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短編2
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おちる

私が公営住宅に住んでいたころの話です。

そこは日本でも有名な公営住宅群で、多くの人が暮らしていました。と同時に自殺者も多い場所でもありました。

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私が17歳のころ、部屋でゲームをしていた時にふと外に目を向けると、斜向かいの住宅から人影が下に落下するのを目撃しました。

「人が落ちた、やべぇ、、、」私はすぐに窓から落下地点であろう場所を見ました。しかし特に人が落ちた形跡はなく、ただの見間違いということでその時は納得しました。

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しかし、それからというもの、たまにではありますが、同じ場所から黒い影が落ちるのを見てしまうようになりました。

意識のし過ぎだとは思いましたが、何度も見るので親にも相談しました。当然笑われておしまいだったのですが。

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そして、ある時から気づいてはいけないことに気づいてしまいました。

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・・・近づいてきてるんです。影が落下する場所が当初の場所よりも、徐々に私の家の方に。

しかし、それでも棟が違うからと安心していたのを覚えています。

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落下する人影を見始めて何回目のことでしょうか・・・私がベランダに出て母から頼まれた洗濯物の取り込みをしていると、

「ヒュンッ、バム!」

目の前を人が落下してきたのです。一瞬の出来事で呆然としましたが、すぐに状況を把握しベランダから身を乗り出し下を見下ろすと・・・

何の変哲もない日常でした。と、

何を思ったのか私が不意に斜向かいの棟に目をやると、人がまた落ちている瞬間でした。今度は服から性別までわかるくらいはっきりと落ちていく人間が分りました。

地にぶつかる瞬間は目を覆ってしまい、後で後悔しました。目を開くと、やはり飛び降り自殺は起きていないんです。

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私がその公営住宅から越すまでの5年間、たまにですが飛び降りる人間の残像を見続けました。近くなったり、はっきりと見えたり、気配だけだったりと、いつも同じではありませんでしたが。

しかし目の前まで近づいてくるのは恐怖以外の何物でもありませんでした。

これは一体どういう現象なのでしょうか。今でも思い出すと寒気がする出来事でした。

おちる-完-

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