(なんだよコレ… 夢だよな…)
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俺は駅のホームに居た…
周りに居る奴らは見覚えのある顔ばかりだ…
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由佳…?
宏美…?
美紀…?
貴子…?
………?
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全て知ってる顔…
そりゃそうだろ…
俺が過去に付き合ってた女ばかりだ…
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トンッ トンッ…
不意に後ろから肩を叩かれた…
「茉莉… どうして… 何かあっ!…」
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鈍い痛みと衝撃が、腹部を襲った…
言いかけた言葉がかき消された…
茉莉「刺すよ…」
幸恵「キャハハッ。もう刺しちゃってんじゃん。」
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由佳「うわぁ、血の色ってキレイなんだぁ♪じゃあ私も刺すよ♪」
後ろからの声に振り返る暇もなく、鈍い痛みが腰の辺りに走る…
(なんだコレ… 逃げないと…)
なんとかその場を逃げ出そうとするが、脚に力が入らない…
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一歩踏み出そうとして、膝から崩れ落ちる…
貴子「ちょっと、まだ二人目だよ。まだ崩れるには早いんじゃない? だらしない男…」
そう言いながら、横一文字に振られたナイフは俺の太ももを切り裂いた…
俺「ぐわぁ~ッ!」
痛みに堪えきれず、うつぶせに倒れた…
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そこからは地獄だった…
次から次へと、俺に向かって降り下ろされる凶刃…
「ちょっと! あまり胸の近くを刺しちゃダメだよ! 早々とくたばったら面白くないじゃん! 少しずつ切り裂いて、痛みと恐怖を味わって貰わないと!」
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(何言ってんの?… 何で俺がこんな目に…
夢…だよな… 頼む… 夢なら早く覚めて…)
「うわぁッ、汚い! 靴に血が着いちゃった!
買ったばっかりなのに、何してくれてんの!」
(正気かよ… コイツら…)
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もう身体には全く力が入らない…
意識も飛びそうだ…
視界もかすれてきた…
「はい、最後はあんたに任せてあげる。言い出しっぺだもんね♪」
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(誰だよ… こんな下らないこと考え付いた奴は…)
かすれてきた目を必死で見開き、俺に近づく女に目を向ける…
ぼやけた視界がハッキリとしてくる…
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shake
(!!!!!!!!!…)
薄れかけた意識が無理矢理 現実に引き戻された…
そこに冷ややかな笑みを浮かべて立っていたのは…
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嫁だった…
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結婚して、子供も授かった…
たまに喧嘩することはあるが、幸せな日々を過ごしていたつもりだった…
俺「どうして…?」
嫁「ゴメンねぇ。もう我慢出来ないの♪
何度言っても脱いだ服は片付けないし、トイレットペーパー使いきっても交換しないし♪」
俺「そんなことで…」
嫁「じゃあねぇ♪ バイバイ♪」
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俺「うわぁ~~~ッ!!!」
目が覚めた…
どうやらソファーで寝てしまってたようだ…
「どうしたの?」
そう言いながら、こちらに近づいてきた嫁の手には包丁が握られていた…
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俺「ぎゃあぁぁぁぁ~!」
嫁「何々!どうしたの? 寝ぼけてんの?うるさいなぁ!」
俺「お…お前… その… その手に…持ってる物…」
嫁「はっ? あぁ、ゴメン ゴメン。晩御飯作ってたから。やけにうなされてるなぁって思ってたら、急に叫ぶからでしょ。」
俺「あ… あぁ… それで…」
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嫁「もう! いつまでも寝ぼけて無いで! それよりもそこにある靴下ちゃんと…」
俺「はい! 洗濯機の所に持って行っときます!」
嫁「うむ、わかればよろしい!」
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横で娘が大爆笑しながら見ていた…
テレビでは、どっかのバンドのボーカルが今度は未成年の女と熱愛発覚! ってニュースが流れてた…
作者烏賊サマ師
最後まで読んでいた頂いてありがとうございます。
昨日の夕方の我が家であった実話です。
全く怖くないですよね。
本作で、四十四話目の投稿です。
ということで、軽いタッチの話を載せてみました。
次からはちゃんとやります。
脱いだ服は洗濯機に持っていきます(^_^ゞ