろした時…
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ゴンッ!ゴンッ!
また音が聞こえ始めた!
慌ててキャンプ帰りでそのままにしてあったカバンを持って部屋を出た…
部屋の鍵を閉めるとき、室内からはすすり泣くような声が聞こえてたらしい…
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部屋を出たKは、広島駅から俺に電話を入れ、タクシーで俺の部屋に来て、今にいたる…
ということらしい…
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それから1ヶ月、Kは俺の部屋に居候していた。
マンションは解約し、新しく入るマンションも決めて来たようだ。
K『なぁ、今度引っ越しせんといかんのんだけど、1人で行くのは怖いし、手伝ってくれんか?』
俺『おぅ、いいよ。1人でするのは大変だろうし、色々とあったことやし…』
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引っ越し当日、Kと俺と同じ部の男1人、マネージャーの女の子2人の計5人で問題のマンションにやって来た。
階段を登り、部屋の前まで来たとき、隣の部屋の住人が出てきた。
隣人『あの君らさぁ、友達同士集まるのはいいけど、夜中まで騒ぐのはやめてくれんかなぁ』
K『えっ、この1ヶ月、部屋に戻って無かったんですけど…』
隣人『はっ!
嘘はダメだよ!毎日ではないにしろ、昨夜だって一晩中騒いでただろ!ずっと音が聞こえてたし!』
K『えっ、でも…
…すいません。気を付けます…』
俺たちはかなり憂鬱な気分になった…
でもいつかは片付けないといけないことだし、昼間の明るいうちに済ましてしまおうと、部屋に入った…
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しばらくは何事もなく荷造りは進んでいく…
このまま何事もなく終わってくれれば…
『なんか、家の電話に留守電入ってるよ。』
女の子の1人が言った…
嫌な予感はした…
でも止める間もなく彼女は再生ボタンを押した…
正確に覚えてないけど、20件以上のメッセージが入ってた…
そのほとんどか、無言…
たまに
ゴンッ!ゴンッ!
って音が入ってた…
そして
『なんで…、なんで…、なんで…』
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着信履歴を見ると、全てKの携帯からになってた…
本人は1度もかけていないって…
Kの携帯の発信履歴を確認する…
かけた履歴はない…
はっ?
どういうこと?
全く意味がわからん?
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後日、社長令嬢のマネージャーの紹介で、お祓いしてもらうことになった…
やって来たのは、袈裟を来た坊さんとその弟子みたいな人…
弟子は坊さんの事を住職って呼んでた…
住職『なかなか厄介な者を連れてきたな』
K『やっぱり憑いてるんですか?』
住職『今もお前さんの足にすがり憑いとる』
俺達一同『!Σ(×_×;)!!Σ(×_×;)!!Σ(×_×;)!』
みんなまとめてお祓いしてもらった…
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俺『あの~、部屋の方はお祓いしなくていいんですか?…』
住職『部屋にはおらん、人に憑いとった…』
俺『でも、隣の人が物音がしてたって…』
住職『あんた、見えたり、感じたりするじゃろう?』
俺『えっ…、いや…、たまに…』
住職『よっぽどあんたが嫌だったんじゃろうなぁ。ついていけんかったようだ。』
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(嫌がる?幽霊が?俺を?
そのわりにはよく見かけるけど…)
住職『あぉこの人なんか憑いとるなぁって思ったら、あんたの右手で両肩を払ってやるといい。』
《いや、そんな特技(?)要りませんから…》
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その後、Kの前に“それ”が現れることはなかった…
彼は卒業後、普通に就職し現在では結婚し子供もいる。
普通に幸せな人生を送ってるようだ。
彼にとっては恐怖の体験…
俺にとっても不思議な体験だった…
今では、普通に思い出話として話しをすることもある…
作者烏賊サマ師
長い話ですいません。
前回の創作はいまいちだったので、やはり今回は実話投稿です。