※注意:一部暴力的な描写を含む。
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ヒロシはある有名な暴走族に所属していた。
幹部クラスだったヒロシは、後輩達に金を集めさせたり、理由無く動けなくなるまで殴りつけたりと、それはそれは好き放題の限りを尽くしていた。
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ある時、連盟を組んでいるチームから応援要請が有り、大きな抗争に参加した。
血の気の多いヒロシは、鉄パイプを持ち込んで躊躇なく相手の頭を狙って暴れていたのだが、運悪く相手チームの車に轢かれてしまい両足の骨が折れてしまった。
動けないヒロシはそのまま車で拉致されて、◯◯山まで連れて行かれた。
大きな木に縛られ、全裸に目隠しをされた状態のまま、5人がかりで肋骨がボロボロになるまで殴りつけられた。
更に指を2本切断、男性器をライターで炙られ、耳の穴と尻の穴を瞬間接着剤で埋められてしまった。
数週間後、警察に発見された時にはそれは無惨な状態だったそうだ…
勿論、警察の懸命の捜査が続いたが、中々犯人は特定されなかった。
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暫くして、ヒロシと同じチームの幹部だった俊幸はある噂を耳にした。
それはヒロシを殺した犯人グループの中に後輩の森田が関与していると云うものだった。
俊幸は真偽を確かめるべく、事件以来姿を消している森田を懸命に探した。
数ヶ月後、他県のパチンコ店で働いていた森田を発見し、早速問い詰めると森田はあっさりと自分の犯行を認めた。
ブチ切れた俊幸はヒロシが殺された◯◯山まで森田を連れて行き、ヒロシの時と同じように裸にして木に縛り付けた。
そして、サバイバルナイフを取り出すと、無惨にも両足の親指を切り落としてしまった。
「助けて下さい!」と泣き叫ぶ森田に、俊幸は何故ヒロシを殺したのかと問うた。すると森田は、常日頃から傲慢で暴力的なヒロシを心底憎んでいたと漏らした。
俊幸は森田の太腿を何度も何度もナイフで突いた。
更には、余りの激痛と出血の所為で遂に気を失ってしまった森田の顔を、俊幸は情け容赦無く殴り続けた。
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ふと、誰も居ない筈の山の中で懐かしい声が聞こえた気がした俊幸は、周りをグルリと見渡した。
すると、森田を縛り付けている大木の直ぐ隣りにヒロシの姿があった…
その姿は亡くなった時のような無惨な状態ではなく、一緒にツルんでいた時の綺麗な姿のヒロシだった。
「サンキュー俊幸!もういいよそれぐらいにしといてやってくれ。それ以上やったら死んじまうぞそいつ…」
「…ひ、ヒロシ?!」
「俺は自業自得なんだ。遅かれ早かれあんな生き方をしていたらいつかはこうなってた筈だ… なぁ俊幸、もうお前は足を洗って真っ当な人生を生きてくれないか?なぁ頼む!お前には俺の様になって欲しくないんだ。この先は俺の分まで真面目な人生を歩んでくれ!」
それだけ言うとヒロシはフゥと消えてしまった。俊幸は肩を震わせながらヒロシの名を闇に向かって叫び続けた。
俊幸は気を失っている森田を車に乗せ、その足で警察署に出頭した。
幸い森田は一命を取り留めはしたが 、俊幸は森田に対する致傷罪と、今までして来た悪業の全てを自白して逮捕されてしまった。
そして拘留されて一週間が経った頃、俊幸の枕元にヒロシが立っていた。
「…ひ、ヒロシか?聞いてくれ!俺はここを出たら足洗って真面目に働く!結婚もしてガキ作ってお前の分までもしっかりと生きてみせる!だから…だから、もう俺の事は心配しなくても大丈夫だ!約束するよヒロシ!!」
俊幸は泣き崩れてしまった。
ヒロシはそんな俊幸の姿を見て安心したのか、とても嬉しそうな笑みを浮かべながら消えていったと云う。
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しかし、何故かその次の日からもヒロシは、毎晩の様に俊幸の枕元に現れた。
そして、彼は決まってこう言うのだ。
「サンキュー俊幸!もうそれぐらいにしてやってくれ。俺は自業自得なんだ、遅かれ早かれこうなっていたよ。お前は俺の分まで真面目に生きてくれ 頼む!」
それは、あの時◯◯山で聞いた台詞と全く同じだった。
その内に昼夜を問わず現れるようになり、その度にまた同じ言葉を繰り返した。
テープを何度も巻き戻しては再生するかの様に…
毎日毎日毎日毎日毎日…
俊幸は不眠症になり、そのうち重度の鬱状態に陥ってしまった。
…
そして留置所から病院に移されてからしばらくしての事、俊幸がトイレで首を吊っているのが発見された。
俊幸のベッドの枕元には、簡単な遺書らしき紙が一枚、残されていたそうだ。
「もうだめだ!!むこうにいかないとヒロシはゆるしてくれない!!」
と…
【了】
作者ロビンⓂ︎
尻の穴を接着されると、大変な手術になるので良い子の皆さんはやめましょう…ひひ…