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これは、私とHさんがデートに行った時のこと。
お寿司のチェーン店である○シローに入り、カウンターの席に通され、少し遅いお昼ご飯を食べに来ていた。
お昼の時間帯を過ぎても、まだ人はいた。
家族連れや子どもの野球クラブやサッカークラブに所属している奥様方、ご老人方、仕事で遅めのお昼休憩に来た方、中には高校生もいた。
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色んな話が聞こえ、ある人は食べながら同僚と話し、またある人は、ゆっくりお茶を飲みながらのんびりとし、それぞれお昼を楽しんでいた。
無論、私達も、お昼を楽しんでいた。
そんな時に、ある人が店に入り、カウンターの席に通されて入って来た。
カウンターの席と言っても、詰めて座る為か、丁度私の隣に来ていた。
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その人は、50〜60代くらいの年代で、作業着を着てお昼休憩をしている方だった。
隣に通されたせいなのか、その人のことが不思議と気になってしまう。
何故だろう…
いつもは、こんなに気にしない。
やたらと気になる。と頭の中で考えていた。
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私の好きな炙り海老がきて、食べていた時に彼は、私の隣に座っている作業着姿の男性をちらっと見ていた。
私:「…やっぱり、気になる?」
H:「…ちょっとね。」
彼は、何故か若干焦っていた。
というより慌てていた感じがした。
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フッと隣の人に目をやると、驚いた。
さっき入ったばかりの人が、もう10皿ほどお皿を重ねていたのだ。
食べるのが早い人なのかと思いきや、その人の食べている姿を目にしてしまった。
がっついていたのである。
それも、食べ方が雑で汚い。
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そんなにお腹が空いていたのかな?と思えるほど、がっついて、また次の皿を取る。
異様な雰囲気に「この人のこと、これ以上、見ない方がいい」と感じてしまう。
その後、空腹が満たされたのかお茶を飲んだあと、作業着の人はお会計を済ませ、お店から出た。
私達は、デザートも食べていたので大分後にお店を出た。
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お店を出て、車の中で食事の後の一服をしている彼は、さっきの作業着の人のことを話し始めた。
H:「牡丹の隣にいた人、ちょっと異様だったね。」
私:「うん…。何か、がっついてたし…(^_^;)あの年代の人でも、あんな食べ方するんだって、思っちゃった。」
H:「…まぁ、あんな食べ方するのも無理ないよ。逆に納得する。」
私:「納得?どうして?」
H:「餓鬼が憑いてたから。」
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私:「え…。嘘でしょ?」
H:「本当だよ。目が合っちゃったもん。」
私:「おじさんと?」
H:「餓鬼と目が合ったんだよ。」
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あの○シローには、今回合わせて2度目の来店だが、初めて来店した時には、店の中の雰囲気を変えるほどの憑き物を憑けた人がやって来たことがあり、早急にお店から出た記憶がある。
今回は、餓鬼を憑けた人と巡り合わせてしまった。
H:「あの作業着の人、多分、すぐまたお腹が空くよ。」
私:「…そんなに?」
H:「うん。随分と日頃の行いが悪いみたいだね。大分、大きい奴だった。」
私:「…どのくらい?」
H:「小さい子ども。3歳児か4歳児くらいの大きさで、肩にベッタリくっついてたよ。」
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餓鬼に憑かれると、食べ方が汚くなり、がっついて食べ物を食べるようになると書物で読んだことがあるが、目の前でそれを見ることになるとは思わなかった。
ガリガリに痩せ、足は浮腫み、腹が出ている亡者「餓鬼」は、自分が憑いてることは言うなよと言わんばかりに、Hさんを睨んでいたのだった。
作者退会会員
どうも、こんばんは。
牡丹でごさいます。
お読みに頂き光栄でごさいます。
まだまだ駄文で書き上がりもイマイチですが、それでも良いのなら楽しんでくれれば、幸いです。
今回は、憑き物の話です。