俺がこの7階建てのマンションに越して来たのは約1年前。
7階から見る眺めの良い景色が特に気に入っている。
チン
「ドアが開きます」
ある日、仕事帰りのエレベーター内で、両手に買い物袋を抱えたおばさんと乗り合わせた。
チン
「3階です」
おばさんは軽く会釈しながら下りて行った。
チン
「8階で御座います」
「………… 」
チン
「8階デ御座いマス」
ここは何処だ?
目の前の空は、秋の夕日とは到底思えない程に、黒みを帯びた赤に染まっている。
チン
「ハ チ カ イ デ ゴ ザ イ マ ス」
「………… 」
俺はその無機質な音声に後押しされるかの様に、廊下へと一歩踏み出した。
チン
「シ タ ヘ マ イ リ マ ス」
はっ!と我に帰り振り返ると、そこはコンクリートの壁へと変わっていた。
【了】
作者ロビンⓂ︎
今回は異世界系ですのだ…ひひ…