短編1
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私の自宅の風呂場では不可解なことが度々起きた。

確かに閉めたはずの風呂の蓋が動いていたり、夜中に誰もいないのにシャワーが出たりした。

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ある時、夜中目が覚めてトイレに向かおうとした時だった。

風呂場の方から「ピタン、ピタン」という水が落ちる音が聞こえた。

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恐怖もあったけれど、それよりも何よりも風呂場の怪異がなんであるのかを確かめる方に体は動いた。

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風呂場をそっと覗いてみると、特に何か変わったことはなく、蛇口から水滴が落ちているだけだった。

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蛇口を閉め、風呂場を去ろうと背を向けた時だった・・・

いる・・・確かに風呂場から気配を感じる。

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ゆっくりと後ろを振り向くと、黒い人型のものが浴槽にへばりつくように何かをしている。

「ピタン、ピタン」

何をしているのかよく見ようと近づいた時だった・・・

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黒い人型はぐるりとこちらに体を回し、静止した。

と、同時に

「ぺた、ペタ、ぺた、ペタ」

とこちらに迫ってきた。

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私が恐怖で動けないでいると、

顔を合わせる形でそいつは立ち止まり、

ペロリと私の顔を舐めた。

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すると

そいつは「ぎぃぃぃやぁぁあぁぁあぁ」

と奇声を発して、ペタペタと風呂場に戻り、蓋を開け浴槽の中に消えていった。

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私は急いで風呂場の明かりをつけ浴槽を確認したが、

浴槽の蓋が開いていること以外に特に変わりは無かった。

垢-完-

Concrete
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