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中編3
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差出人不明

兄が大学進学を機に、一人暮らしをはじめた。

6畳一間の当たり障りのない、アパートの一室。

******

学校生活を満喫しながらバイトもはじめて、楽しい毎日をおくっていた兄がいつも通り

バイトを終えて帰宅し、郵便受けを確認すると茶封筒が入っていた。

宛名も差出人も書いていない茶封筒を不審に思いながら手に取り、部屋に入ってベットで

横になりながら開けてみると、茶封筒の中には1枚の写真が入っていた。

「(なんだこれ…)」

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じーっと目を凝らして見てみると、その写真は目を接写したものである事に気付かされた。

「(気持ち悪!)」

誰だよ、こんな悪戯するのは…学校のやつか?

と考えてみたけど、学校の連中には家を教えていないし自分の家を知っているのは家族だけ。

うーん…

考えても仕方ない。そう思った兄は写真と茶封筒を破り捨てた。

******

写真の事をすっかり忘れた頃。

バイトを終え帰宅し、郵便受けを確認するとデリバリーピザのチラシと、…茶封筒が1通。

ここで”あの”写真の事を思い出した。

そういや何だったんだろうな、と考えながら茶封筒を手に取るとまたもや宛名も差出人も

書いておらず、嫌な予感がした。その場でアパートのゴミ箱に捨ててやりたい気分だった。

しかし、アパートの大家からの連絡だったり重要書類の可能性もある。

念のため持ち帰り、玄関先で威を決して兄は茶封筒を開けた…!

wallpaper:77

「(目…?)」

茶封筒には前回と同じく写真が1枚入っていた。

前回と同じく目の写真ではあるが、今回の写真は無理矢理見開かされているような目…

2回も続けてこんな事があったものだから、疑いは俺にかけられた。

怒り気味で「お前、悪戯してないよな?」と電話が来た時は驚いた。

兄が一人暮らしを初めた家と実家は40分もあれば行き来が出来るので、

可能性は無きにしもあらずだけど、わざわざそんな事をしに行く程暇じゃない。

その電話があった時にはじめて兄がこんな悪戯にあっている事を知った訳だけど、

俺は「ただの悪戯か前の住人宛じゃない?」なんて言って電話は切った。

******

それから3日後。

度重なる悪戯でイライラしている兄の郵便受けに、例の茶封筒が届いていた。

手に取るといつもより分厚く、バイトで疲れている事もあって怒りは頂点に達した。

「…ふざけんなよ!」

勢いに任せて封筒の口をその場で破る。

shake

「うわあああああ!」

茶封筒に入っていたのは写真。

複数枚に渡り、眠っている兄の写真が入っていたのだ。

******

誰が、何の目的でこんな事をしたのか分からない。

そもそも、どうやって部屋に入り込んだのだろう…

鍵はもちろんの事、チェーンもかけていたというし、小窓は人が侵入出来る程の大きさも無い。

「こんな所に住んでいたくない!」と兄に頼まれて引っ越しの手伝いもしたけど、

何かを取られた形跡は無いという。

「最初に届いた写真も兄貴の…」

「知らねぇ!もう忘れさせてくれ」

こうして兄は実家に戻り、数ヶ月に及ぶ一人暮らしは幕を閉じた。

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「あら、封筒…?差出人も宛名も無い」

母さんが家に帰ってくると、手には新聞と茶色い封筒を持っていた。

「おかえりー、何その封筒?」

「ただいま。郵便受けに入ってたんだけど、宛名も差出人の名前も無かったのよね」

【終】

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え!?え!?え!?
どっちなんでしょう( ; ゜Д゜)?
フィクションでも、ノンフィクションでも、どちらにしても怖いですが、やはり…重みが違うというか…
実話ならば、続きとか気になる上にめちゃめちゃ想像もしてしまいますね…
んー…怖いです。(ちょっと想像してみました…)

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