これはある病院であったらしい話し。
「aさーん、夜の見回りいきましょう」
「はーい、わかりました。」
そんな風にいつもの会話があった。
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病院は夜でも眠らない。患者さん達の見回りなど、夜でもする事はたくさんあるのだ。
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「じゃあ、次は5階の部屋ね。」
「重症の人が多いから気をつけなきゃね」
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5階の巡回も終盤に差し掛かり、ある部屋のドアを開ける。
この部屋は特に重症の人が多い。
そっと中に入る。
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「あらっ?あそこのベッド。何か白い物がひらひらしてる」
「ウソでしょ。私見えない」
「本当だって。ほら」
「見えないよ、やっぱり」
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何かを見たaさんは目を凝らしてそのひらひらを見る。
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「あれ、ちっちゃい子供が踊ってるんだ。どこかの病棟から抜け出してきちゃったのかな?」
「ちょっと、良い加減にして。そんな事で時間取ってどうするの」
「あそこのおばあちゃん、子供が好きだし、どこかの部屋からきちゃっただけかな。でも、一応、連れ戻さなきゃね」
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しびれを切らしたbさん。
「私、もう上の階に行くから。勝手にして」
「もう。終わったらすぐに行くからね」
上の階へと行ってしまった。
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結局、aさんが来たのはだいぶ経ってからだった。
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「あの子、結局どこの子か分かったの?
「いや、わからなかった、というかいなくなっちゃった」
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翌朝「その」ベッドのおばあちゃんが亡くなられた。
「良い人だったのにねぇ」
「本当にね。」
「そういえばさ、あのおばあちゃん、数日前からすごく楽しそうだったの」
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「なんで?」
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白い服を着たちっちゃい子供がさ、踊りながら「あっちで遊ぼう」てずっと誘ってきたんだってさ。
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さて、あっちとはどこなのか。
作者Kosaku.tt
脚色あり。楽しんで貰えれば幸いです。