深夜男友達4人で遊んでいた時の事。
一通り遊び終わり、暇を持て余していたので肝試しに行こうという事になった。
候補はK県の旧Nトンネル、Sダム、M池の三つだ。
その時のメンバーは…
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友人A→霊感ナシ
友人B→霊感ナシ
友人C→霊感ナシ
俺→霊感ナシ
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すまない。4人全員霊感がない。
よくある話だとそのうちの1人位は霊感持ちで色々フラグを立てるんだけど…
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でも俺の母は霊感が強い。
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その母とは一つの約束事がある。
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心霊スポットに行ったら必ず報告する事…
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すると玄関でフルスイングで塩をぶっかけてくれる。
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この流れだと意外に思う人もいると思う。
母が霊感強いなら
『そんな場所に絶対行くな!』
って言うんじゃない?…と
俺も最初はそう言われると思ってたから隠してたんだが母いわく
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『どうせあんたらが行くのって有名な心霊スポットやろ?
あぁいう所ってのは年間何千人って人が来るわけ。
いちいち親切丁寧一人一人に憑いて行くほど幽霊も暇じゃないし、そもそも幽霊も憑く相手は選ぶしね。誰でも良い訳じゃないから』
との事。
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それを聞いて安心した反面ここまでキッパリ言われると
お前程度に幽霊は見向きもしないよ!
とけなされてる気もしないではない。
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そしてなぜ報告させるのかというと
大体そういう所は噂になる位だから核となる強い霊がいて
その周辺には半端な小者が寄ってくるらしく、その小者が俺にくっついて来て母の視界に入った時に鬱陶しいからと言うのが理由だそうだ。
鬱陶しいからって…汗
因みにその程度の小者は憑かれてもほぼ影響はなく、あったとしてもなにもない所で転ぶとか、箪笥の角に足の小指ぶつける位なんだそうだ。
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その説明だとなんだか一気に現実味が沸く。
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で、男4人で時間、距離を考えて1番手頃な旧Nトンネルへ向かった。
時間にして約小1時間深夜2時頃に目的地に着いた。
きっちり丑三つ時だ。
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そのトンネルは道幅が狭く車一台が通るのがやっとの道だ。
トンネルの内側は手彫りで岩が剥き出しの作り。
もうその佇まいだけで俺らはお腹いっぱいだった。
しかしここまで来たら行くしかないし、そもそもUターンするだけの場所がない。
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勇気を振り絞りゆっくりとアクセルを踏む。
トンネル内は真っ暗で全くの無音。
どこかで地下水が漏れて来てるのか路面は濡れていてゆらゆらとライトを反射する。
そしてこれといった事もなく、順調にトンネルの半分を過ぎた頃である。
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いきなり正面に強い光が現れた。
一同息を呑む…
それが一体なんなのか確認したいのだが眩しくて確認できない。
暫くして目が慣れたのかようやくそれが車だという事に気付く。
『対向車か…?』
と友人が呟く。
この時点ではまだ 対向車であってくれ! の方が強いのかもしれない。
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暫くどうしたらいいのか、そもそも本当に車なのか判断付かずにいると対向車のライトが小さくなってる事に気付いた。
『あ、向こうがバックしてくれたっぽいな』
と少し安心してゆっくりと進む。
と、その時だった…
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shake
ゴッ!ガガガガガッ…
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鈍い音がトンネル内に響き渡った。
俺たちは慌てて周りを見渡す。が、強い光を見ていたお陰で殆ど見えない…
目が慣れるまで念入りに確認したが特になにも変化はなかった。
恐る恐る出口に向かうと左側に白のセダンが停まっていた。
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その頃には車も確認できていた事もあり、少し安堵し窓を開けて
『すいません。有難うございます』
とお礼を述べた。
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すると少しの間が合ってから向こうの窓が開き相手の顔が確認できた。
二十代半ばの男女のカップルの様だ。
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男性『あ、いえいえ。と言うかちょっとビックリしたわ。時間と場所が場所なだけに…』
俺『ですよねぇ。こっちも一瞬どうしたらいいのか焦りました(笑)』
やはりお互いに警戒していた様だ。
男性『あまりに動転したから今避ける時に擦ってもうたわ(笑)』
俺『え!大丈夫ですか?なんかすみません』
男性『大丈夫大丈夫。元々傷だらけやし』
確かによく見ればあちこちに傷が目立つ。
男性『やっぱ自分らも幽霊目当て?なんかおった?』
俺『いや、なんもなかったですわ』
男性『やろなぁ〜(笑)だから言うたやん。』
と彼女に話しながら笑ってる。
どうやらこの人は幽霊を信じてない側の人らしい。
ま、車ぶつけても気にしない位だから細かい事は気にしない人なんだろう。
男性『あ、そろそろ進んでもらっていい?』
なんてマイペースな人だと思ったが
そう言われて自分達が道を塞いでる事に気づいた。
人と話すことで少しでも安心したかったのだろう。
俺『すぐどきますね。じゃあ』
と言って帰路に着いた。
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その後帰りに軽くお腹を満たし、今しがた行ってきたトンネル話で盛り上がった頃には朝になっていた。
今帰れば丁度母が起きてきてるなと思い、そのまま4人で家に帰り玄関で母を呼んだ。
いつも大体このメンバーで行ってるので、内心友達は今日は誰が塩をかけられるのか楽しみにしているのを知っている。
どこに行っても俺はほぼかけられるのでそれも楽しいのだろう。
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母『またか…で、今日はどこいってきたん?』
俺達『旧Nトンネル』
母『あぁあそこねぇ…』
と言いつつ俺ら4人を順番に上から下へと視線を泳がす。
誰が1番だろ?
楽しみに待っていたら思わぬ言葉が返ってきた。
母『あれ?珍しい…今日はなんも拾ってきてないわ』
俺達『え、ほんまに?』
俺はホッとしたが友達は残念そうだ。
母『あんたらも帰って寝な』
と言い残し台所へ向かって行った。
みんなで騒ぎ、楽しかったのだが最後のデザートをお預け食らった感じだ。
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その後解散し俺は夕方まで寝た。
どうやら夕飯ができた様で呼ばれて食卓に付く。
すると母が朝の事を話してきた。
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母『今日珍しくなにも拾ってこなかったけどNトンネルのどの辺行ってきたん?』
俺『どの辺ってトンネル内走ってきたんやけど?』
母『トンネルだけ?』
俺『そそ。てかトンネルに出るって話しやろ?女の子の霊とか…』
母『あぁそれでかな…それか他の事で手が塞がって忙しかったとか(笑)』
あまり笑えないが母なりの冗談である。
俺『え?なんか違うのん?』
母『あそこで一番強いのはトンネル内じゃなくてその近くにあるお地蔵さんやからね』
俺『そうなん?全然知らんかったわ。てかお地蔵さんなんてあったかな…因みにそのお地蔵さんって何処にあるん?』
母『家から行ったんならトンネル出た所の左側のちょっとした広場の奥やで…』
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shake
その時脳裏にフラッシュバックの様に音と映像が蘇る…
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shake
ゴッ!ガガガガガッ…
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『あまりに動転したから今避ける時に擦ってもうたわ』
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母『それか【他の事】で手が塞がって忙しかったとか(笑)』
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あのカップルが無事だと良いのだが……
作者ハロサン