【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編4
  • 表示切替
  • 使い方

死んだ部屋(中編)

music:1

朝が来るのがこんなにも長く、そして優しく感じたのはいつ以来だろう。

彼女は腕の中でまだスヤスヤと寝息を立てている。

それもつかの間、鳴り出す携帯に慣れない腕枕で痺れた腕。

Nを起こさずに携帯を取ることは出来なかった。

その数時間後、俺はすでに怖い空間の中にいた。

死んだ部屋のあるその付近、ファミレスのボックス席。

彼女、俺、Cさんとテーブルを囲み、空気の重たい世界を店の一角で見事に作り上げていた。

「Aくん、この人誰?」

Nはあからさまに敵対視している。

「Nちゃん、この人は兄貴の知り合いでCさん…」

「えっと、Cさん、Nちゃんです…」

沈黙を破るのはやはり大人の余裕なのだろうか

「はじめまして、Nちゃんね♪私はC、よろしくね♪」

Cさんはあいかわらず優しい落ち着いた声で空間を包み込んでゆく。

やっぱり胸の奥が少しズキズキと痛くなる。

会話も広がらないその居心地の悪いファミレスをはやばやと抜け出し、俺達は死んだ部屋へと向かった。

「たぶんこの辺のはず…」

Nはあいかわらず地図が苦手なようだ。

「ちょっと見せてもらえる??」

Cさんと俺が地図を確認してる間Nはイライラしているのだろう、「この辺だもん…」とブツブツ言っている。

でも確かに場所はこの辺のようだ、夜も深くなってきているので人なんかいないし、俺達はすぐ近くにあったコンビニに入り、缶コーヒーを買いつつ店員さんに話を聞くことにした。

「すみません、ちょっとお伺いしたいんですけど、この辺で怖い噂とかって聞いたことないですか??」

男の店員さんは、眠たげな瞼をギリギリひらいているだけの目でこっちをチラッと見ると

「あれっすか?死んだ部屋だか何とかってやつ?」

「あっそれっすそれそれ!」

「それ最近よく聞かれますけど、多分行っても無駄ですよー。」

話を聞くに、最近流行ってるからよくこの辺に来て、見つからなくて聞きに来る人がちらほらいるのだとか、でも誰もその部屋を見つけられた人はいないんだとか。

場所的には、このコンビニの斜向かいにあるマンションの一室なんだという。

俺達は礼を言うなりすぐさまそこに向かっていった、オートロックの入口を突破するのに苦労はしなかった、誰かのポストにささっているチラシを使いCさんはニコニコしながらスッとオートロックを解除して見せた。(安全性に携わる為細かくは書かないでおきます)

ドヤッとキメ顔でこちらを眺めるCさん

「俺くんに教えてもらったんだ昔っ♪」

兄貴の入れ知恵か、納得してしまう。

Cさんと兄貴は昔もこうしていろんな時間を過ごしていたのかなと考えていると後ろから押される。

shake

「早く行きなさいよ!」

Nはあいかわらずブスっとしている。

しれーっとエレベーターへと乗り込み俺達は6階のボタンを押す。

この狭い空間でまたこの2人に囲まれる…うん、気まずい。

エレベーターの表示はゆっくりと上昇してゆく。

2階…点滅は消えかけているようなボロいエレベーターのなか。

3階…ガタガタと揺れるこのオンボロな箱が、ここで止まってしまって、閉じ込められでもしたら、、

4階…Cさんは無言で回数表記を見ている…

5階…NちゃんはCさんを横目に睨んでいる…

6階…やっとついた。

ハァ…と少しだけ息苦しかった空間から出れたことで違和感を感じていた事を受け流してしまう。

もっている情報としては6階の一番奥。

そこが「死んだ部屋」

非常階段の手前の609号室…あれ?

そこでまた違和感を感じる。

「あれ?情報と違くない??」

Nも気づいたようだ、そう、6階の非常階段だけはエレベーターの横にあるのだ。

他の階は全てエレベーターと逆の場所に位置しているのにここはエレベーターの横に階段がある。

「とりあえずその609号室入れるか見てみよ。」

Cさんの表情はもうニコニコはしていなかった、Cさんはどこか研ぎ澄ましたように夜に溶けてしまいそうな朧気なイメージを漂わせているのにこういう時だけは彼女自身が、夜そのものかのような感覚を感じさせる。

俺達は部屋の前に立ってからそれぞれの顔を見合わす…

「あれ、ここ空き家じゃないの?」

苦笑いの俺をNちゃんが後押しする。

「人いるみたいだね…とりあえずAくん話聞いてみようよ!」

ピンポーン。

Nちゃんはなんの躊躇もせずチャイムを押した。

非常識極まりないなんてそんなの気にかけるようなたまでもあるまいな。。

「はーい…どなたですかー??」

女の人の声だ、やっぱり普通に人の声だしなんなら俺達のが絶対怪しい人物でしかない。。

「あっ、えっと宅配…」

shake

ドスッ!!

NちゃんとCさんに脇腹を殴られた。

ゲフンゲフンッと咳き込む俺を後ろに下げながら女の子2人はそこの住人と話し始めたのだった。

Normal
コメント怖い
4
6
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

むうさん
シレッとありがとうございます!!
これからもゆーーーーっくりですが書いていきますのでまたシレッとよんでったってください♥

返信

ケンケンさん
お待ちいただいて嬉しいです!みなさんもうきっと忘れてるだろうなと思いながら書きはじめたので(笑)

cはどうやら絡みはふかそうですね!
僕自身は知っているので早く話したいですが…ながれがありますからね♥(笑)今後もよろしくお願い致します♥

返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信