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長編10
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赤いコートの女

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二回目の投稿です。相変わらず文章力はないですが良ければ読んでください。

俺は府内に住んでるごく普通の会社員です。霊感は全くの0、だけども霊を見たのは1回、奇妙な人を見かけたのが1回。まぁ生きていれば不思議な体験をするのは他にもいると思う。

ある日俺は仕事が早く片付き、時間もあったので特に場所も決めずスーパーに行ったり本屋に行ったりゲーセンに行ったりと、適当に時間を潰してました。

そんなこんなして時間を見たら22時過ぎたくらいだったか。

『そろそろ帰るか』

と思い近くのコンビニで夜食を物色し、何となく外を見たら真っ赤なコートを来た女性が立ってた。

コンビニに背を向けてる状態で立ち、その立ってる位置には灰皿が置いてある。

『煙草でも吸ってんのか。にしても真っ赤なコートやなぁ。ってか背高‼︎』

と俺はボソっと独り言みたいにつぶやいた。

俺は身長183あるのだが、その女は見るからに190は超えてんじゃないかってくらい高かった。

まぁバレーボール選手とかは180超えなんて普通にいるからそこまで驚くことでもないのだが、身近にいるとちょっと不気味。

何てこと考えてたらその女が店内に入ってきた。

【いらっしゃいませ】

店員も声かけはするものの、興味本位に女をチラ見していた。そりゃそうだろう、近くに2メートルはあろうかという人間(しかも女性)がいるのだから。

ちなみにその女は厚底の靴ではなくサンダルだった。つまり素で背が高い。

店内の客は俺とその女だけ。店員も最初はチラ見していたが飽きたのかバックヤードに消えていった。

客がレジに立った時に出てくるんだろう。

俺はあまりジロジロ見ると失礼なので気にしないようにし食物を物色し、カップ麺コーナーに目をやっていると…

『何食べるんですかぁ⁇』

ビクッ!として声のする方に振り向くと至近距離に女の顔!

『うわっ!』

とっさに離れた俺に女はさらに近寄ってきた。

『そのラーメン私も食べてみたぁい。ください。』

女が指差しながら言ったのは俺が持っていたキムチラーメンだった。

『え…あの、同じのそこにたくさんありますよ?』

俺は棚に並べられてる同商品を教えるも女は聞く耳持たない。

『ください』

俺は《そこ同じのあるやんけ!》と言いたかったが背丈で負け、何よりも女の喋り方が気味悪かったので黙ってキムチラーメンを渡した。

女はニタァと笑みを浮かべその場から離れた。

『何やねんあれ… さっさと買い物済ませて帰ろ』

俺は棚にあったキムチラーメン、パン、コーヒー、アイスクリームをカゴに入れレジに立った。

すぐに店員が来て商品をバーコードに通しながら

『あの…先程は大丈夫でしたか?』

『はい?』

『いや、あの女性の方何かお客様に言い寄ってたみたいで。しかも距離があまりにもおかしかったので。』

『いやいや、心配なら君店員なんやからそん時出てこなあかんやろ』

『すみません。何というか、ちょっと怖くて』

『確かに気味悪かったけど、多分障害を持った人かも知れんし。別に何かされた訳ちゃうから、君もあんまジロジロ見んと普通に対応してあげや。』

『はい。ありがとうございました。』

レジを済ませ店を出て帰り際店を見たら窓に顔をくっつけてさっきの女が俺を見てた。

『うぉ‼︎』

俺は店から出てるのに驚きで仰け反った。しかしすぐに店員が注意してるのが見えた。

何か嫌なもん見たなぁ、もっと早く帰れば良かったと後悔しながら家に向かった。

俺の家はそのコンビニから歩いて5分とかからない場所にある。二階建てのアパートの二階が俺の部屋で階段を上りながら外の風景に目をやった。

⁉︎⁉︎⁉︎

さっきの女だ!しかも手を振っている。今になって気付いたが女はデカいサングラスをしていてどんな顔かまではわからなかったが睨まれてるような気がした。

そして街灯の真下にいるもんだから、あの赤いコートがより目立つ。

しばらく女との見つめ合いが続いた。

『ん?』

俺は女のコートを目を凝らして見てみた。というのはコートの色が所々剥げているのか白い布が見えていた。

別にそんなところ気にするとこじゃないのだが。

とにかく俺は女から目を離しそそくさと部屋に入り鍵をかけ、チェーンもした。

『あっ!コート女に家知られたな… でも万が一おかしな事してきたら警察呼んだらええか』

と、そこまで神経質にはならなかった。見た感じでは背は高いものの、かなり細身だったし何かしてきてもカウンター打ち込んで逃げれる。

プロではないが一応ボクシングしているのでそれなりの対処は出来る。

部屋に入り買ってきたラーメンを作り、テレビを見ながら食べ、煙草を吸い一息ついてた時、、

【ピンポーン】

『誰やこんな時間に』

重い腰を上げ、くわえ煙草でドアスコープを覗く。

誰もいないし真っ暗。

一応鍵、チェーンを外しドアを開けて見るも誰もいない。

『今時ピンポンダッシュかよ…』

俺は溜息をつき、煙草を消して早々に寝た。

翌朝、今日は仕事が休みなので家で何をしようか考えていると

【ピンポーン】

1度無視をした。昨日のピンポンダッシュのこともあり、同じ事なら出て行くだけ体力の無駄だと考えたから。が…

【ピンポーン、ピンポーン】

数回チャイムが鳴り、これは悪戯じゃないなと思い玄関に行きドアスコープを覗くと警察とスーツを着たおっさんが立っていた。

『何か?』

ドアを開け不機嫌そうな俺を見て

『おはようございます。〇〇署の高橋と言います。こちらは〇〇役所、生活環境課の日野さんです。』

何で警察と役所が?変な組み合わせに俺の頭ん中は???

になっていた。

『ちょっとお伺いしたいんですが、昨日コンビニで買い物されましたか?』

『したけど?』

『買われたのはキムチラーメン、パン、コーヒー、アイスクリームですか?』

『⁇何で知っとるん?』

『これを見ていただけますか?』

警察と役所が指差した先には、俺の部屋から廊下、隣人の部屋前、階段に食べカスを丁寧に並べた状態であった。

隣人が部屋を出ようと玄関を開けたらこの有様で通報したそうだ。

俺は自分がやったんじゃないという証拠を見せる為、警察らを部屋に上げて昨日ちゃんと自分の部屋で食べた事を話した。

『まだあなたがやったと決めつけてるわけではありません。たまたま同じものを買った人もいると思いますし、しばらくは周辺をパトロールさせてもらっていいですか?』

『こっちから願いたいくらいっすよ。でも俺と全く同じ物を買う人何てそうそういないと思うんやけ………』

そこまで言いかけた俺はハッ!とした。

あの赤いコートの女だ!あの日店には俺とあの女しかいない。しかも俺のキムチラーメンを奪っていった。

『1人…1人だけ心当たりがあるんすけど、実は昨日の夜買い物してたら、やたらデカい女がいて俺が持ってたラーメンを執拗によこせって言ってたわ』

『その女性の特徴はわかりますか?』

『背が190以上やったと思う。あと真っ赤なコート来てた』

『わかりました。その女性を含めてパトロールさせていただきます』

そう言って警察らは出て行った。

俺は、俺がやったわけじゃないのに散らかして行ったゴミを掃除した。

『絶対あの女が犯人やし… 腹立つわぁ…』

ブツブツ文句を言いながら片付けを終え、イライラを抑えながらゲーセンに向かった。

ある程度時間が経ち、気分転換が出来た俺はまたも帰りが遅くなり夜食を買いにコンビニに寄った。

昨日の事もあり周辺を見回したが女の姿はなかった。

『さすがに続けて会ったりはせんな』

ホッとしながら買い物を済ませ家路に向かった。

家まであと少しというところで背中に激痛が走った。

『うゔぁ‼︎』

背中を反らせながら後ろを振り返った。

そこにはあのコート女が手に鎌を持ち頭を縦横に振り回してケラケラケラケラ笑っていた。

そして1番見てはいけないものを俺は目にしてしまった。

………女の目だ。

サングラスを外していた女の目は焦点が合ってない。

いや、合ってないんじゃない。目が灰色に濁っている。

義眼か⁉︎

焦点が合わず灰色に濁った目… 見えてるはずがない。

今更になって昨日の気味悪い出来事が蘇る。

何故コンビニに入ってきた時白杖←〈失明した方が使う棒〉も使わずに、どこにもぶつからずに俺のそばに来れたのか。

何故街灯下から俺の居場所がわかり手を振っていたのか。

そんな事を考えてる間も女はずっと笑って何か喋ってる。

俺は後退りしながらも女から目を離さずにいると、女は振り回していた頭をぴたりと止め

『私は酷い目に遭いました目を取られました私は酷い目に遭いました目を取られました私は酷い目に遭いました目を取られました私は酷い目に遭いました目を取られました私は酷い目に遭いました目を取られました何食べるんですかぁ何食べるんですかぁ何食べるんですかぁ何食べるんですかぁ何食べるんですかぁ何食べるんですかぁあぁあーーーーーぁーー‼︎』

まるで呪文でも唱えてるみたいに同じ事を言ってると思ったら発狂し出しまた頭を振り回して鎌で切りつけてきた。

咄嗟に腕で防御体制に入ったが防御してる腕を切られるだけ。

『痛ぇ!やめろ!やめてくれ!』

抵抗してた腕が限界になり、意識がぼんやりしかけた時、

『何やってんだ貴様コラァ!』

いきなりの怒声に俺は目を覚ました。そこには3人の警察が女を後ろから羽交い締めにし、取り押さえていた。

『大丈夫ですか⁉︎直ぐに救急車が来ますからね!』

1人の警察の声を聞いて俺は意識が飛んだ。

翌朝、目を覚ますと病院のベッドにいた。意識が戻った俺を看護師が見て医者を呼びに行き、程なくして医者が入ってきた。

『気づかれましたか?この度は気の毒でしたが、幸いにも傷は思ったより深くなかったですし、感染等問題もないので安心してください。念の為2週間程の入院と軽いリハビリはしておきましょう。』

医者はそう言うと部屋から出て行き、入れ替わりのように今度は警察が入ってきた。

『失礼します。お具合はどうですか?今回は我々のパトロール不足でこのような事態になったこと、深くお詫びします。』

開口一番、警察が口にした。

『起こってしもうた事はしゃあないっすよ。さすがに殺されるて思ったけど、あんたらのお陰で助かりました。』

『そう言っていただけたら幸いです。それで女の事なんですが、彼女は殺人と、今回の不法投棄、殺人未遂で現行犯逮捕しました。』

『殺人?あの女、人殺してたんすか?』

『ええ。連行中、着ていたコートでわかりました。』

『あの赤いコートで?何で人殺しだと?』

『あれは赤色のコートじゃありません。鑑識の結果血液反応が出ました。つまり人の血です。』

俺は一瞬頭がグラついた。まさかあれが人の血……?

さらに警察は続ける。

『連行した日、別の警察が家宅捜索した結果男性の遺体が見つかり、これも鑑識の結果あの女の夫であるとわかりました。血液も夫ので間違いありませんでした。』

『じゃああの女は自分の夫を殺し、夫の血をコートに塗り付けていたと?……完全にイカレてる』

『あの女は恐らく統合失調症、もしくは二重人格かも知れません。しかし精神的疾患であるとはいえ、女が行った罪は重罪でありすぐには出られません。』

『そうっすか。悪いけど気分が優れんし今日は帰ってもらっていいっすか?』

『あ、長々とすみませんでした。お大事になさって下さい。失礼します』

俺は警察が帰った後、考えていた。

何であの女は俺を襲ったか。それに斬りつけてくる時に言ってた言葉……

【私は酷い目に遭いました】

酷い目に遭った?まさかあの目のことか?にしても誰に?男であることに間違いはないだろうが。

可能性があるとすれば……夫。

夫に暴力を振るわれそれがエスカレートし彼女の目を潰した。あるいはえぐった。

考えたところでどうなるもんでもないし、仮にこの事を警察に聞いてもはぐらかされるだけだろうし。

とにかく俺は1日も早く退院するため休息とリハビリに励み、10日程で退院した。

もちろん住んでたマンションは引き払い実家に帰った。

両親には俺が退院してから事の一連を話した。

あの場にいたら両親も発狂していたかも知れないし。

両親はしばらく仕事はしなくて良いからゆっくり休むよう言ってくれた。

それから数ヶ月経ったある日、俺の携帯が鳴り出てみると

『わたくし〇〇署の高橋といいます。今お電話よろしいですか?』

『ああ、もう退院したんで大丈夫っすよ。で、何か?』

『それは良かったです。実はあの女の事ですが、先日拘置所内で亡くなりました。』

『…え⁉︎』

『囚人服をロープ代わりにして自殺を図ったみたいです。一応あなたに報告だけしておこうと思いまして』

『死んだんすか。あ、あの女の人目は見えてたんすか?』

『彼女は両目とも義眼ですよ。経緯まではわかりませんが。何故です?』

『いえ、別に。じゃあこれで』

俺は電話を切りベッドに倒れ込んだ。

やっぱり目は見えてなかった。なのにまるで見えてるかのようなあの行動。何か特殊な力でもあったんだろうか。

とにかくあの女は死んだんだ。

でもあの何とも言えない顔付きとあの笑い声を思い出す限り俺の恐怖は消えない。

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