カフマンという男 X-8 修正済

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カフマンという男 X-8 修正済

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カフマンという男 X-8

リスク沼は猛毒に侵されている。

長い年月が経ち、あらとあらゆる生命を殺す沼に…

死んだ者の亡骸は紫に変色し死んでも尚、猛毒を撒き散らす毒の華となる。その沼で採れる毒仙花には傷を治癒させる効果があり、採取する難易度は高いが非常に価値のある植物である。

その沼を創り出した……原因は毒…

「肝心な部分が焼けてしまっているな…」

カフマンは巨大な書斎で紅茶を片手に本を読んでいた。

その昔…1人の若者が父を助けるために毒仙花を求め、リスク沼にやってきた。

毒の華が放つ毒の花粉を吸い込まない為に

口をキメの細かい布で口を覆った。

なんとかそれで毒の花粉は耐えられたが…

若者の前に一匹の毒龍………が舞い降りた。

若者は父から譲り受けた短剣で左眼を突いた。

ここから先は途切れている。

「リスコ沼…毒龍…毒仙花…気になるな…」

そこへアーロンとアルがやってきた。

「金の匂いがする…」

カフマンは笑いながら本を閉じる。

「また金か?腐るほど持っているじゃないか」

アーロンは書斎にポツンと置かれた椅子に座り

「無いよりマシだろ。それで毒仙花って?」

「万能薬の一種で、不死鳥の糞と同じ効果が期待できる。しかし、毒仙花は全身が焼かれた様な感覚に襲われ幻覚を見るようになる」

「それで毒仙花っていうのか?」

「まあな…効果も期待できるが、副作用が猛毒並みっていうことだ。傷を瞬時に治癒させられる代物には良くあることだ。」

アルはナイフを片手で曲芸の様に操り

「それと話に出てくる毒龍ってなんだ?コカトリス?」

カフマンは分厚い本を取り出し

「多分、バジリスクのことだろう…伝説では睨まれたら石化すると言われているが…バジリスクが放つ毒の影響で石の様に動けなくなる症状を示している」

「それで動けなくなった獲物を喰らうって訳だ…」

カフマンは指を鳴らし書斎にテーブルと二つの椅子を出現させる。

「実は…バジリスクであろう怪物の退治を依頼されている。」

アーロンはニヤリと笑い

「バジリスクがいれば毒仙花も…」

「それはわからない…手に入る可能性は極めて低いし、それにバジリスクかもしれない怪物が邪魔してくるだろう」

アルはナイフの先端を眺め

「怪物なら片っ端から退治してるから平気だろ」

「そんな楽観視してたら痛い目をみるぞ?相手は怪物は怪物でも、古代種の怪物だ」

カフマンは紅茶を飲みながら菓子を手に取る

「まあ君達ならやり遂げられるだろう」

アーロンは腕を組み直し鼻で笑う

「フン…やり遂げられるに決まってる」

その言葉に頷きナイフを操る

「任せとけって。心配することは無いさ」

カフマンは笑いながら

「期待しているよ…毒仙花の採取は可能であれば採取してきてくれ。もし、退治依頼の怪物がバジリスクなら、油断するな。確かな情報を集めてから退治に迎え、いいな?」

アーロンは軽く頷き

「それはハンターの基本中の基本だ。」

アルは菓子を頬張りながら

「基本中の基本って、俺らには無いに等しいけどな」

カフマンは紅茶を飲み

「それでは解散するとしよう。私は他にもやることがあるからな。依頼の詳細は後日、連絡する」

アーロンとアルは頷き書斎を後にした。

一人になったカフマンは紅茶をテーブルに置き

「さて、あの男の調査を始めよう」

カフマンは一枚の写真が付いた資料を取り出し

1839年11月18日に行方不明になったアームストロング少佐…

髑髏星に追われトンネル内で死亡と断定されたが遺体は発見されず。髑髏星が追っていた液体オリハルコンの行方も謎のままである。

しかし、1950年代のもの映画にアームストロング少佐である可能性が極めて高いとされる人物が映っていた。

その容姿は変わらないままだった。

”削除済み”は現在もアームストロング少佐が生存している可能性が高いとして、超常現象調査委員会に捜索を依頼した。

秘密地下にて…

「アイツが生きているだと?そんな馬鹿な話があるわけないだろう!!」

怒りが混じる叫びに周囲の覆面をした人々が固まる

「まあ信じられないのも無理はない。お前が殺したんだからな。」

「なぜ…アイツが生きている?なぜ!?39発も体に撃ち込んだはずだ!!」

フードを被った男はテーブルを殴る

「まあ生きているということはだ…モルガン、液体化オリハルコンの居場所が掴めるかも知れない」

モルガンは赤い目をフードの暗闇から輝かせ

「なぜ分かる?バグラ?」

「これを見ろ…最近の監視カメラの映像にアームストロングが写っている。それに不自然に右手が光ってる」

モルガンは写真を手に取り

「どういうことだ?奴はなぜ、液体化オリハルコンに侵食されない?」

バグラは笑いながら

「適応した…としか言えんな」

モルガンは思い出したように

「確か奴の右手は俺が斬り落としたはず…液体化オリハルコンが再生させているのか…」

「何事だ?何を騒いでいる?」

一人の男が現れ覆面をした集団が道を作る

「アームストロングが生きている!!」

モルガンが怒りながら男に詰め寄る

「そんなことか…大したことはないだろ?怖いか?奴が復讐しに来るのではないのか?と。」

モルガンは男に背を向けて歩きながら

「次は必ず殺す…必ずな…」

男はバグラに巻物を投げる

「これを解読しろ。すぐに取り掛かれ」

バグラは巻物を眺め微かに笑う

「これはこれは…了解しました」

その頃…超常現象調査本部では…

超常現象調査本部第3エリア入口にて…

「待て!貴様は何者だ!」

その男は

漆黒の衣服を身に纏い、ただならぬ存在感を醸し出していた。

真っ直ぐに伸びた女性のような長髪

彼の名は「アーカード」

自らも吸血鬼でありながら最強の吸血鬼ハンター

「私の名はアーカード。カフマンに会いに来た」

To be continued…

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