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朝が来るのがこんなにも長く、そして優しく感じたのはいつ以来だろう。
彼女は腕の中でまだスヤスヤと寝息を立てている。
それもつかの間、鳴り出す携帯に慣れない腕枕で痺れた腕。
Nを起こさずに携帯を取ることは出来なかった。
その数時間後、俺はすでに怖い空間の中にいた。
死んだ部屋のあるその付近、ファミレスのボックス席。
彼女、俺、Cさんとテーブルを囲み、空気の重たい世界を店の一角で見事に作り上げていた。
「Aくん、この人誰?」
Nはあからさまに敵対視している。
「Nちゃん、この人は兄貴の知り合いでCさん…」
「えっと、Cさん、Nちゃんです…」
沈黙を破るのはやはり大人の余裕なのだろうか
「はじめまして、Nちゃんね♪私はC、よろしくね♪」
Cさんはあいかわらず優しい落ち着いた声で空間を包み込んでゆく。
やっぱり胸の奥が少しズキズキと痛くなる。
会話も広がらないその居心地の悪いファミレスをはやばやと抜け出し、俺達は死んだ部屋へと向かった。
「たぶんこの辺のはず…」
Nはあいかわらず地図が苦手なようだ。
「ちょっと見せてもらえる??」
Cさんと俺が地図を確認してる間Nはイライラしているのだろう、「この辺だもん…」とブツブツ言っている。
でも確かに場所はこの辺のようだ、夜も深くなってきているので人なんかいないし、俺達はすぐ近くにあったコンビニに入り、缶コーヒーを買いつつ店員さんに話を聞くことにした。
「すみません、ちょっとお伺いしたいんですけど、この辺で怖い噂とかって聞いたことないですか??」
男の店員さんは、眠たげな瞼をギリギリひらいているだけの目でこっちをチラッと見ると
「あれっすか?死んだ部屋だか何とかってやつ?」
「あっそれっすそれそれ!」
「それ最近よく聞かれますけど、多分行っても無駄ですよー。」
話を聞くに、最近流行ってるからよくこの辺に来て、見つからなくて聞きに来る人がちらほらいるのだとか、でも誰もその部屋を見つけられた人はいないんだとか。
場所的には、このコンビニの斜向かいにあるマンションの一室なんだという。
俺達は礼を言うなりすぐさまそこに向かっていった、オートロックの入口を突破するのに苦労はしなかった、誰かのポストにささっているチラシを使いCさんはニコニコしながらスッとオートロックを解除して見せた。(安全性に携わる為細かくは書かないでおきます)
ドヤッとキメ顔でこちらを眺めるCさん
「俺くんに教えてもらったんだ昔っ♪」
兄貴の入れ知恵か、納得してしまう。
Cさんと兄貴は昔もこうしていろんな時間を過ごしていたのかなと考えていると後ろから押される。
shake
「早く行きなさいよ!」
Nはあいかわらずブスっとしている。
しれーっとエレベーターへと乗り込み俺達は6階のボタンを押す。
この狭い空間でまたこの2人に囲まれる…うん、気まずい。
エレベーターの表示はゆっくりと上昇してゆく。
2階…点滅は消えかけているようなボロいエレベーターのなか。
3階…ガタガタと揺れるこのオンボロな箱が、ここで止まってしまって、閉じ込められでもしたら、、
4階…Cさんは無言で回数表記を見ている…
5階…NちゃんはCさんを横目に睨んでいる…
6階…やっとついた。
ハァ…と少しだけ息苦しかった空間から出れたことで違和感を感じていた事を受け流してしまう。
もっている情報としては6階の一番奥。
そこが「死んだ部屋」
非常階段の手前の609号室…あれ?
そこでまた違和感を感じる。
「あれ?情報と違くない??」
Nも気づいたようだ、そう、6階の非常階段だけはエレベーターの横にあるのだ。
他の階は全てエレベーターと逆の場所に位置しているのにここはエレベーターの横に階段がある。
「とりあえずその609号室入れるか見てみよ。」
Cさんの表情はもうニコニコはしていなかった、Cさんはどこか研ぎ澄ましたように夜に溶けてしまいそうな朧気なイメージを漂わせているのにこういう時だけは彼女自身が、夜そのものかのような感覚を感じさせる。
俺達は部屋の前に立ってからそれぞれの顔を見合わす…
「あれ、ここ空き家じゃないの?」
苦笑いの俺をNちゃんが後押しする。
「人いるみたいだね…とりあえずAくん話聞いてみようよ!」
ピンポーン。
Nちゃんはなんの躊躇もせずチャイムを押した。
非常識極まりないなんてそんなの気にかけるようなたまでもあるまいな。。
「はーい…どなたですかー??」
女の人の声だ、やっぱり普通に人の声だしなんなら俺達のが絶対怪しい人物でしかない。。
「あっ、えっと宅配…」
shake
ドスッ!!
NちゃんとCさんに脇腹を殴られた。
ゲフンゲフンッと咳き込む俺を後ろに下げながら女の子2人はそこの住人と話し始めたのだった。
作者Incubus
約3年振りの更新です。
待っていてくれた数少ない方々…まだ見てくれているでしょうか…
もしもまだ読んでくれるのなら嬉しく思います、ずーっと書きたくてもかけていなかったこのシリーズなので…
新規の方もよかったら暇潰しにでも読んで頂けたら光栄でございます…またよろしくお願い致します!!
では、以下説明文です↓↓
一回り歳下ないとこのAと俺のトラブルメーカーな2人がだいたい自業自得な目にあうシリーズ物です
セカンドシーズン突入!!
一回り歳の離れた兄貴は死んでしまったのに、Aの中にその意思は生き残った。
彼女のNと、彼女を守るもう1人の人格S…
4人の関係はよりいっそうカオス化していくばかり…
トラブルを巻き起こしながら彼らはどこへたどりつくのでしょうか…
ホラー×恋愛
異色のストーリーをお楽しみください!
ノミネートしていただいた
『くるって』
をふくむファーストシーズンは『トラブルメーカーシリーズ』で探すか、筆者のプロフィールから投稿した話を読んでいただけます!
よかったらそちらも読んでいただけたら、セカンドシーズンをもっと楽しんでいただけると思います!
それでは今後もゆっくりですが更新していきますので、よろしくお願いいたします。