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こんにちは。
牡丹です。
前作「私の家の中」で言ったように、家で起きたことを今回、投稿致しました。
前作を見ていない方でも、この話単体で楽しんで頂いて構いません。
私の父が体験した話です。
父sideで話を進めます。
駄文ではありますが、それでも楽しんで頂いけたら幸いです。
それでは、どうぞ。
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寝苦しい。
そう思い、時計を見ると午前2時30分過ぎていた。
最近は寝付きが悪く、睡眠薬を飲んでいるがそれも少しずつ効かなくなってきている。
ボンヤリと考えながら寝返りを打とうとしたら、ガチッと身体が動かなくなった。
首と頭、足と手、指も動かない。
金縛りだ。
思った以上に苦しい。
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目は動く。
懸命に目を動かし、周りを見ると物置から一際黒いモノが見える。
日頃から、あそこはあまりいいところではないし、日の光も当たらないから、近付かないようにしているのだが…
飼い犬の「L」か?
いや、、Lはマッサージ機の上で寝ているはず…
自分で部屋のドアなんか開けられない。
じゃあ、アレはなんだ?
空気が冷たくなる。
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見ているうちに、姿がだんだん蜘蛛のように見えた。
物置からゆっくりと這い出し、天井を登り、じりじりと近付いて来る。
天井を歩き、妻が寝ている方向に近付いていく。
なんだ、、?
何をするつもりなんだ?
妻に何をするんだ?
天井からスゥーっと降りてきて、妻の顔を見ると口へ入ろうとしている。
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背中に一気に鳥肌が立つ。
これは、まずい…
止めなければ!
止めなければならない!
入られてはならない!
直感でそう思い、声を出したが…
「☆#*○×〆%€=¥$〜!」
上手く声が出せない。
自分でも、何を言っているのか分からなかった。
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妻の口に入る瞬間
フッと身体が軽くなり、金縛りが解けた。
動ける!
頭で分かる前に、身体が先に動き
「この野郎‼︎」
声と共に黒い蜘蛛のようなものに蹴りを入れた。
当たった感触はない。
冷たい空気と共に、霧散して消えていった。
消えたのが分かると、糸が切れたように意識が遠くなった。
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気が付くと朝になっていた。
時計は7時過ぎをまわり、慌てて起き出す。
流石に起きなくては、仕事に行けない。
起きて下へ降りると娘(私)がいて「おはよう」と声がかかる。
父:「おはよう」
私:「おはよ」
父:「昨日の夜、起きてたか?」
私:「本読んでたから起きてた」
父:「そうか。その時に何か聞かなかったか?」
私:「え?何も聞いてないよ」
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父:「…そうか。」
私:「どうしたの?」
父:「…帰ってきてから話すよ。」
私:「分かったー」
支度を済まして、早々に仕事に行った。
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〜夜〜
仕事から帰り、ご飯を食べている時に、夜中にあった出来事を話した。
娘は、1人だけ神妙な表情をしている。
妻と息子はあれこれ意見を言い合っていた。
すると、娘が口を開いた。
お風呂に塩を入れるようにと。
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夕食を済ませた後、娘が色々と話してくれた。
実は内緒でたまに湯船に塩を入れていたこと。
病のせいもあって、体調を崩した時には特にそうしていたこと。
黒い蜘蛛のようなモノは、普段は二階の妻との部屋の物置にいること。
そして、その蜘蛛のようなモノは、下手したら妻を取り殺そうとしたか、取り憑いて何らかの悪影響を私達家族にもたらそうとしたかもしれないとのことだった。
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何故、娘が詳しく話せるかは分からない。昔から怖い話やオカルトは好きなのは知っていたが、そこまで話してくれるとは思わなかった。
私は、昔から可笑しなモノが見えるが、今回の蜘蛛のようなモノを見たのは初めてだ。
だが、この蜘蛛のことは聞いたことがある。
私の父が上へ逝く直前、父が「見てしまった…。」とボソッと呟き、何を見たのかと聞くと「黒い蜘蛛のようなモノ」と言っていた。
そして父は、その日のうちに、逝ってしまった。
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仕事の連絡を済ませた後、塩が入った風呂に入り、早目に寝た。
〜翌朝〜
何事もなく、朝を迎えられた。
昨日の夜中に起こったことは嘘だったかのように、何もなかった。昨日、塩をいれた風呂に入ったお陰だろうか?
物置を見たが、何も起こらない。
静かだ。
支度をして、朝食を取りながら考える。
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あの蜘蛛のようなモノは、何だったのだろう。
私の父が見たモノと同じモノだったのだろうか?
色々な疑問が浮かんでは消える。
分かることは、あの蜘蛛のようなモノは、私達家族の寝首はいとも簡単に取れるということと、私と妻の部屋の物置にいつも潜んでいるということだけだった。
作者退会会員
前作に関する話です。
駄文でも楽しんで頂ければ幸いです。
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