短編2
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呪いの手紙

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中学生の頃、学校で「呪いの手紙」が流行った。

体育の授業から教室に戻り、机から教科書を取り出そうとすると、ちょっと厚みのある茶封筒に手が触れた。

封筒には「一人で見てね」とマジックで書かれていたので、何かラブレターみたいなものを想像して、僕はこっそり家に持ち帰った。

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家に帰り夕飯を終えて、一人部屋で茶封筒を開封すると、中身はとんでもないものだった。

「この写真の生徒はクラスでいじめに遭い、首を吊って自殺しました。

遺書には自分をいじめた生徒たちと、見て見ぬ振りをした担任。死んだら悪霊になって、この連中を呪い殺すと書かれてありました。

この手紙を見た人は、一本のお線香を供えてください。

そして線香が灰になるまで、○○君ごめんなさい、どうか安らかに成仏してください、と心の中で唱えてください。

それが済んだら、もう一枚の紙に自分の名前を記し、まだ供養していない生徒に、誰にも気づかれないようそっと渡してください。

親や先生に告げ口しても結構ですが、○○君の呪いが治まったかどうかは分かりません。あなたに不幸が起こるかもしれません。」

色あせた便箋にそう書いてあり、もう一枚のメモ用紙には、クラスの半分くらいの名前が書いてあった。

最期に書いてあった名前はほとんど口をきいたこともない女子のものだったが、どうやら男から女へ順番があるようだった。これだけなら無視できたかもしれない。…ただ、一緒に同封されていた写真を見て、全身に鳥肌がたった。

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古いポラロイド写真には、土気色をして、鼻の穴に白いワタを詰めた少年の顔が映っていた。

なぜか瞼が開かれ、薄く混濁した瞳が何かを見ていた。この少年は既に死んでいる。でもなんだろう、何かを見ている感じがする。思わず見入ってしまい、これは供養するしかないと感じた。

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すぐに客間の仏壇から線香を取ってきて、家族に見られないよう僕はこの少年を弔った。

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それから数日後、女子の机に手紙をそっと忍ばせた。

やっと肩の荷が下りて一安心した僕は、クラスの友人に手紙のことを話した。メモ用紙に本人の名前があったから、多分話しても祟りはないだろうと思った。

「あの写真見たら、やっぱり供養しないわけにいかないよなあ」僕が友人にそう話すと「写真?そんなものあったっけ?」と返された。

一月後、他のクラスへ手紙が渡った頃、生徒の間で話題になった。

半分以上の人間が「写真は同封されていなかった」と言い、何人かが確かに見たと言った。

そしてさらに不思議なのは、写真を見た二人の女子が、写真には女子生徒が写っていた、

と言ったことだった。

結局○○君の話が本当かどうかも分からなかった。

それでも、誰も確認しようとは言い出さなかった。

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なぜだか、確認したらその写真には自分の顔が写っているような気がしたからだ。

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