俺は昨日、ギャンブルの借金を返済するため
最終レースに全財産をかけていた。
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これで負けたら死ぬしかない。
まさに命がけのレースだ。
生まれてからこれ程ドキドキした事はない。
これほど真剣に何かに集中した事もない。
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そして一斉にスタート!!
大観衆のなか俺の賭けた馬は?・・・
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「・・・・・・・・・・・・」
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「・・・・・・・・・・・・」
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「・・・・・・・・・・・・」
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・・・・・俺はそのレースを見事当てた。
夢じゃなく現実にだ。
しかも万馬券!!
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こんな奇跡があるのか?
俺の背後には神がいるとしか思えない。
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それから興奮してる自分を落ち着かせ
気持ちも一段落した所で
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いよいよ有人窓口での換金作業
深呼吸し念願の万馬券を取り出そうとすると
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ない?
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先まで数秒前まで確かにあった万馬券が見当たらない
どこ探しても
ない!ない!ない!
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なぜだ?
と諦めきれない俺は
トイレから駐車場と関係ないとこまで
それこそ隅から隅まで探した結果
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残った物は
馬券をなくし絶望してるボロボロの俺と
金融会社からの着信履歴だけ・・・・
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「もう死のう・・・」
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そして今俺は地獄にいる
例え話じゃなく本物の地獄だ!!
まさか本当に死後の世界があるとは・・・
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何でも死後の世界では自殺が一番重罪らしく
俺はその最下層の罪を背負ってしまった。
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しかしテレビや本を見て想像してたのと
実際、自分がその拷問を受けるのとでは
当然何もかもが違う
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俺のいる地獄では人間が現世で作り上げた拷問器具全てを受けなければならなくて
「鉄の処女」
「ギロチン」
「ファラリスの雄牛 」等々
人間が考え出した物全てだ!
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俺は魂だから目も口も腕も何もないハズなのに
串刺、首切り、灼熱全ての痛み苦しみが俺を襲う!!
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うぎゃぁぁあああああああああああああああああああああああああ
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そして当然ながら気を失うことも死ぬこともできない。
そして生まれ変わる事も
拷問がなくなる事もなく
ただただ永遠に続く地獄の苦しみ
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そう永遠に・・・・
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「何で自殺なんかしたんだ!!」
「自己破産でもなんでも出来たのに」
「見栄、プライドが邪魔したか?」
永遠に続く地獄の中で
考える事は現世での反省と後悔と
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「おふくろ大丈夫かなぁ?」
「もっと親孝行しとけば良かった。」
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それ以上の
「俺が死んだことでの後追い自殺だけは絶対しないでくれ!」
とまさに魂を込めた願い
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そして、彼の魂から一滴の涙が落ちた瞬間
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パァーーーっと光が差し込み
気が付くと俺は自分家の布団で目が覚めた。
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「ハァハァハァ!!」
「夢?」
汗でビショビショになってるTシャツを脱ぎながら
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「とにかく良かったぁ~」
「生きてて良かったぁ~」
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と何気にポケットを突っ込むと
なくしてたハズの万馬券が・・・・
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それを数秒眺めた後、ニヤっと笑った彼は
そのくしゃくしゃになってる万馬券を
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ゴミ箱に捨て「さあ~て仕事でも探しに行くか!」と軽やかに外に出ていった。
作者DQ