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マリカ。〜狂ったオンナ〜

長編8
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マリカ。〜狂ったオンナ〜

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彼女との出会いは、某SNSの地元民サークルだった。

会社と家の往復と、たまに誘われる同期との飲み会、事あるごとに俺に楯突いてくる部下、無理難題を押し付けてはいちゃもんをつけてくるいけ好かない上司___そんな日々のストレスを発散しようと参加した場所だった。

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簡単な挨拶を交わすと、自宅の周辺や、よく利用する飯屋や居酒屋なんかの話で盛り上がったりもした。

なんとなく楽しかった。

毎日訪問して、だんだんメンバーと打ち解け、敬語だった会話がタメ口に変わる頃、彼女は現れた。

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『はじめまして(*´艸`*)こういうとこに参加するのって初めてでよくわかってない素人ですが、これからよろしくお願いします♡』

ある日覗くと、新規参加者が必ず挨拶をする事になっている【自己紹介】スレッドが上がっており、そこには《マリカ》というハンネとアイコンと供に挨拶文が打ち込まれていた。

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リアルでもそうだが、新しく集団に入る時は、色々と不安で心細いものだ。

ましてこんな顔も見えない文字だけの世界では、自分の打ち込んだレスに話しかけて貰えないと、孤独感に苛まれる。

俺もそうだった。

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きっと彼女も返事が返ってくるまでは、ソワソワしている事だろう。

そう思い、ノートパソコンのキーボードを叩いた。

「はじめまして!たけしです!これからよろしくね♪雑談に移動しておしゃべりしましょう!」

そう打ち込んでサークルのトップ画面に戻り、そこからスレッド一覧へと飛んだ。

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既に雑談スレが一番上に上がっている。

「早いな(笑)」

少し笑って、雑談スレを開く。

『お返事ありがとうございます♡誰も話しかけてくれなかったらどうしようって不安だったので、すごくうれしいです!』

かわいいな。。。

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それからしばらくお互いの自己紹介も兼ねて他愛もない雑談をして、日付が変わる頃にパソコンを閉じた。

なんだかとてもウキウキしている俺がいた。

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マリカは、今年25歳になったばかりのOLだそうだ。

仕事は楽しくやり甲斐もあるが、元来抜けているところがあるせいか、上司には怒られてばかりだと言う。

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今日もシュレッダーを頼まれた書類を、間違ってコピーしてしまい、部署のメンバーが笑いを堪えている中、呆れたように上司から説教をされたらしい。

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俺の頭の中で勝手にイメージされた、肩より少し長いストレートヘアのマリカが、コピー機の前で上司から説教されながら肩をすくめて俯く後ろ姿を想像してクスクスと笑いながら、久しぶりに心地よい眠りに落ちた。

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会社では相変わらず無理難題を押し付けてくる上司が、頭ごなしに俺を怒鳴る毎日。

上司から受けた指示を部下に回すも、ふてくされて返事もろくにせず、面倒くさそうにデスクに戻る部下の背中。

あー!まったくどいつもこいつも。。。

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だが最近の俺は、そういう日々のストレスもあまり苦にならなくなっていた。

帰宅して風呂上りに飯代わりのツマミとビールをチビチビやりながらマリカや他のサークル仲間とする会話が、俺のささくれた心を癒やしてくれているからだ。

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最近は、ほとんどマリカとばかり話している気がする。

ふとそんな感じがして、なんとなくスレッドをひとつひとつ読み直してみた。

どこのスレッドにも、ほとんど俺とマリカの会話ばかりで、たまに古参のメンバーと一言二言言葉を交わしているだけ。

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しかも遡っていくうちに気付いたのだが、マリカに話しかけているのは、俺以外誰もいない。

「???」

俺が参加した時は、挨拶した途端色んな奴が話しかけてくれた。

それはその後新たに参加したメンバーの時も同じだった。

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だがマリカに対しては、挨拶への返事も、雑談やその他のスレッドでのマリカの書き込みに反応する者もいない。

もちろんマリカに呼びかけて会話を促す者も一人もいなかった。

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そんなに話しかけ難いような子でもないし、たまに会話が噛み合わなくて笑う事もあるが、明るくてきちんとした子だ。

俺との会話が盛り上がりすぎて、入り込みにくかったんだろうか?

いやそれにしては、他のメンバー同士での会話もほとんど上がっていない。

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たまに誰かが書き込んでも、それに対する俺の返事にもう一度だけ返事を返してくるくらいで、あとはいくらコメントしても返事が返ってくる事がない。

気にしていなかったので今まで気付かなかったが、明らかにこれまでとサークルの雰囲気が変わっていた。

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いつもは風呂から上がるとすぐに、ビール片手に

「ただいまー」

と打ち込むと、すぐさまマリカから

『おかえり♡お疲れ様♪』

と返事が来て会話が始まるのだが、その日は帰宅した事を知らせるコメントを打ち込むのも忘れて過去スレを読み漁っていた。

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やっぱりおかしい。マリカが自己紹介をした日から、俺以外のメンバーの書き込みがほとんどなくなっている。

パソコン画面に食い入るように見入っていると、メールの受信音が響いた。

スマホの方だ。

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俺は何も考えずに、そのメールを開いた。

そこには_______

『よぉ、久しぶり。サークルではあんま話さなくてスマネ。実はお前に知らせておきたい事があってよ。これに気付いたらメールしてくれ。』

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サークルのメンバーでも特に仲良くなり、お互い自宅が近い事もあって、実際に会って飲みに行ったりした奴からだった。

名前はスグル。

「よう!久しぶりだな!どうしたんだよ?」

そう打ち返す。

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しばらく待っていると、またスグルからメールが届いた。

『あのよ。せっかく仲良くしてるとこに水差すみてーで悪ぃんだけど、あのマリカって女は気をつけろ。あまり深入りはすんな。リアルで会ったりとか、連絡先教えたりとか、絶対すんなよ。』

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。。。。は?何言ってんのコイツ。

俺はムッとしながらも、努めて普通に、

「え?なんで?なんかあんの?まさかヤキモチとか?www別にいい子だよ?」

と返した。

またしばらく待っていると

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『とにかくアイツはやべぇんだ。サークル内で他愛もない会話するぐらいにしとけ。自宅や会社近辺の情報も、絶対教えるなよ。』

と書かれている。

何がなんだか全然飲み込めない。

「いや何がやべぇんだよ。理由話せよ。」

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俺がムッとしているのを悟られるかもしれない。

だが知ったことか。

ちゃんとした理由も告げずに本人のいないところでそんな事を言うなんて、俺の事を思っての行動だとしても、悪口じゃないか。

サークルでは全く会話すらしてない相手の悪口を言うコイツに、内心ガッカリしていた。

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かなり長い間を置いて、またメールが届いた。

『サークルの他のメンバーも、お前以外誰もアイツに話しかけないだろ?他のメンバーは知ってるんだ。あのサークル、実は新しく作り直した物なんだ。』

そう言って始まったメールは、かなり長いメールだった。

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『以前さ、今のサークル名とは全く違う名前でサークル立ち上げてて、そこで今のメンバーとやり取りしてたんだ。

その時、開設して間もなく、あのマリカって女が参加してきた。

今もそうだけどよ、自由参加設定だろ?

承認とか面倒くさい設定にしてないから、興味を持った奴なら誰でも入れたんだよ。

で、あんなふうに普通にやり取りしてたんだ、最初は。

しばらくしたらさ、今はもうメンバーの中にはいないけど、その時いたメンバーの一人と、やたら親密なやり取りし始めたんだよ。

お互いハンネを呼び捨てで呼び合って、会話もまるで恋人同士みたいなさ。

で、みんなも面白がって茶化したりして、メンバー公認のネット上での恋人みたいになってたんだ。

そのうち、多分個別にやり取りしてお互いの住所とか、連絡先とか交換したんだろうな。

サークルでははっきりとは書き込んでなかったけど、同じ日に同時に飯食いに行った店の名前とか、旅行で行った場所とかを書き込んでくるのが目立ち始めたんだよ。

みんな、「あー、リアルで会ったんだな」って、黙認してた。

ところがある日さ、ソイツから俺に個別メールが来たんだ。

「助けてくれ!」って。

で、どうした?って聞いてもさ、「マジやべぇ!どうしよう!助けてお願い!怖い」って返事ばっかり。

そしたら同じ日に、別のメンバーからも個別メールが届いたんだ。もちろんソイツの事で。

その後わかったのがさ、ソイツ、同じ日の同じ時刻に、メンバー全員に助けを求めるメールを送って来てたんだ。

みんなで何度も個別に呼びかけたんだけど、その後ぱったり連絡が途絶えた。

そしたらある日、サークルからのお知らせメールが届いたんだよ。

ソイツが脱退しましたって。

俺管理人じゃん?メンバーの出入りがあるとメールが来るのよ。

でさ、「は?」ってなって、ソイツのホームに飛んだわけ。

そしたらさ、「既に退会されたユーザーです」って表示されて、入れなくなってたの。

誰にも何も言わずにいなくなってて、すげー心配したんだけどよ、ソイツが助けを求めてきた時、サークルでなく個別メールにした事に何らかの理由があるんだろうと思って、俺達はソイツの事に関して話す時は、メールにしてたんだよ。

サークルでは、あくまでも普通に振る舞ってさ。

そしたらある日、サークルの【要望】スレが上がっててよ、覗いたんだよ。

血の気が引いたね。

あの女が前日の深夜から俺が覗くほんの少し前までびっしりと、ソイツの事を質問してんの。

急にいなくなってるけどどうしたのかとか、電話してもメールしても返事がないとか、職場に行ったら既に辞めてて、アパートももぬけの殻だったとか、誰か居場所を教えてくれとか。

夜中からずっと何百件も。

今もだけど、みんな仕事があるからさ、サークルに書き込んで来るのってたいてい夜だろ?

だから誰もコメント返してなかったんだ。

仕事終わって俺がサークル開くまでの間、誰も反応がないからイラついたんだろうな。

時間が経つにつれてだんだん言葉が乱暴になっていっててさ。

「誰か答えろよ!」とか「隠してんのわかってんだからな!」とかさ。

それ見てたら、個別メールが来て、恐る恐る開いたら、サークルからのあの女が脱退した事を告げるメールだった。

内心ホッとしたんだけどよ。

それでも、油断できないからすぐに承認制に切り替えて、スレも参加者しか見れない設定に変えて、残ったメンバーで震え上がってた。

それからしばらく、あの女が何度も申請してきたんだよ。自分から脱退したのに。

意味わかんねーし、不気味だし、みんなに話して一旦解散したの。

で、しばらく様子を見てたら、あの女が退会したのがわかったからさ、改めて名前を変えて立ち上げたの。

それでもまたいつ現れるかわかんねーから、お前が参加してくるちょっと前までずっと承認制にしてたんだけどよ。

あの女が退会してもう何年も経つし、もう大丈夫だろうって事で、自由参加型に戻したんだ。

そしたらある日サークルから「マリカさんがサークルに参加しました」ってメールが来ただろ。

もう震え上がってさ。

それでもたまたまハンネが同じなだけで、全くの別人かもしれないから様子見てた。

でも間違いなくあの女なんだ!

前のサークルであの女が言ってた自宅近辺だとか、よく行く店だとか、話し方だとか、全部一緒なんだ!

あの時のあのメンバーがどうなったのか、何があったのか何をされたのかはわかんねーけど、普通いきなり職場もアパートも引き払って行方不明になったりしねーだろ!

大の男がコソコソ逃げ出さなきゃなんねーくらいヤバイ奴だったって事なんだよ!

サークルでも無視しろなんて言わないが、とにかく個人を特定されるような事だけはすんな!絶対だ!』

ー続くー

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バンビさんこんにちは〜(*´∀`*)
読み直しと、コメントや怖ポチありがとうございます♡
この作品がきっかけでサイトにハマっただなんて、嬉しいです!!
気が向いた時に過去作を戻して行ってるので、続編も近いうちに公開予定です(*´艸`*)

いつもたくさん褒めてくださってありまちゅ〜バンビさん♡

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ピノさんおはよです♡
わーい♪ありがとうございます(*´艸`*)

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怖いよぉ…((((;゚Д゚)))))))

続き行ってきます♡

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ぬぉー、気になるぅ!

この女性の名前を「マリか」にするあたり…まりかちゃんの気遣いとか、逆に面白さとか、まりかちゃんのお人柄が出てるね。

続編が出ている様子。
今から行って来ます( ̄^ ̄)ゝ

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