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あの日、俺は革命のための戦いを決行した。
結果は失敗だった。俺たちは官僚どもが一挙に国会議事堂に集まる日を狙い襲撃を決行した。俺たちは役立たずの政治家どもを半数ほど殲滅した。だが、そこで到着した自衛隊や警察の特殊部隊の総攻撃にあい、襲撃部隊はほぼ壊滅し、俺を含めた数人は逮捕された。
裁判の結果、国会議事堂襲撃の首謀者として、俺には死刑判決が言い渡された。
(なぜだ?俺は神の啓示を受け、神が語った理想の世界の実現のために革命を起こした。しかし、それにも関わらず革命は失敗し、俺は今ここにいる。正義は俺たちではなく、国にあったというのか?)
そこまで考えたところで、俺は新しい疑問を感じた。
(そもそもなぜ襲撃が失敗した?俺はあいつが言った襲撃が絶対に成功する日に合わせて決行したはず。だが結果として襲撃は失敗に終わった。なぜだ?あいつの能力が未熟だったから?それともあいつは嘘をついていたのか?いづれにしてもこのまま終わるわけにはいかない。たとえ、俺の命がここで終わっても、俺は幽霊になってでもこの世界を変えるのだ。)
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「フフ、私が視た未来の通りになったわね。リーダーは私のことを信用しきってたから、私が嘘をついてるとは思いもせずに、考えた通りに動いてくれたわ。まあ、この未来も私の目には視えていたけど。」
革命団のアジトで、リーダーの椅子に座りながら瞳をはじめとした組織幹部はこれからの組織について話し合っていた。
「しかし瞳、もしリーダーが生霊をとばしてきたり怨霊となったらどうするつもりだ?お前のことだから、何か策は講じてあるのだろう。」
そう真司が指摘すると
「朱里ちゃんに結界を張ってもらってるから大丈夫よ。」
と瞳は返した。
「もし入ってこられても、姉さんは僕が守る。」
すかさず魔那呼(マナコ)が口をはさむ。
「ありがとう魔那呼。もちろんあなたのことも頼りにしてるわ。」
「それより瞳、そろそろなぜリーダーに嘘の未来を伝えたのか教えてくれないか?」
座頭がそう問いかける。
「視えたのよ。理想の世界を作った後、リーダーが私たちを始末する未来が。」
瞳はそう答えた。
「でもリーダーだって喜んでくれるはずよ。私たちが作るのは彼が思い描いた世界だから。フフ、私の目があれば失敗はありえないわ。さあ、ここからが本当の革命の始まりよ。」
瞳はそう言って不敵に笑ったのだった。
作者白真 玲珠
「失敗作」の後日談的な話です。
前作を読んでいないと意味がわからないので、まだ読んでいない方は、前作「失敗作」を先にお読み下さい。
http://kowabana.jp/stories/27387?copy