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短編2
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戸を叩く音

小さい頃に5階建ての団地の2階に住んでて、玄関近くで壁を隔てて階段がある部屋で寝てたんだけど、

ある夜、「ドンドン!!」と大きく玄関の戸を叩く音が下の階の家から聞こえてきた。

1つの階で階段を挟んで2軒の家が向かい合う形の団地で、下の階の2軒の戸を叩く音が聞こえた後、

今度は、向かいの家の戸を叩く音が聞こえた。

次はうちに来るのかな?と思っていたら案の定うちの戸を叩く音が聞こえてきた。

呼び出す声や足音は聞こえないのに、ただ戸を叩く音だけが聞こえるので不思議に思っていると、

次に上の階の家の戸を叩く音が聞こえてきた

その後も戸を叩く音は上にあがっていき、おそらく5階の家であろう玄関の戸を叩く音まで聞こえてきた。

そこで、新聞配達のバイクの音がしてきた。

配達の人が戸を叩く音の主と鉢合わせになるんじゃないかと思っていたけど、

新聞配達をしている間は戸を叩く音が聞こえず、階段を駆け上がる音と新聞を投函する音だけが聞こえていた。

新聞の配達を終えた配達の人が帰ったあと、また上から戸を叩く音が聞こえてきた。

音が下がってきたので、まさかまた全部叩いていくのか?と思っていると、

うちの番になったとき、なぜか戸を叩く音は聞こえてこなかった。

なんで?と怖くなりドキドキしていると、しばらく経ってから向かいの家の戸を叩く音が聞こえてきた。

呆然としてるうちに下の階から戸を叩く音が聞こえ、それ以降はなにも聞こえてこなかった。

朝、起き上がって夢だったのかと思い、同じ部屋で寝ていた姉に聞くと、姉も戸を叩く音が聞こえていたらしい。

その後、引っ越すまで同じようなことはなく、他に怖い思いをすることはなかった。

なにかあるとすれば、自分が生まれて間もない頃に団地の裏で焼身自殺があったことぐらいだった。

Concrete
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