中編3
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人形の森 X-1

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カフマンという男 X-10

人形の森 Episode 01 「備え」

魔王…その存在は遥か昔から確認されてきた。

満月が赤く染まる時の月明かりに照らされた赤ん坊は魔王になるとされている。

あらとあらゆる怪物の姿になることができ、その力は絶大な力を持つ。

レイモンドは「魔王書」を読みながら電車に乗っていた。

「何が、絶大な力を持つ。だよ!!」

レイモンドの隣でいびきをかくアイボリー

「いいご身分だな、アイボリー様よ!」

レイモンドは持っている本でアイボリーの頭を叩く

「痛った!!なにすんですか!?」

レイモンドは知らんふりしながら

「ん?どうした?おいおい!赤くなっているぞ!敵襲か!?」

アイボリーは頭を押さえ

「いや、あんたがやったんでしょうが!」

レイモンドは笑いながら

「そろそろ目的地の駅に到着だな」

大勢の人たちで、ごった返す駅のホームの真ん中で立ち尽くす二人

「なあ…ここで待てばいいんだよな?」

「ええ…予定では、そうなってますけど」

30分後…

「おい。コーヒーを買ってきてくれ。砂糖二本、ミルクは牛乳で」

「はいはい…いつものやつですよね」

1時間39分後…

「おい…まさかあいつと組むことになるのか?」

「ああ…らしいな」

レイモンドの前に二人の男が喋りながら歩いてきた。

アーロン&アルの二人組だった

アーロンはホットドックを頬張りながらブツブツと

「カフマンの野郎…何が「現地に優秀な部下がいるよ」だよ」

アルは頭を掻きながら「まあいいんじゃねぇか?」

レイモンドは片手にサンドイッチを持ちながら

「アーロン?それにアルじゃないか!お前らが案内人?」

アーロンは口の中のホットドックを飲み込み

「はぁ?ふざけるな、俺らは案内なんてしないぞ」

アイボリーは熱々のコーヒーを飲みながら

「まあまあ喧嘩なんてしないで、仕事の打ち合わせをしましょうよ」

アルも頷きながら

「さっさと終わりにして飲みに行こうじゃないか」

レイモンドはアーロンとガミガミ言い合いながら歩きだした。

落ち着いた二人は席に着き各々の飲み物を注文する

「コーヒーで砂糖は二本、コンデンスミルクじゃなくて、牛乳で」

「缶のコーラをくれ」

店員が困ったようすで

「すみません、缶のコーラは置いてなくて」

アーロンは溜息を零し

「じゃあ、ブラックのコーヒーで」

アルは欠伸をしながら

「俺は…お酒ってある?」

店員は頷き「ビールならありますけど…」

アルは笑顔で「じゃあ、それで!」

アイボリーは書類を眺めながら

「私はジンジャーエールで」

数分後…各々の飲み物が到着するとアイボリーが

「今回の目的は、ここから60㎞離れた人形の森と呼ばれる場所で、バジリスクと思われる怪物の退治です」

アーロンはそれに続き

「しかも、人形の森では携帯も疎か無線も使えない。二人一組で行動し、何かあれば照明弾を合図に集合」

レイモンドはコーヒーを飲みながら

「それに賛成だ。アーロンとアルの嗅覚を頼りに大雑把なバジリスクの位置を予測しよう」

アルはビールを飲み干しグラスを置く

「だいたい決まったな。この街にバジリスクに詳しい人物がいるらしい。そいつに会いにいくぞ」

アルは立ち上がりポケットからくしゃくしゃの紙を取り出しテーブルに広げる

「バーキン博士だ。俺とアーロンは博士に会いに行きお前たちは道具の調達を頼む」

レイモンドはコーヒーを飲みながら頷く

「ああ、それで構わない。」

アイボリーは知識書が無造作に入れられたカバンをあさり一冊の本を取り出した。

「まずは翡翠の短剣、バジリスクに関する情報も集めないといけませんね」

アーロンは帽子をかぶり、葉巻に火を点けるが店員が止める。

「あのー、店内は禁煙なんで。外に喫煙所があるのでそちらでお願いします。」

アーロンは静かに葉巻の火を消して

「それじゃ…各自準備が整い次第、二日後の朝に人形の森の入口で集合としよう」

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