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何度か載せたことがあるが、俺は釣りが趣味だ。
大抵、夜明け前に始めて、昼過ぎまで。
これもそんな時間帯におきた出来事…
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何年か前の夏の日の出来事…
仕事が休みの俺は、いつものように釣りに出かけた。
今日のターゲットはキス…
釣れるのは当然楽しいが、投げ竿で遠くまですっ飛ばすこのキス釣りはストレス発散にももってこいだ…
釣具屋で餌を仕入れ、いつもの釣り場に向かう。
雄大な日本海の砂浜。夜明け前の砂浜はひっそりとしていて、海を見てるだけでほっとする。
準備を済ませて、早速釣りを始める。
東側の大山から、朝日が昇りベタなぎの海を照らし始める。
「どう?釣れてる?」
顔馴染みのおっちゃんに声をかけられた。
「いい感じですよ。型はそこそこですけど数は釣れてますよ。」
そんな会話をしていると、竿が大きく揺れた。
慌てて、置いていた竿を手に取る。
キスの手応えじゃない…
寄せてみると、60cmを超えるヒラメだった。
「お~、やったなぁ。嬉しい外道だね」
おっちゃんはそう言って、自分の携帯電話で写真を撮り始めた。
「おっちゃん、俺の携帯でも撮って。」
携帯を手渡し、誇らしそうにヒラメを抱えた写真を撮ってもらった。
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それからしばらくたった頃だった。
「うわぁ~!!!」
のどかな朝の空気を引き裂くような叫び声が聞こえた…
松林の方からだ…
犬の散歩をさせていたんだろう。一人のおばさんが、松林から大声をあげながら走り出てきた…
あぜんとしてそちらを見ていると、
「し、し、死体が…、首を吊って…」
そこにいた釣り人の何人かが、林に入って行った…
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静かだった砂浜は、一気に賑やかになった…
何台ものパトカー、救急車、そして野次馬…
「すいませ~ん、こちらの車はどなたのですか?」
警官が大声で叫んでる…
(あっ、俺の車だ…)
「はい。俺の車です。」
そう言うと、少し移動させてくれと言われた…
どうやら、砂浜沿いの舗装されていない道に、縦列駐車してあった俺の車の前の車が、発見された遺体の車らしい…
なんか落ち着いて釣りの出来る雰囲気じゃなくなったんで、片付けて撤収する事にした…
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家に帰り、家族に本日の釣果を自慢する。
そして、釣り上げた時の写真を見せようとデータから選択して、拡大表示をする…
ヒラメを持ち、満面の笑顔で俺が写ってる…
ふと、後ろの景色が気になった…
俺の後ろに何台かの車が写っていた…
その中に赤い軽自動車…
あの車だ…
よく見ると、屋根の上に何かが乗っている…
今と違い、当時はガラケー…
よくわからない…
メールで自宅のパソコンに画像を送り、確認してみる…
拡大してみた…
画像は荒いけど…
…
…
…
(人だ…)
はっきりとそう言い切れるほど、鮮明な画像では無いけど、ボンネットの上に仰向けに寝転び、足はフロントガラス側に垂らしているような格好に見えなくもない…
しかも、おそらくだがこちらを向いている…
正直、気味が悪かった…
あんなところに、あんな格好で寝転ぶ奴おらんやろ…
しかも、車の所有者は遺体で見つかってるし…
写真はすぐに削除した…
パソコンも携帯も…
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それから、何事もなく日常を過ごしていた…
ある日、ふと携帯に撮りためた写真を見直していたときに気がついた…
あの写真が残っていた…
確かに削除したはずなのに…
もう一度、削除してみる…
“削除しますか?”
“はい”
“画像を削除しました”
(消えた…)
データを確認してみると、その写真は消えていた…
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翌日不安になり、またデータを確認してみた…
(なんで………)
また、その画像はしっかりとデータフォルダの中に存在していた…
何度消しても、翌日にはもとの位置にしっかりと戻っていた…
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そんなことを何度か繰り返しているうちに、少し気になることが…
記憶にある最初の画像に比べて、車の上にある“何か”が動いているような気がする…
データが復活する度に、少しずつ車の前方向にずれていってるような気が…
目の錯覚かも知れない…
はっきりとした確証はない…
でも、気味が悪い…
動いているかも知れないと気づいたその日…
俺は携帯を替えた…
作者烏賊サマ師
ご無沙汰しております。
12月に入ったとたんに大忙しです(ToT)
あ~、釣りに行きてぇ~!