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彼女は俗に言う‘視える人’では無い…
俺と一緒に居る時、俺には視えていても彼女には視えていないなんてことは当たり前のようにある…
だけど、彼女は夢を見る…
とても不思議な夢を…
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その日は、朝からとても忙しかった…
俺の人生の中でも一番と言えるくらいに…
部屋の中で準備に追われる俺の所に、彼女がやって来たのは予定の時間を15分ほど過ぎた頃だった…
俺『何してンの?早く用意しぃや!』
彼女「ねぇ、あんたのおじいちゃんとお婆ちゃんの写真ってある?」
俺『はぁ?急になに?』
彼女「今持ってる?」
俺『いや、今持ってないけど、親が持ってくるんじゃないかなぁ?』
彼女「そうだよね…」
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俺『あぁ、携帯のアルバムの中にばぁちゃんの写真ならあると思うけど…』
彼女「見せて!」
俺は、準備を中断し携帯を彼女に渡した…
携帯をのぞきこむ彼女…
彼女「やっぱりね…」
俺『はぁ? なに?』
彼女「今朝、夢を見たんだけど、お婆ちゃんが出てきたの。一緒にいたのは多分おじいちゃんだと思う。」
俺『…』
彼女「背が高くて、杖をついてた。おじいちゃんは一言も話さなかったけど、ずっとニコニコしてた。」
俺『多分じぃちゃんで間違いないな。黙ってニコニコなんてじぃちゃんらしいわ…』
彼女「ずっと、あんたのことをよろしく頼むってお願いされた。自分が辛くてもそれを隠して無理する子だからって…」
俺『それを伝えにお前の所に?』
彼女「今日も、見てるからって…」
俺『そうかぁ、来てるんだ…』
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俺と彼女は並んで座っていた…
彼女「ねぇ、夢の中でおじいちゃんとお婆ちゃんが座ってたのって、あの辺だと思うんだけど…」
指を指した方向に目を向ける…
居た…
懐かしい顔だ…
俺が高校の時にこの世を去ったじぃちゃん…
2年前に同じくこの世を去ったばぁちゃん…
俺『居るよ。ばぁちゃん泣いてるよ。じぃちゃんは相変わらずニコニコしてる…』
彼女「やっぱりね。来てくださってありがとうございます。」
そう言いながら、彼女はその方向に向かって深々と頭を下げた…
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もう気付いてる人もいると思うけど、これは俺と彼女の結婚式の日の出来事…
式も終わり、出席してくれた人達を見送る…
一番最後の人を見送った後だった…
「おめでとう。しっかりな。」
大好だった、じぃちゃんとばぁちゃんの声が聞こえた…
作者烏賊サマ師
先日怪我をした日は、何度目かの結婚記念日の2日前でした。
お陰で記念日の当日は病院のベッドで…
しかも検査やらなんやらでホントにバタバタした1日になっちゃいました。
前作の後で、温かいコメントくださった方々ホントにありがとうございました。
気づかってくれる顔も知らない方々、救急車を呼んでくれた偶然居合わせただけの釣り人さん、俺が搬送されたと聞いて、仕事を休んで車と釣り道具を取りに行ってくれた友人、そして、いつも支えてくれる、嫁さんと、子供たちに心から感謝します。
沢山の人達に支えられて、生きてるンだなぁって実感した今回の事故でした。
あっ、本文ですが怖い話しじゃなくて、申し訳ありません。