えみちゃん10歳、兄13歳と多感な時期のお話。
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兄は部活のサッカーにのめり込み、母は仕事中。必然的にえみちゃんは一人の時間が増えていました。
そんな中、えみちゃんは時間潰しの方法を考えて 試行錯誤。もう、10歳頃には人の後ろのモノや、何となくこれから起こりそうな事が分かるようになっていたと言う。
よし、今日もにいちゃんを観に行くか!
と 壁に寄り掛かるように座り、目を瞑る。
そう。幽体離脱。
7〜8歳頃に初めて幽体離脱を体験。初めは夜に目を開けると「天井」が目の前にあってビビったそうですが、それから回数を重ねる毎に 家の中をグルグルと回ったり、外に出れるようにまでなったそうです。
意識的に出来るようになったのは 最近の事。行った所で有れば 強く思うと其処に行けるようになったと…。スゲー!
兄の中学校は何度か前を通っているので、難なく到着。
「兄者はどこじゃー!」などと言いながらサッカーをしている人の中を探していると 兄を発見!
「あ!いた!おーおー!真面目にやるおるなー!…」と思っていると、何か違和感。
「…ン?なんだあれは?」と兄の近くにヒラヒラと何かが巻き付いていた。よく見ると「お札」が連なり、兄に巻き付いている!
「ぐぇ、なんじゃあれ。気持ち悪!」と思っていると一枚のお札が校舎の方にヒラリと呼ばれるように舞い戻る。
校舎の二階、真ん中の窓にオカッパ頭の女の子がいる。其処にお札が舞い戻る。
そのお札に何かを書いてまた、兄に向け飛ばす。また、書いて兄に飛ばす、を繰り返している…。
その内、兄の両足に巻き付き始め 兄は呼吸も荒くなり、動きにくそうに走っている。えみちゃんは直ぐに思った。
「あの人、兄に念を飛ばしてじゃましてるな」
そう思った矢先、オカッパ女の手が止まる。
ユックリ、ユックリとオカッパ女の頭がこちらに向いている…。
「チョイとヤバイな…。でも、にいちゃんが心配だ。話だけでもやってみるかな…」とオカッパ女の元に自分から向かう。
ソレは今の時代とはかけ離れた時間軸にいることが分かった。見た目は普通の女の子なのだが、なんせ周りが暗いし 冷たい。
「ね、ねぇ!にいちゃんに何してるのよ!」の強気で聞く。と、その時 初めて感じた「風」。
自分の強い言葉と共に「風」がオカッパ女に当たる。
オカッパ女は少し嫌な顔をし、怯んだ。
その後オカッパ女が黒い口を開く…。
「あゥ…、一緒に…いく。あの人…一緒に…。」と言っていたので
「にいちゃんはどこにも行かないよ!あなたとは違うんだから!」と言うとオカッパ女はまた、「風」に当たり怯んだが直ぐに立て直す。みるみる顔が般若みたいな形相になり、
「ジャマするな…一緒に行く!」と言うと 私に黒い何かを飛ばして来た。
そう。真赤に燃えているかの様な「お札」を。
しかし、「お札」はえみちゃんの前で止まり 下に落ちて行きました。
オカッパ女が「?」みたいな顔をしている時にえみちゃんが反撃。
当時、やり方は知らなかったものの 身体が勝手に動いていたと。
手を「印」の字に結び、「お前なんか消えてしまえー!」と言いながらオカッパ女に何かを飛ばす。
「白く、強い意志の感じる風」なる物をオカッパ女にぶつける。
「バリン!!」
窓ガラスが割れたかと思うと オカッパ女は風に当たると周りの空間ごと消えて無くなった。
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「…み…。えみ!」と母の呼ぶ声が聞こえる。
ふと目を開けると母がいた。「お母さん。おかえり!」と何事も無かったかの様に返す。
「もう、白目むいて寝てるから 少し心配しちゃったよ!」と母。
暫くすると、兄が部活から帰って来た。
「ふいーッ!疲れた!」とボロボロになった靴を脱ぎ、家に上がる。
もう、あの気持ち悪い「お札」は無かった。
「にいちゃん、今日部活の時 初めはシンドかったでしょ?」と聞くと 真顔で答えた。
「あぁ、何で知ってんの?そうなんだよね。途中まで息苦しくて、足も思うように動かなかった。でも、あ!そうそう!部活の途中でイキナリ校舎の二階の窓ガラスが割れたんだよ!!でもさ、それから調子良くなって 2得点だぜー!」と自慢気に語る。
この時はまだ、兄はえみちゃんの能力を知らなかったんだと。
後日談、兄はいつも校舎の裏の小さな祠?みたいな所に参っていたそうです。其処にいたオカッパ女の念が同情したと勘違いし、一緒に連れて行こうとしていたんでしょうね。えみちゃんは後でこんな事も言っていました。
「もう少し、話を聞いてあげたかったけど なんせあの時は必死でしたから…。」
次回予告!えみちゃんの見た「朧車」
作者マコさん
脚色はしてますが!話は全て実話です!
沙羅兄さんと幽体離脱勝負して欲しい。笑