赤ワンピの女

あっ！！

やっぱ今日もいるよあの女！

また、下校中の小学生の列をジロジロと眺めてやがる！

朝方はあまり見かけないけど、夕方のこの時間になると必ずこの交差点に現れんだよな。

ギラギラに目を血走らせて、食ってやろうか？！って面して突っ立ってんだ。

最初は自分の子供でも探してんのかな？って思ったけど違った。

辺りが暗くなって子供達の姿がなくなると、いつの間にかアイツも消えてるんだ。

いつも赤っぽいワンピース着てて手も脚も胴体も異様に長え。飯食ってますかぁ？ってぐらいガリガリだし、正直ブス！！

いま冬だっつーのに季節感のない服装しやがって…

間違いない、アイツは異常者だ！

…

昨日気付いたんだけど、アイツはどうやら猫が苦手みたいだな。

猫が近寄って来たら慌てて逃げやがんのwww…ひひ…変な奴だよ全く！

ボクはもういい歳だから、家族に引っ張って貰わないとオモテを歩けない。

生まれつき口が聞けないし、学校にも通った事がないから字なんかも書けない。

だけど目だけはまだまだ自信があるんだ！

ボクの目の黒い内は、絶対に子供達には手を出させねぇぞ！ふん！！

しかし不思議な事にこのロビン…

この馬鹿にはこの気持ち悪い女が見えてねぇみたいなんだよな…

いや、こいつだけじゃねぇ！他の歩いている奴らだってそうだよ。こんだけ気持ち悪い女が交差点に突っ立ってんのに、誰１人として見向きもしねぇ！

いや、そう言えば夏ちゃんだけはこの女が見えてるって言ってたかな？確か名前は…ミ…ツ… んー駄目だ！思い出せない。

こいつさ、一度すれ違い様に思いっきり「ガン」つけてやったら、めちゃくちゃ迷惑そうな顔しやがったんだぜ！ボクに「向こう行けシッ！シッ！」ってしやがったんだ！クソ！腹立つ！！

あっ、因みにそん時気づいたんだけどあの女が着てる服、赤いワンピースじゃなかったよ。

後ろから見たら真っ白なワンピだった。

赤いのは全部アイツが吐き出した血だったんだ。もう首元から足先まで真っ赤っかんなってんの！！

…アイツどっか調子悪いんかな？汗

ま、まあ、そんな事はこの際どうだっていい事だ。あいつが不審者な事には変わりねえんだしな！

しょうがねぇから「気付け馬鹿！」って散歩中にロビンのズボン引っ張ってみたんだけど、迷惑そうな顔しやがんだよなこいつは。

引っ張っても引っ張ってもボクのいう事なんて聞こうともしないんだぜ、本当に嫌いだよこいつ…

いいよ！いいよ！もう知らねー！ もし事件が起きたって、ボクは知らねーからな！！

…

…

段々暗くなってきたな…アイツは？ あっ！もう消えてるよ！ ！

なんなんだよアイツは！本当に気持ちの悪い女だな！！

…まあでも、今日も子供達が無事だったから良しとするか。

ボクは子供達の事が大好きだし、子供達も多分ボクの事が好きだ。

いつもボクを見つけると走って来て頭を撫でてくれたり、抱っこしてくれたり、学校の話なんかを無邪気な笑顔で聞かせてくれるんだ。

やっぱりあの子達はボクが守ってやらなきゃ駄目だな！うん！

マモルだけに…フガ…

よし！あの女明日もアソコに立っていやがったら、足に噛みついて小便でも引っ掛けてやるか？ひひ…フガ…

あっ、そろそろ帰って飯の時間だ♪

今日もボクが大好物のキャベツの芯とササミに人参、混ぜてくれてっかな～♪♪？…フガガ…

【了】