この話は『こっくりさん〜回想編〜』の続きとなります。
また『肝試しinカナダ』の番外編となります。
日本人の特技である《空気を読む》発動させてしまった…しょうがなく私達はこっくりさんのやり方を一通り説明した。
しかしそこで問題が。
そもそもこっくりさんとは日本特有のものであり、文字盤が日本語である。
どうしようかなどと話あった結果、共通言語が英語であることもあり、『はい』→『YES』、『いいえ』→『NO』、平仮名は全てアルファベットに置き換えることになった。
鳥居にアルファベット…その時点でかなりカオスだった。
10円玉は持ち合わせていたので、そこは通常通り10円玉を使うことになった。
準備を進める中、カナダ人がせっかくやるなら本格的にやりたい!と言い出した。
「降霊術ってことは、何か生贄的なモノが必要なんじゃないの?ほら、悪魔とか呼び出す時ってそんなのあったでしょ?」
えっ?!何を言っているのかと。
「日本のこっくりさんはそういうの必要ないからだ、大丈夫!」
「そうそう!悪魔を呼ぶ訳じゃないし、軽い遊びみたいなものだから、生贄なんて物騒なモノ必要ないから!それに『ウィジャボード』(海外で有名な木のボードを使ったこっくりさんのような降霊術)みたいなものだし…。」
奴らならやりかねないと、ここで日本人必死の抵抗。
だが私達の話に聞く耳をまったく持たず、
「せっかくここにカナダ人、韓国人、日本人という文化の違う仲間が集まったんだよ!ここはみんなの文化をミックスしてオリジナリティを出そうよ。」
そもそも降霊術と悪魔召喚は別物であり、オリジナリティって…。
「そうだね!せっかくやるならそれぞれの文化のいいとこ取りにしよう!」
あー韓国人のっかってしまったー!
完全に暴走モードへ突入。
こうなると奴らを止めることは出来ない。
「うーん…流石に生贄は難しいから、髪の毛とか血とか爪とかそんなんでいいんじゃない?」
「虫ぐらいなら調達出来るよ。ちょっと外見てくる。」
いやいや、もうそれ完全にこっくりさんではなく別なモノになってるから。
それに各国の文化がどこに入っているのかと。
こういう時、本当に日本人は良くも悪くも協調性を大事にしてしまうと痛感。
外から戻ってきた友人の手には蜘蛛の死骸。
そこでカナダ人、韓国人テンションUP↗︎
日本人ドン引き↘︎
この温度差は…。
話し合った結果…と言っても完全に日本人の意見は無視されたが、文字盤に血を垂らし蜘蛛の死骸をのせて余白部分に爪をまき、10円玉に髪の毛を巻き付けるということで話がまとまった。
着々と準備が進められ、さて誰が血や髪の毛を提供するかで揉め始めた。
日本人以外が勝手に暴走したにも関わらず、ここへきて怖気付いたのか、
「ここはやっぱり、こっくりさんの話を提供した日本人が提供すべきじゃない?」
などと訳のわからないことをおっしゃり始めた。
「ちょっと待ってよ!私達はそんなことするの反対したよ!言い出したそっちが提供すべきでしょ?!もめるならそもそもこんなこと止めればいいじゃない。」
ここにきて日本人やっと反撃。
「まあまあ、ここは恨みっこなしのジャンケンで決めよう。」
韓国人ちょっとグッジョブ。
正直な所言い出した方が提供すべきだと思ったものの、ここにきて友情を崩壊させるのも残念なので、ジャンケンで妥協した。
ジャンケンの結果なんと見事にカナダ人が3人負け、1人ずつ血、髪の毛、爪を提供し、その3人で10円玉に指をのせることになった。
心の中でガッツポーズをとったのは言うまでもない。
時間も程良く深夜2時。
ロウソク(アロマキャンドル)の灯のみの暗い部屋。
カナダ人の横には肝試しでも使われた、幽霊退治の必須アイテムのエアガン。
カナダ人3人は覚悟を決め、お決まりのこっくりさんを呼び出す言葉を発した。
「こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいでください。もしおいでになられましたら『はい』へお進みください」
何度か言葉にするものの、10円玉には反応は見られなかった…が、私は急になんとも言えない嫌な感じに襲われた。
寒気や目眩がし、体に何かが乗っているのではないかと思うほどの重圧を感じ、呼吸することすら困難になった。
そして窓は完全に閉め切り、風が入ってくる余地もない部屋にも関わらず、ロウソクの火がフッと消えた。
部屋が暗闇に包まれ、皆大パニック!
私は兎に角電気を点けようと重い体を引きずってスイッチまで匍匐前進。
そんな中突如エアガンの乱射音が部屋中に鳴り響き、まるで獣の咆哮のような雄叫び。
その途端不思議とスッと体が軽くなり、スイッチへダッシュ。
部屋に灯りが戻り、そこで目にしたものは…一心不乱にエアガンを乱射するカナダ人。
逃げ惑う韓国人&日本人。
まさに地獄絵図。
灯りが点き落ち着きを取り戻した私達日本人は、慌ててカナダ人を取り押さえなんとか落ち着かせた。
あれだけ一心不乱にエアガンを乱射し雄叫びまで上げていたにも関わらず、
「やっぱり幽霊にはエアガンだよな!
幽霊なんてチョロいもんだぜ!」
なんだかもう色々と突っ込み所満載で…。
だが、彼がエアガンを乱射した途端私の体は驚くほど軽くなったので、あながち間違いではないのかとも思ってしまった。
そんなこんなでこっくりさんは波乱の元終了した。
こっくりさんで使用した用紙は48枚に千切り燃やしたり、川に流すなどの決まりがあるが、すでに用紙はボロボロでとても48枚に千切ることは出来なかった。
使用した髪の毛と爪、蜘蛛の死骸と共に燃やし処分した。
果たしてあの時起こった現象はなんだったのか、またこっくりさんに変なオプションを付けてしまい良くないモノを呼び出してしまったのか、真相は謎のままだ。
作者宵闇-2
最後までお読み頂きありがとうございます!
自分で読み返し、一応オカルト的な要素はあるものの、果たしてこれは怖い話なのかと疑問に思ってしまいました(笑)
嘘のような話ですが、すべて実話です。