music:1
珍しく晴天になった。
相変わらず小説は書けていないが
気分はいい。
しかし、昨日の灰色の正体は何だったんだ?妙に人の顔のようにも見えた。
念のために倉庫から薪を部屋に運び
別荘の周りを散策していた。
当たり前だが人気は一切ない…
微かに揺れる枝の音、鳥の鳴き声
見渡す限りの緑。
それから小さな小川を見つけて
辿っていた先で目を疑うモノを見た。
music:2
体長2メートルはあろう熊が大木の尖った枝に突き刺さっていた。
死んでから時間は経っていないだろう
大量の血液が大木の下で水溜りになっていた。
そのすぐ近くの林から息遣いが聞こえる
その場から速く逃げ出したいのを押し殺し、一歩、また一歩と後ろに下がる。
ある程度の距離を置いた瞬間に一気に別荘へと走り出した。
頭に浮かんでいたのは壁に飾られた
散弾銃のことだけだった。
無我夢中で走り続け石に躓き、急な崖から転げ落ちた。
「イタタ…。ハッ!」
music:6
上を見上げると灰色の何かがこちらをじっと見つめ、ゆっくりと長い腕を
伸ばし崖を降りてこようとしていた。
慌てて別荘に向かうが崖に落ちたせいで方向感覚が失われていた。
無我夢中で走り焦りながらも後ろを
振り返ると灰色の何かが追ってくる。
速くはない…だが、走らなければ追いつかれる。
「クソ!ここはどこだ!」
一刻も速く別荘に帰りたい気持ちで
冷静さを失い方向感覚がおかしくなってくる。
追いかけてくる灰色の何かは足音も立てずに追ってくる。
「見えた!」
やっと別荘の屋根が見えた
無我夢中で走り振り返らずに扉を開き
鍵を掛けて散弾銃に弾を込める。
散弾銃を握る手は震え、狙いが定まらない。
息を整え電話機の受話器を取り出し
須藤保安官に電話をしようとした時だった。
music:3
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灰色の何かがベランダの窓に張り付き
こちらを充血した目で睨み
血で溢れた口を開き
「ミィ〜ツゥケタ〜」
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私は気絶してしまった。
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雷の音で目が覚めた
慌ててベランダの窓に向かって
散弾銃を向けるが何もいない。
私は時間を確認して受話器を取り出した。
「もう2時か…と、とりあえず須藤保安官に助けに来てもらおう。」
sound:32
プルルルルッ、プルルルルッ
プルルルルッ、ガチャ
「もしもし、須藤です」
安心感からか声が震えていた
「須藤君、助けに…!」
ブツッ!プーップーッ、
突然、電話が切れた。
sound:8
突然の雷と風が家を揺らす
私は散弾銃を抱え家の隅に縮まりベランダと玄関を睨んでいた。
その頃、須藤保安官は電話番号を調べ高砂の別荘へと向かった。
荒れた山道を慎重に車で走り高砂の別荘に向かう。
すると、道の真ん中で須藤保安官は何かに気付く。
「ん?なんだ…あれ?」
薄暗いせいで車の中からでは
なんなのかわからない。
須藤保安官は車から降りてライトを当てる
「!?」
sound:9
雷の光で一瞬だけ全体像が見えた。
「な、なんだ!!」
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不気味な灰色の肌が光り雷の一瞬、一瞬の光で須藤保安官に近づく。
須藤保安官は慌てて車に乗り高砂の別荘へと走り出した。
sound:9
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その頃…私は散弾銃を抱え鳴り止まない雷鳴にイライラしていた。
「いつまで鳴っているんだ!」
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ドドドッ!
屋根を這いずり回る音が雷鳴に隠れ
聞こえる
私は一心不乱に屋根にめがけて散弾銃を撃つ。
「くたばれ!化け物!」
散弾銃を撃ち終えると雷鳴、這いずり回る音が止んだ。
ーやったか?ー
そんなことを思った瞬間だった
突然、後頭部を殴られたような痛みが走り、崩れるように倒れ気を失った。
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眩しい光で目を覚ました…
「朝なのか?もしかして夢だったのか?」
ボヤける視界を見渡し目線を天井に向けた。
穴だらけの天井が見え綺麗な青空が見える。
「夢じゃないのか…」
To be continued…
作者SIYO