拝啓、母上様。
お元気にしておられるでしょうか。
私は今日も戦地で、お国の為に、微力ながらも働いております。
先日は、級友の政仁の隊が敵機に向かいました。
勇敢な最期だったと小隊長から聞かされました。
明日は、いよいよ私達の番です。
母上様。私の華々しい門出を、どうか悲しまないで。喜んでください。
そしてお国の為に私は散ってゆきますが、心は、母上様と共にあることを忘れないでください。
それから、妹の千恵子のこと、よろしくお願いいたします。
体の弱い母上様を手伝えない親不孝を、お許しください。
それでは、どうか母上様と千恵子は、お元気でいてください。
―敬具―
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母上様、本当は帰りたい。帰りたい。
私はまだ死にたくない。
千恵子に会いたい。母上様の膝の上で眠りたい。
非国民と罵られようとも、まだ、生きていたかったです、母上様。
なぜ、私たちが。なぜ、なぜ、どうして〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
作者まりか