【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

短編2
  • 表示切替
  • 使い方

夢【神成弥子シリーズ】

…………やぁ。

ん?あぁ、いや、別に具合が悪い訳じゃないよ。

ただ……君に、私の過去を話してしまったからね。

どう接したらいいのか、わからないだけだよ。

nextpage

さて、じゃあ気分転換に、話でもしようか?

nextpage

separator

…………此処は、何処だ。

俺の家ではない。

俺は、ベッドで寝ない。

俺は、狭いアパート暮らしだ。

俺は、俺は……。

nextpage

俺は、俺には、身体が、あるはずだ……。

何故、身体が無い…?

なのに、何故、生きている?

俺は、なんなんだ……?

俺は……いや、お前は、誰だ…?

nextpage

目が覚める。当然、ベッドではなく布団の上で。

………酷い夢を見た。

(気味の悪い、夢だったな……)

俺の身体がなく、自分を誰なのかわからなくなり、自分にひたすら、「お前は誰だ?」と言うなんて……。

まるで、ホラーだ。

nextpage

夢だということもあるが、今は12月。

某ハンバーガーショップに務める俺にとっては大忙しの時期だ。夢のことなんてすぐに忘れてしまった。

「斉藤、お前ちょっと裏に回ってくれるか?人手が足りん」

「あ、はい、わかりました」

店長に呼ばれ、裏に引っ込む。全く、何故この時期はやれクリスマスだ、やれ年末だと、忙しいことが多いのかね…。

nextpage

ふぅ……やっと終わった………。

今日は忙しかった。しかしそれは仕事にやり甲斐があるという事だ。仕事人間の俺にとっては嬉しいことこの上ない。

「うぅ……寒っ!」

今日は特に冷え込むな……。

速く帰って寝よう……。

nextpage

separator

私は、“彼”の枕元にいた。

頼まれた訳では無い。

“彼”の気配を感じて、ここに来た。

“彼”は寝ている。とても静かに。

まるで…………そう、死んでいるように。

nextpage

が、当然死んではいない。

“彼”の見た夢。

あれは、夢ではない。現実だ。“彼”は現実では寝ているが、あちらでは生きている。

nextpage

とても小柄で、華奢で、顔立ちも整っていて、“彼”はそんなに綺麗なのにも関わらず、こちらではなく、あちらで生きている…否、こちらでは、あちらのように生き生きと過ごせないだろう。

nextpage

“彼”は、女性だ。

Concrete
コメント怖い
0
4
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ