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短編2
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優しい老婆

これは、妹の夏美がまだ小学校低学年だった頃の話だ。

既に友達には見えない物が視えている事に気づいていた夏美は、その日も公園に居るはずの無い少年を眺めていた。

その少年はひたすらすべり台を登っては降り登っては降りを繰り返している。

時折、こちらをチラ見してくる少年に根負けし、「しょうがない一緒に遊んでやるかぁ…」と思った時、背後から夏美を呼び止める声があった。

「お嬢ちゃんそっちに行ってはならん… あの子に情をかけるとお嬢ちゃんの家族が悲しむ事になるからのぉ」

振り返ると、優しそうな顔をしたお婆ちゃんが夏美の手を握りながら微笑んでいた。

「夏美ぃもうすぐ出来るよ~」

砂場で遊ぶ双子の妹、美菜の声に振り向くと、そのすぐ後ろにあの少年が立っていた。

少年は両手を伸ばして美菜の首元に触れようとしている。

「ほら、アッチさいけーー!!」

お婆ちゃんが叫んだ。

「ほれ、お前はこっちさ来ては行けねーんだがぁ、はよ母ちゃん所に帰ぇれー」

美菜はお婆ちゃんの声も少年の存在にも気付いていない様子で、黙々と砂山作りに夢中になっている。

お婆ちゃんは夏美の手を強く握りながら言った。

「ほらの…相手にしたらいけん。あの子らは視えとる相手がちゃんと分かっとるよってにの…」

そう言うとお婆ちゃんは笑顔のままスウと消え、砂場にいた少年もいつの間にか消えていた。

これが多分、夏美が初めて「霊」をはっきりと意識した瞬間だった。

夏美の手に残ったお婆ちゃんの温もりは、その日の夜まで残っていたそうだ…

【了】

Concrete
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やあ姐さん方&光道氏、コメントサンクス!
この婆さんはこの後も夢の中や、迷子になったりピンチになった時などに、夏美の前に何度か現れたらしい…ひ…沙羅姐の言う通り、ご先祖様か守護様なのかも知れないな…

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ロビンM子さんの作品は、どれをとっても、当事者にとっては、とっても怖いお話ですのに、
どこか ほっこりとさせられます。
所々に、ユーモアや人情や 笑いのスパイスを効かせてくださるので、落語にも通じる面白さです。
毎回楽しませていただいておりました。
怖がらせてはいけない、でも、伝えたい怖さはちゃんと表現したい。
ユーモアのセンスの中に、そんな気配りと気遣いが感じられます。

妹思いの 繊細で優しい方なのでしょうね。
素敵なお話をありがとうございました。

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お婆ちゃん…
なんて優しい(ノω;`)

そのまま夏美ちゃんが少年に優しく接していたら、少年は夏美ちゃんを連れて行ってしまったのでしょうね(>_

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やあこんにちは ロビンさん

なんかこっちも暖かくなるお話ですね!
怖いだけが幽霊じゃない、そう再認識しました。

ロビンさんも夏美ちゃんも視えるのに、なんで美菜ちゃんだけ視えないんだろう…。
視えてたら霊能トリオ結成できたのに…クッ!w

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