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中編3
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復讐

ある町のバーで働きはじめて暫くすると、色々な人と出会い、話をしているとかなりハードな人生送ってる人から産まれてから、苦労したこと無いって人まで、様々な人生があるな~なんて、当たり前の事を見落としていたよう感覚になったりしていた。

その中でも、自分の4つ上で、誰にでも優しく凄く面倒見が良い、篤(あつし)さんと言う人がいた。その人は何故かヤ〇ザの舎弟のようだった。やはり深い理由があったようだが、深くは聞かなかった。

ある日、篤さんが珍しく飲みに来た。俺は凄く良くしてもらっていたので本当の兄貴のように慕っていた。

篤さんは人が居ない時間や店を閉める間近に来ることが多かった。今思えば店に迷惑をかけないために気を使っていてくれていたんだと思います。

その日は珍しく泥酔していて、ずっと、後少しなんだ。後少しで…と何度も呟いていた。

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暫くして店を開けると、篤さんが申し訳なさそうに、頭を下げながら入ってきた。その後ろには死んだ魚のような目をして、凄いダークな雰囲気を纏って高そうなスーツを着ている親父がいた。

店に入るなり

『お前ら、企業舎弟になれ。ならないなら店潰してテメェら埋めてやる』

といきなり脅され返事に困っていると、篤さんが

『兄貴、話が違うじゃないですか。俺の可愛がってる後輩見に行くって、行ったじゃないですか』

『お前の後輩は俺の舎弟と同じなんだから俺の傘下にしてやるんだよ』

と言った。その言葉より、その人(松田)の背後にしがみつく複数の手が絡んでいる事にびっくりしてしまった。

その時の松田が

『俺にお前ケンカ強いんだって』

と言いながら近づいて来て一言。

『お前ごとき指一本で殺れるよ』

と笑いながら懐から拳銃を出し躊躇無く俺に向けて引き金を引いた。

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篤さんの

『危な~い』

の声でやっと我に帰った。松田は、引き金を引いたが弾は入って無かった。腰砕けになっていると松田は

『分かったか!何時でもお前ら殺せっから』

と言いながら店を出ていった。

篤さんは、何度も頭を下げながら店を出ていった。次に来たときは顔面崩壊状態だった。松田に文句を言った結果そうなったと寂しそうに笑った。

その後、松田の嫌がらせは続き店から客が離れて行った。

休日に歩いていると篤さんのベンツが横付けされ

『徹人のれ~。焼肉食いに行くべ』

と言われて車に乗った。行先は個人がやっている小さな店だった。着くと篤さんは笑いながら飲み続け酔いつぶれてしまった。すると焼肉店の店長さんが布団を持ってきてくれた。そこで聞いたのは篤さんの家族は借金が松田に流れ激しい取り立てにあい、一家心中したと聞かされた。篤さんには年の離れた妹と4つ下の弟がいたそうです。篤さんは、仕事で違う町に住んでいたみたいでずっと後悔していて、復讐するつもりで名前も変えて、松田の傍にいると聞かされた。

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ある時、篤さんがニコニコしながら入って来た。『松田はもう来ないよ。指名手配されてこの町出ていったから。迷惑かけてごめんな。もう安心だから。これから何かあったら俺に言えよ。』

と言うと店を出ていった。

出ていく篤さんの背中には松田の背中にあった沢山の手がしがみつくようにあった。その後篤さんが店に来ることは無かった。

その数年後バーのオーナーだったお寺の跡取り息子で親友の賢人から篤さんが自殺してお葬式やったと連絡が来た。

涙が止まらず賢人にありがとう。といい電話を切った。

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