sound:9
樹海を飛び交う稲妻と銃弾
四方八方から怪物の群れ
痺れを切らした秋元はイカズチの剣を天高く掲げ叫んだ
「哭け!」その雄叫びは厚い雲を呼び
稲妻が怪物達に降り注ぎ焼き払う。
sound:9
胸焼けを起こす肉が焼ける匂い
それは汚物と臓物を焼いたかのような異臭を放っていた。
秋元はイカズチの剣を地面に突き刺し
素手で残りの怪物達を殴り倒していく
ヘルシングは先程の稲妻の影響で
立ち眩みが起きていた
キーン!ッと鋭い耳鳴りと精神攻撃の
幻肢痛の連続に身動きが取れない
「ヘルシ…!ヘルシング!おい!」
秋元がヘルシングを何度も呼び
ヘルシングは目を覚ます
黙ったまま葉巻に火をつけて、銃を構えた。秋元は近付く怪物達を突き刺した剣を抜いて切り伏せる
「ふーー…よし。」
葉巻の煙を吐き瞳を閉じる
銃をゆっくり構え目にも止まらぬ速さで怪物達の頭部を撃ち抜いていく。
様々な銃が空中に浮き、ひとりでに怪物の頭部に標準を合わせ発砲する
「ちょっと本気になっちゃおうかな?」
ヘルシングは銃を撃ちながら踊るように怪物達を撃ち倒していく。
music:2
空が暗くなってきた…太陽が厚い雲で隠れ不気味な笑い声が響き渡った
「アハハハハハハハハっ!愚かな侵入者!あなた達はここで死ぬのよ!」
悪意の魔女マーラのお出ましだ。
宙に浮く椅子に座り二人を見下す
「あなた達がカフマンが送り込んだ兵士ね?吸魂鬼はやられたけど十分な魂は集まった!今更、何しても無駄よ!」
秋元はマーラを睨みスイガの剣を投げ付けた…だが、スイガの剣は魔法の壁で弾かれた。
「スイガの剣が!?効かない!?」
マーラは落ちたスイガの剣を拾い上げ
眺める
「なぁに、このガラクタは」
ヘルシングは葉巻に火をつけて銃を構える
マーラはヘルシングを指差し
「そんなチンケな武器じゃあ魔法の壁は壊せないわよ、馬鹿ね!」
ヘルシングはニヤリと笑い
懐から対戦車用ライフルを取り出して
「近代兵器を舐めんなよ?」
マーラは自身を守る壁に絶対の自信があるのだろう、マーラは敢えて動かずに挑発する。
「撃ってみなさいよ!」
ヘルシングは葉巻の煙をライフルに吹きかける素振りをして呪文を吹き込む。
「その自信が裏目に出なきゃいいなっ!」
ドォォォンッ!という爆裂音が木々の枝を揺らしマーラの魔法の壁を一発で破壊した。
ヘルシングは、すかさず亞銀石を加工した銃弾をマーラの頭に撃ち込む
マーラの額に命中した箇所から緑の光が溢れ、マーラは頭を抱え叫ぶ
「貴様!何をした!!」
みるみるとマーラの肌が痩けていく
ヘルシングは対戦車用ライフルを懐に戻しヘラヘラしながら
「お前から魔力を奪えば、ただの老婆だろ?自慢だった美貌もボロボロだな」
マーラは歯を食いしばり両手を地面に置いて呪文を唱える
「貴様らは…ここで終わりだ!」
泥濘からゾンビが溢れ出した
異臭を放ちマーラに操られた、
死者の兵士。
マーラは煙となって逃走した。
「あのアバズレが!ふざけやがって」
ヘルシングは両手の銃でゾンビの頭部を破壊していく。
秋元も二本の剣で応戦する
「数が多いな…さっきの比じゃないな!」
ヘルシングは笑いながら
「そりゃそうだろ!毎年毎年、自殺者がここに訪れては死んでるんだからな!」
秋元はため息を零しゾンビの頭を片手で潰す
「全く…死んでからも迷惑を掛けるとは…情けない奴らだ!」
ヘルシングはゾンビの頭を撃ち抜き
「お前が言うな!死にたがり!」
二人は徐々に追い詰められていた
秋元はゾンビを蹴散らしながら
「クソが!どんだけいやがるんだ!」
ヘルシングは汗を垂らしながら
「まて…これは幻覚か?」
そんな訳が無かった…
ゾンビが突然、攻撃の手を止め引いていく。
秋元は目を細めニヤリと笑う
「ヘルシング。あれはお前には対処できない奴だ。」
ヘルシングは汗を拭き
「あぁ?そんな奴…なんて…」
古来より日本に生息する怪物
屍肉喰種族で最も厄介な「鵺」だ。
その巨大な体を左右に揺らし濁った瞳で、こちらを睨みながら一歩、また一歩と向かってきた。
秋元は二本の剣に付いた血を払い
「ついてたな、ヘルシング。俺のスイガの剣は再生能力を無効化する。」
ヘルシングは頭を掻きながら
「へぇー凄いですねー」
余所見しながら鵺の頭部を撃ち抜くが
鵺はビクともしない
「マジかよ…術式入りの弾丸だぜ?」
秋元は笑いながら
「そんなもんは通用しない。殺せても、また次の鵺が来る。その鵺が鵺を食らえば2度と勝つことは出来ない」
秋元はヘルシングに
「ここは任せろ。お前はマーラを追え、あとで合流する」
ヘルシングは葉巻を咥え
「ああ、わかった。死ぬなよ?」
秋元は笑いながら
「今、それを言うか?」
ヘルシングはマーラを追い走り出した
その背後を鵺は見逃さない
巨大な腕を振り上げヘルシングの背中に向かって振り下ろす
しかし、秋元がそれを受け止める
「お前の相手は俺だ!」
鵺は死臭を漂わせ秋元を睨む
「ガァァァァァァ!」
鵺は雄叫びを上げ秋元を吹き飛ばす
木々をなぎ倒しながら吹き飛ぶ秋元は
、吹き飛ばされながらもスイガの剣を鵺の胸に向かって飛ばす
ブシュッ!という音を立てて胸に刺さった。
「ガァァァァァァッ!」
スイガの剣が刺さった箇所が変色していく、鵺は胸に刺さった剣を抜き捨て
秋元に向かって突進する。
その頃…ヘルシングは大きな沼地に出た。
漂う瘴気、吸う空気がピリピリと肺を痛める。
「あんた…まだ生きてるの?」
悪意の魔女マーラはユラユラと空中を漂いヘルシングを睨む
ヘルシングは笑いながら
「最近、女と寝てないんだ。激しい夜を過ごすまでは死ねないな」
葉巻に火をつけてマーラに銃を向ける
「ま、お前と夜を過ごすのは勘弁だがな」
マーラは痩けた顔でニヤリと笑い
「あら?私なら、あなたを永眠させられるのに!」
ヘルシングの周りを囲むように
サハギンが現れる
「もう飽きたよ、魚料理には!」
ヘルシングは両手の銃でサハギンを倒していくが、マーラがそれを黙って見ている訳もなく精神攻撃を仕掛けてくる。
ヘルシングは苦痛に顔を歪め耐えていた。
「また精神攻撃かよ…魔力を抑制できてもこの威力か…」
その頃…秋元は鵺に苦戦していた。
「まったく!こんな巨大な鵺と戦うのは久しぶりだっ!」
秋元はイカヅチの剣から稲妻を放ち
sound:9
鵺を攻撃するが、腐った肉が焼ける匂いがするだけでダメージが入っているようには見えなかった。
鵺は笑うような呻き声をあげ巨大な拳で秋元を吹き飛ばす
秋元は岩に激突して、フラフラと立ち上がり爆笑する
「いいぞ!もっとだ!もっと血肉を踊らせてくれ!」
秋元は二本の剣を地面に突き刺し
素手で鵺に向かって突進する。
鵺は秋元の突進を受け止めるが
秋元の勢いは止められなかった。
300メートルも木々をなぎ倒しながら
秋元は鵺を押し進む
「これで仕上げだ!」
秋元は鵺を軽々と持ち上げ地面に叩きつける
ドン!ドン!ドォォォォン!
鵺の頭部が地面に深くめり込み
ジタバタしていた
秋元は右手をかざしスイガの剣を引き寄せる。
「これで終わ…」
別の方向から突然攻撃を受けて
驚く秋元。
振り向くと背後には別の個体の鵺が現れた。
「ついてるって思ったがついてないな!チクショー!」
だが、秋元の背後から一発の弾丸が
秋元の頬をかすめ、鵺の頭部を吹き飛ばす。
「あんた、人間じゃないな?人型の鵺か?」
秋元は声がする方へと振り向くと
火縄銃のような銃を秋元に向ける人物がいた。
「俺か?俺は鵺じゃない。鬼だ」
謎の人物は銃を下に向け
「鬼なのか?初めて見るが…」
秋元はスイガの剣を向けて質問する
「貴様は何者だ?鵺をたった一発の弾丸で殺すなんて、只者じゃないだろ」
謎の人物は笑いながら
「俺はヤマト、鵺ハンターだ」
秋元は首を傾げ
「鵺ハンター?ふざけてるのか?」
ヤマトは笑いながら
「いやいや、ふざけてないさ。この仕事をして15年になるんだ」
自慢気に銃を掲げ
「これは神威っていう銃で怪物退治に適した銃なんだ。弾丸ならなんでも装填できる。これまで殺してきた妖怪、怪物は数え切れない」
秋元はため息を零し
「じゃあ、あとは任せていいか?」
ヤマトは頷き
「ああ!朝飯前さ!あんたの名前は?」
秋元は立ち去り際に
「秋元だ」と呟いて山道を駆け上がっていった。
ヤマトは残った鵺を見て銃を構える
「さってと!仕事仕事!」
秋元はヘルシングを追いかけるが
いく先々でサハギンが邪魔をする
軽々と殴り潰しヘルシングの元へと急ぐ。
その頃…ヘルシングは息を切らしサハギンを倒していく
「あら?もうお疲れなのかしら?」
ヘルシングは笑いながら
「んなわけあるか…まだまだイケるぜ」
サハギンを蹴り飛ばし頭を撃ち抜く
「次はお前だ。このクソババアが!」
サハギンの群れをかき分け
マーラに銃口を向けるが、見えない力でヘルシングは跳ね返されてしまう。
「いくら魔力を抑制されても多少のことは出来るのよ?」
「なら、これはどうだ?」
聞き覚えのある声がマーラの背後から響き、
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空から雷がマーラに向かって落ちる、魔法の壁は稲妻によって粉砕される。
To be continued…
作者SIYO
私の世界にようこそ!
「悪意 X-3」を読んでいただき感謝感謝です!
ようやく続きが書けました…( ^ω^ )
死神と俺の日常シリーズが全然書けてないです…
いや〜頑張らないといけませんね(爆笑)