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短編2
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骨折り 中編

元来た道を戻っていくと、崖の遙か下にFの姿を見つけました。

「あいつ、滑落しやがった・・・」

私は全身の血の気が引いていくのを感じながらも、

「おーい!生きているか?返事しろーー!!」

と何度も叫びましたが返答はありません。

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とにかく一人では何もできないので、足早に山小屋に仲間を呼びに引き返しました。

山小屋に着くと仲間に事情を説明し、明朝すぐにFを引き上げに行くことになりました。

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もうすでに夕暮れとなっており、二次災害を防ぐため明朝捜索することになりました。

当時はまだ、ヘリコプターを呼ぶということが簡単に出来なかったので、

自分らで対処するのが一番早かったのです。

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その夜、仲間の一人が妙なことを言いました。

「Fの前を今日歩いていたんだけど、あいつずっとぶつぶつと独り言を言っているんだよ」

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「何を言っているのか、耳を澄ませると、、、お母さんに会いたいって、

そういうんだよ。

まぁちょっと、俺も疲れてたから反応はしなかったんだけどな、、、

ちゃんと聞いておけばよかったよ。」

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次の日、まだ日が昇る前から私たちはFのいる崖下に急ぎました。

ちょうど朝日が差し込むころにFを見つけた場所にたどり着きました。

Fは昨日と位置も変わらず横たわっていました。

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あー、これはもう本当にダメかもな・・・と皆がそう思いました。

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私たちはザイルを使って、Fのいる崖下まで下りました。

するとFは見るも無残に体中がおかしな方向にネジれてしまっていました。

「F、どうしてこんなことになっちまったんだよ」

皆、絶望で立ち尽くすしかありませんでした。

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これからどうFを運ぶか、、、どうすべきなのか、、、

それはとてもつらい選択でしたが、当時はそうすべき選択でした。

骨折り 中編-完-

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