〈これ!どうぞ!お土産です!〉
『あ、ありがとうございます。今度私もお土産渡しますね。』
Kの後輩だという名前を知らないその子からもらったのは、小さな小瓶に赤と青い砂と星型の砂、それと小さな貝殻が入ったもの。可愛い。何処に行ったのか聞くのを忘れた。
(まぁ、良いか。)
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部屋の棚にその小瓶を飾る。
(綺麗だなぁ。何処の何だろうか?)
再び湧く疑問を払いのけ、眠りについた。
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…トン…トン…トン…トン…トントン…カタッ
夜中2時過ぎ。やっと眠れる。そんな気がした時、棚からの物音。微かにガラス瓶の倒れる音。
(あの小瓶か?見てみるか)
ぼうっとする頭を覚醒させ、棚に行く。
…
やはり、小瓶は倒れていた。
(何かの拍子に倒れたのだろうな。きっと。)
そう思って元に戻そうとした__
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トン…トン…トン…
__音?
トン…トン…トトン…
__何処からかと思えば、小瓶の中から。
貝殻が当たっている音でもない。
(何だこれ?…何か…言ってる?)
耳を小瓶に近づけると
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《…スキ…デス…ス…キ…デス…さdvfっっっjghっjsh!》
最後は、波の音(?)に消され聞こえないが明らかに“好き”だと言っていた。
声は紛れもなくあの子。Kの後輩だ。
恐ろしいというより、半ば呆れてその小瓶を叩き割った。
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バチンッ!!!!!!!
部屋が暗くなる。停電だ。
(あー、面倒くさい。)
叩き割った小瓶をそのままにして寝る。
もう、音は聞こえない。
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翌日、一部始終をNに聞かせた。
「うわー。怖っ。その子〇〇さん?だよね。」
『正直、女の私に女から言われるとは思わなかった。』
「その子さ、お前に小瓶渡した後さ、すっごい笑ってたよ。手に絆創膏貼ってたし。お前の言う“赤い砂”は多分それ 。」
『やめてくれ。気味が悪い。』
「あははw…やあ!〇〇さん!今日はどうしたのかな⁉︎」
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気づかなかった。彼女がそこに来ていたことに。
『こんにちは。どうした?何かあったか?』
何も知らないように装って話しかけた。
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喜怒哀楽の混ざった、何とも言えない表情(カオ)をした。Kの後輩に。
作者Faust
お返しはあげましたw
喜んで受け取りましたねw