「なんだ死んでないじゃないか」
車ごと崖から突き落としたにも拘らず、男にはまだ息があった。
「やだ、まだ生きてんの?本当にしつこい男ね」
俺はトランクから木製のバッドを取り出した。
「ほっといても死ぬんじゃないこいつ」
「いや万が一生き延びたら俺たちは塀の中だぜ、それでもいいのか?」
男を引き摺り出して後頭部を思いきり殴ると「ぎゃ!」とだけ残し、身体中を何度か痙攣させた後、完全に動かなくなった。
帰りの車内で、俺の左腕に戯れ付きながら彼女は言った。
「ねえねえ、お金が下りたら約束通り結婚してくれるんでしょ?」
俺は込み上げて来る笑いを悟られない様に、前を向いたまま頷いた。
【了】
作者ロビンⓂ︎
これは数年前に実際に起こった事件が元です…ひひ…