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俺は今恋をしている
相手は同じクラスのユカリと言う女の子だ。
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実は彼女には別のクラスに目の不自由な双子の妹がいて
学校の登下校に休み時間と
いつも付きっ切りで妹の世話をしている。
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最初は「いつも大変だなぁ」ぐらいで
大した気持ちもなく眺めてたんだけど
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ある休み時間
教室に落ちてた妹の白杖を
たまたま見つけた俺がユカリに渡すと
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周りに注目されるほどの勢いで喜んでくれて
渡した俺も恥ずかしいやらかっこ悪いやらで
その場は素っ気なく立ち去ったんだが
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心の中では
「ユカリってこんな可愛かったっけ?」と、
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次の日から
ユカリの行動を目で追ってしまう自分がいた。
そしてそれは俺だけじゃないって事にも気付いた。
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周りを見渡すと
「何かキッカケはないか?」
「何か手伝う事はないか?」
とみんなもユカリとの接点をさがしてるようだった。
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そんなある日
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ユカリの妹の机に口ではとても言えない酷い差別落書きが・・・
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クラス女子からの妬み、嫉妬?
それともゲーム感覚?
それとも・・・?
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とにかく妹をダシにユカリを悲しませようとしてる事は見え見えの最低のイタズラだった。
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それから
「ユカリ大丈夫か?」
「俺が犯人見つけてやるからな!」
「安心しろッ!」
と俺を含むクラスの男共は「許せん」と躍起になるんだが・・・
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そこを境に妹に対する嫌がらせはドンドン激しくなった。
体操服は切り刻まれ
上履きは焼却炉の中
朝来ると黒板には差別落書きの数々
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挙句盗撮まで・・・
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ユカリの必死の訴えもむなしく遂に妹はうつになり入院してしまった。
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そして落ち込んだユカリを励まそうと
数人の友達と一緒にお見舞いに行き
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「ユカリ頑張れよ!」
「犯人は大体わかってるから!」
「俺達を信じろッ!」
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ユカリ:「ありがとう。その気持ちだけでいっぱいだよ(涙)」
そんな会話の直後、妹がユカリの耳元で
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妹:「私、本当は目が見えるんだよ!(怒)」
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あの時、妹が何を言ったのかは俺達にはわからない
ただ俺たちは今、
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妹の葬儀に参列している。
俺達:「あ、妹ってユリって名前だったんだ。」
作者DQ
チヤホヤしてくれるなら
悲劇のヒロインになれるのなら
目の見えない妹の前で・・・