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「いってきまーす」
そう言って玄関を出た真由は、学校に向かう。
そして何事もない日常を楽しむのだ。
家に帰れば父と母が待っている。
父は朝早い代わりに帰りも早く、母は専業主婦だ。
両親は優しく、真由はそんな両親が大好きだった。
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ある日、珍しく父の帰りが遅かった。
心なしか母の顔色が悪く見える。
何かあったのか聞いても答えてくれなかった。
ニュースで近くの道路で交通事故が起こったと報道された。
夜11時、父が帰ってきた。
「おかえり」「遅かったね」
喋りかけても返事はなかった。
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次の日は父も普段通りに戻っていた。
でも、どこかが違う気がすると真由は思ったが、口には出さなかった。
母は何故か寝込んでしまい、その日のご飯は真由が作った。
父は早く帰ってきた。
夜になっても母は寝込んだままだった。
「お母さん、夕飯…」
真由が夕飯を持って行ったとき、母はすすり泣いていた。
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次の日、母の部屋には手紙が残されていた。
『探さないで』
母が居なくなった。
学校も休んで必死に探し回ったが、結局見つからなかった。
父はそんな状況でも危機感を抱いていなかった。
「いつか帰ってくるよ」なんてのんきに言って。
真由はそんな父を見て違和感を覚えた。
前の父なら私以上に必死になって探すはずだ。
遅く帰ってきた日から何かが変だ。
家を飛び出した真由は夜までずっと探し続けた。
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見つけきれずにそのまま家に帰ると、母が帰っていた。
「どこ行ってたの」と聞いても返事がなかった。
まるで父の時と同じだ。
次の日、やはり母に違和感を抱いた。
まるで同じ姿をした別人みたいだ。
真由はその日、学校に行くふりをしてサボった。
違和感の正体を暴くために。
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父と母は私が家を出てすぐどこかに向かった。
それは町はずれの大きな工場だった。
その中に入って行った父と母は暫く出てこなかった。
真由は気になり、工場に近付いて窓から中を覗くと
「なにこれ…」
大量の人型ロボットが作られていた。
それを見て真由は違和感の正体が分かった。
ロボットだったんだ。
父は交通事故、母は自殺して死んだんだ。
すべて分かった時、真由は後ろに気配を感じた。
振り向くとそこには数体のロボット。
「侵入者、直チニ抹消シマス」
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学校で真由は人気者になった。
いろんな話題に詳しく、誰とでも仲良くできた。
ある日友人が笑顔で言った。
「真由、前より明るくなったね。まるで別人だよ!」
作者楼らむ
イミテーション=偽物
近頃は偽物をつくる技術が上がっているそうですよ。
こんな世界も100年後くらいには来てるかもしれませんね。