やあロビンミッシェル子だ。
よもつ先生の怪談「御飯、まだ?」を読んでいてこの題名が思いついた事を絶対に内緒にしてくれる貴方だけに読んで頂きたい。
…
2日前に奇妙な夢を見た。
狭い空間。
俺は縦横5mにも満たないプレハブ小屋に閉じ込められていた。
中には業務用デスクとスタンド照明だけが置いてあり、他に何も無い。
窓は外から新聞紙とガムテープで目張りされているらしく、外を窺い知る事が出来ない。窓にある筈の鍵がない為、開ける事が出来ないのだ。
デスクの上には最新型のノートパソコンが置いてあった。良く見るとキーボードの隅に「番長と同じ」と油性ペンで殴り書いてある。
「ば、番長?」
ふと、視線を上げると天井一面に四角い紙が無数に貼り付けられていた。
目を凝らすとそれは全て日めくりカレンダーの様だ。一枚一枚に青い字の日付けが印刷されている。
数えて見るとそれはおよそ30枚程が貼ってあり、一番若い数字が「9月10日」とあった。
バアン!!!
突然、すぐ後ろの壁を、外側から何者かによって強く叩かれ、俺は驚きの余りデスクチェアー諸共、床へとひっくり返った。
「まだでスか?」
弱々しい女性の声。
「…だ、誰だ!!」
「ロビンさんこんにちはmamiです。もうずっと待ってまスよ…麗子…OF…」
バアン!!!
また違う場所を物凄い力で叩かれた。
「まだですか?一体いつになったら続編を書くつもりなんですか?ロビンミッシェル子さん…裂久夜です!女です!」
ダンディな…まるであの宝塚女優を思わせる、美しく伸びのある女性の声が、プレハブ内に反響した。
「えっ?mami氏に裂久夜氏まで?な、なんでここに?!」
バアン!!!
「ロビちゃん?鏡だけど…貴方ドSなの?書く書くって言っておきながら、もう一ケ月以上も放置しているわよ、一体何様のつもり?」
「か、鏡姐さん!…ひ…」
「最近調子に乗ってるんじゃない?ちょっと読者さんを舐めすぎじゃ無くて?」
バアン!!!
「…1日、2日、3日、4日、5日、6日、…ロビちゃん沙羅よ。」
「…ひ、ひい!!!」
「ロビちゃん『麗子OF THE DEAD』だけじゃ無くてもう1つ忘れている話があるよね?」
「 ………!!」
「ふふ、思い出したかしら?そう『幽霊タクシー』よね。ねえ書く気あるの?ロビちゃん姐さん達を怒らせたらタダじゃ済まない事は分かってるよね?」
「わ、分かってる!しかし中々ラストがうまく繋がらなくて!よもつ先生にアドバイス貰ったりして俺なりに頑張ってるんだけど、全然前に進まないんだ姐さん!ほんとに悪気は全く無いんだよ!!」
「ロビちゃん?貴方がもたもたして読者をイライラさせるから、番長があんな酷い目にあったりすんのよ、分かってるの?全部貴方のせいなのよ!」
「…や、止めて!番長のキズはまだ癒えていないんだ!その話はマイペだけにして下さい!お願いします姐さん!」
「いいから早くその番長と同じメーカーのパソコンで「幽霊タクシー」の続きを書きなさい!」
「…うう、」
バアン!!!
「きゃ!痛い!!」
「あら、その声はもしやまりかちゃん?だ、ダメよそんなに壁を力強く叩いちゃ!ロビちゃんには私達からちゃんと言っとくから、まりかちゃんはもう少し安静にしてなきゃ!」
「はい鏡姐さん、あのロビンさん聞こえてますか?まりかです♪♪」
「は、はい聞こえてます!」
「私も『幽霊タクシー』待ってるからねー♪…出来るだけ早く読ませてね♪じゃまた怖話でバイバイ♪♪」
「は、はい!」
鏡姐さんと沙羅姐さん、そしてまりか姐さんの声が小屋から遠ざかって行った。
だが次の瞬間。
バアン!!バアン!!バアン!!バアン!!バアン!!
「ひ、ひいいい!!!」
「やあこんにちはロビンMさん仲間です(´▽`)/ 今、僕と一緒にあんみつ姫さん、小夜子さん、紫音さん、はるさん、はなさん、ピノさん、りこさん、宵闇さん、appleさん、珍味さん達が来て下さっています。あ、因みにNAOKIさんとパグ太郎さんは仕事が忙しくて来れませんでした。」
「………!!」
「ロビンさん、これだけの皆様を期待して待たせておいて、『俺は中華屋の若大将だー!!』とか『最近、激カワ女子高生のサキちゃんと別れましたー!』は無いでしょう…そんな下らないコメント書いてる暇があったら、早く続きを書いてくれませんかねぇ?」
「…す、すまない!仲間氏の言う通りだ!確かに俺は最近、過去の話を「加筆修正して出す」という楽な道ばかりを選んでいた気がする!だが、これだけは信じてくれ!俺は昨晩、麗子の続きを4時間もかけて書き上げたんだ!しかし!」
「しかし?何ですか?」
「さ、最後の、最後の見直しの際に誤って「全削除ボタン」をポチッとしてしまった…ひ… 俺の4時間全てが一瞬にして消えてしまったんだよ!」
「ロビンさん、貴方馬鹿なんですか?」
「ああ、俺はもうダメだ!仲間氏!後は頼んだ!もうこの辺りで俺は…引退するよ…皆によろしくと伝えてくれ…ひぐ…」
「…ろ、ロビン…さん」
…
俺はそこで目が醒めた。
枕が涙で濡れている。
時間を確認すると昼の12時を少し回っていた。
どうやら今日のランチは遅刻の様だ。
iPhoneを見ると、アルバイト君からの不在着信が3件も入っていた。
さあ、今日は店をズル休みして続きを書くとするか…ひひ…
【了】
作者ロビンⓂ︎
ある意味怖い夢でした…ひ…